髪の毛の話をしようかと思う。僕の髪の毛は日に
日に薄くなっている気がする。〜気がするなんて、
誤魔化しても仕方が無い。まぁ、薄くなっている。
今、現在は金髪だし、髪の毛も痛みやすいので、
それも致仕方が無い。というよりも、遺伝的にう
ちの家系はハゲ家系なので、もはやそれは天命で
しかない。それを悟ったのはいつだったであろう
か？高校に入った辺りかな？自分のファッション
の中に帽子というアイテムが必要不可欠となり、
色々な帽子を買っていたときに、周りの友達から
「そんなに帽子なんて被っていると禿げるよ」と
言われて、気がついたような気がする。確かに多
少なりとも頭も蒸れるわけだし、普通に生活して
いるときよりも、ハゲ進行具合というのは早いん
だろう。がしかし、自分の親や祖父などを見ると
まぁ、例外なく禿げている。ならば早かれ遅かれ、
どっちにしろ禿げるのであろうから、それはそれ
でハゲになるその日まで髪の毛がある事を楽しむ
としよう。そして、近い未来もし禿げてしまった
ときに何の悔いもないくらいハゲの似合う大人に
なろうではないか、そう思ったわけである。だか
ら、たまに実家とか帰って旧友に会うと「おでこ、
あがったなぁ〜」などと言われたりするが、それ
はこっちからしたら、ウエルカム、ウエルカムな
わけで、今のうちに出来ることを謳歌しようとは
思っている。そう、ハッキリいってハゲ最高！な
わけだ。

そんな僕でも若い頃というのは、髪の毛に気を使
ったりする時期もあった。中学生当時から髪の毛
にはうるさくない公立の中学だったので、雑誌や
ＴＶを見ては「この人と同じ髪型とかいいなぁ」
と思ったりしていたわけで、雑誌を持っていって
「この人と同じ髪型に、、」なんてこともたまに
あった。バービーボーイズのKONTA。僕の中で忘
れがたき、一番最初に髪型がカッコイイなぁと思
った、芸能人である。彼の出ていた整髪料のCMを
ＴＶで見て、茨城の片田舎に住んでいた僕は「こ
れが都会かぁ」と憧れを抱いた。ちょっと小粋で
キザな立ち振る舞いだったり、溢れる夜の感じな
どは当然夜は寝るものと信じて疑わなかった少年
時代に、軽い衝撃を受けた。当時は折しもバンド
・ブームで僕も音楽の聴き始めであった。ブルー
ハーツがあくまではじまりであった僕だが、ある
程度は分け隔てなくいろいろな音楽を聴き漁って
きた。そして、音もバービーボーイズにはブルー
ハーツと違う大人の色気みたいなものを嗅ぎとっ
て、買うまではいかないものの、シングルは漏れ
なく借りていた気がする。

それから年月が過ぎ、僕もいっぱしの大人になっ
た頃、中古CD屋さんで『BARBEE BOYS』という二
枚組のCDを買った。もう、解散もした後だし時も
２１世紀になろうかというところだったが聴いた
瞬間、あの頃の小粋な感じはそのままだった。以
前から思っていたが、このグループはフロントマ
ンの杏子の艶っぽさとKONTAのニヒルな感じと、
ギターのいまみちともたかの独特のメロディアス
なリフと、まさにエレキ・ギター！という感じの
機械音がカオスのように入り交じっているからこ
そ、こんな風な尖った緊張感を生み出していると
いっても過言ではない。特に売れだした辺りから、
そのカオスに「こんな音がメジャーの中で通用す
るのか？」という実験性に溢れた挑発的な音で、
ある意味特許と言わんばかりの独特の咆哮を響か
せてきた。この咆哮という言葉こそ、何かKONTA
の吹いていた高音のサックスにかぶって、よく似
合う。

さて、髪型の話に戻るが、数年前、舞台『ロッキ
ー・ホラー・ショー』を観に行ったときに、僕は
驚愕してしまった。少年時代、憧れを抱いていた
KONTAが出ていたからである。しかも、スキンヘ
ッドで！役づくりだったのか、違ったのかなんて
のはどうでもいい。もう似合うんである、スキン
ヘッドが。その妖しさとかキザな仕種に、大人の
色香を感じ、ああなりたいとは思わなかったもの
の、やはり自分が若い頃に抱いていたカッコよさ
というのは、年を経ても変わらないのだなと実感
した。佇まい一つでコンプレックスだってカッコ
よくみえる。そういえば、バービーボーイズは、
「チビ」とか「負けるもんか」とかコンプレック
スを、歌ってきた。でも、それってそんなことに
は負けない自信の極地なんだろうな。コンプレッ
クスは夜に溶かしたら、きっと最高！って言える。
バービーボーイズって負の部分を目一杯引っ張っ
て飛ばしたパチンコ玉のような、勢いと開き直り
の音楽なのだと思う。