本格的に春がやってきましたね。ポカポカし
てて思わず外に出たくなってしまう季節…と
はいうものの、僕は生粋のインドア人間。春
はひたすら眠る事に終始してしまいます。よ
うやく最近、仕事に一段落ついて、休みの日
とかは１２時間は軽く眠ってしまい、寝ぼけ
眼の中で軽い後悔を覚えてしまいます。

とはいうものの、それはそれで至福な時間な
わけで、もしかしたら唯一、リラックスでき
る季節なのかもしれません。だからそんな季
節は、比較的ゆったりした音楽を聴くいい機
会でもあるわけです。僕はガッシガシのロッ
ク人間なので、あんまりゆったりした音楽っ
て受け付けないとまでは言わないけれど、勢
いのある音楽を好む傾向にあるわけですが、
こういう風にゆっくりと時の流れる季節は、
ゆっくりした音楽に身を委ねてみるのも悪く
ないものです。

そんな折に今回のノラ・ジョーンズの『COME
AWAY WITH ME』を購入しました。そうです、
今年のグラミーを占拠した、話題の歌手です。
濃紺のバックに映る彼女の顔写真は大人っぽ
さの中に、あどけなさがほどよく残っていて、
とても自然な表情を浮かべています。ライナ
ーを見ると、１９７９年生まれということな
ので、２３歳だそうです。若くもなく、かと
いって年でもないいい状態の頃合いから流れ
る音楽は、シンプルながらも存在感に溢れて
いて、こんなボーッとしたい季節にピッタリ
といえましょう。

と、通り一辺倒の雑文になりそうですが、最
初に聴いた時はそこまで良いという風には感
じなかったというのが正直なところです。あ
まりに普通だったので。ちょうど仕事の忙し
さもピークと化していた頃なので、イマイチ
勢いが感じられず、こんな事ならアブリル・
ラヴィーンの方でも買っておけばよかったか
なぁ…と思ったのも事実です。ということで
少し間を置いて聴く事にした方がいいなと思
い、仕事の方に自分の神経を傾けて彼女のCD
は少しそのままコンポの中に入れっぱなしに
しておきました。そして、程なくして仕事が
落ち着き始め、勢いのあった分、せかせかし
た時間を取り戻す意味で、再び彼女のCDを聴
いた訳ですが、自分のポッカリ空いた時間を
埋めるにふさわしい時の流れを奏でてくれま
した。ジャズともカントリーともいえるシン
プルな楽器と声の調和こそ、僕に足りない休
む事というシンプルな時間を適度に埋めてく
れました。癒しという言葉はここで使いたく
ないけれど、ちょっとした音のサプリメント
として、今ではうちに無くてはならない時間
の一部になった気がします。

もちろん、僕の仕事はそれでも休みなく続い
ていきます。僕だけではなく、他のみなさん
に関しても仕事は果てしなくつづいていくわ
けだし、というよりも人生は続いていくわけ
です。そんな中でもし、CDを１枚分聴く時間
が少しでも余っていたら、こんなゆっくりし
た音楽に耳を傾け、そのまま眠ってしまうの
も、それはそれで一興かもしれません。不思
議とそんな風に自然に眠ってしまうとき程、
寝起きはバッチリで次の日の活力が沸いてく
るものです。人生はそれでも続いていくとい
う当たり前の事を教えてくれて、そしてそこ
に無理矢理でない活力を与えてくれる意味を
教えてくれるこのCD。なるほど、確かにグラ
ミーの名に恥じない、人のための音楽といえ
るのでしょう。