もはや、ハイロウズって何でもありなのかなと
思う事がある。それは、ハイロウズが、という
より僕の許容範囲がハイロウズのやる事ならオ
ールＯＫということともイコールであるといっ
ても差し支えないであろう。ということでニュ
ー・アルバム『angel beetle』は前作や前々作
よりもバラエティに富んだ仕上がりになってい
る。

正直、今回のアルバムに関していうと予算の都
合上、ハイロウズにしては珍しく発売日当日に
購入しなかった。別にいいじゃんというなかれ、
これはブルーハーツから続く僕の歴史上におい
て、結構な事件といってもよい。がしかし、発
売してから一度試聴した際に、「あぁ、別にま
だ買わなくてもいいかな」という気になった自
分がいた。何かよくわからないけど試聴の段階
では、こうグイッとひっぱられるものが無かっ
たというのも、あながち否定できない。しかし、
よく考えてみたら、そりゃそうだよな、ほんの
何分間の試聴でよりバラエティに富んだ、それ
でいて深く進行していっているハイロウズの世
界を理解するのは、ほぼ不可能という当たり前
のミステイクだった事を買った後に気がついた。
ということで、次回からハイロウズに関してい
うのならば、試聴をせずにそのまま買ってしま
おう。もし、予算が追いつかなければ、買うま
で聴かない、それくらいがちょうどいいスタン
スかな？と思った次第である。

さて、そんな『angel beetle』だが、聴き触り
ととしては２作目『tigermobile』に収録され
ている『シェーン』という曲が全編に渡って散
りばめられている感がある。ドラマティックで、
子供のような純粋さに覆われていて、がしかし
子供にはわかんねーべ的な大人の香りがプンプ
ンする、今のヒロトとマーシーがお互いの役割
をキチンと理解したアルバムだと思う。これを
作られたら、マーシーも別にソロで自分だけの
形を模索する必要もないだろうなぁということ
を、ふと感じた。
しかし、不思議なアルバムである。笑顔になる
し横揺れな感じがするのに、胸がジワーッと躍
動していく感じは本当にこのバンドにしか出せ
ない、オンリー・ワンの個性だと思う。ホーン
ズや縦笛（？）のようなファニーな音も効果的
に使われていているのに、本質のロックンロー
ルは外さない。３曲目の『スカイフイッシュ』
にある通り、「ロックンロール以外は大した事
じゃない」を実践しているし、そこまでやられ
ると確かにその通りと感嘆せざるを得ない。

とはいうものの、このアルバムにはロックンロ
ール以外にも色々な要素が詰まっていて、その
「ロックンロール以外」も彼らにとっては、ロ
ックンロール以外の何物でもないという逆説的
要素も多分に含まれているところは既に熟練の
業といっても過言ではない。要は人生、これ即
ちロックンロールだという風にも聞こえる。
そういう観点から考えると、やはり僕にとって
はハイロウズはオールＯＫであるし、ハナから
試聴なんてしなくても外す事なんてあり得ない
まさにロックンロールの１０割打者的な役割と
して、どんな球でも打ち返してくれる信頼でき
る音をこれからも響かせてくれるだろう。本人
達は『曇天』なんて歌っていたりするが、僕に
はカラッカラの晴天としか思えない気持ちのい
いアルバムだと思う。