(133) こういう、いい歌にもっと巡り会いますように…◆◆夏川りみ--南風◆◆ |
投稿者:nabes
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初めて、『涙そうそう』を聴いたのは、夏前だ ったろうか。あまりにいい曲だったのと同時に 「きっと、この歌っている人は紅白に出るんだ ろうな」なんて不粋な推測をしていたら、やは り紅白に出る事になっていた。それはそれでお めでたい。猪木が張り手をして全国を回ろうが、 桑田佳佑がアンチとして背を向けようが、紅白 というのはモンスター番組である。国民の半分 近くは何かとリモコンを向けている。つまりは、 そういうことだ。そんな番組に、単純に「いい 歌」として、『涙そうそう』が流されるという のは、とてもいい事だ。今年は残念ながら仕事 のため、紅白はもとより猪木祭りさえ見れなか ったのだが、(あ〜!高山VSサップ見たかっ た!!)きっと変なエンタテイメント性に流さ れている紅白歌合戦に一服の清涼剤を与える事 になったのだろう。
もちろん、この曲が売れた事には伏線がいっぱ いあって、昨今の沖縄ブーム(なんて言ってい いものかどうかも微妙だが)が影響している。 何年か前の『ちゅらさん』辺りから始まり、モ ンパチなどのインディーズ系のバンドの躍進。 島唄のワールドカップ使用などで本格的といっ てよい。その中で、ある意味、真打ちといえる 森山良子の作詞、作曲は夏川りみの幼馴染みに あたるBEGINが担当、透明感のある沖縄の海の ような綺麗な声の彼女の唄は売れないわけがな いといってもよい。 このミニ・アルバム『南風』には『花』や『て ぃんさぐぬ花』など、これぞ、沖縄!という唄 も入っていてまるで子守唄のような優しい時間 を聴いてる間は与えてくれる。
沖縄というのは不思議な街だなぁと、行く度に 感じる。エネルギーと癒しが一緒に住んでいて、 活力を与えられる一方で疲れもとれる。自分の 中の皮をめくるような、新しい自分に生まれ変 わるような不思議な力がある。以前ハイロウズ のライブだけを観に1泊2日で行った時に、タ クシーを1日借りてライブまでの間、走って回 った時があった。そのタクシーの運転手さんは 内地(沖縄以外の日本の事を指すそうです)の 人だったが、いつのまにか住み着いてしまった と言っていた。その気持ち、充分にわかる。晩 年とか沖縄でたらなぁというのは強く感じ る。それくらい、僕の中では好きな街である。
話は反れたが、この歌にはそんな癒しとエネル ギーが同居してて、演歌とも歌謡曲とも、そし てポップスとも違う「うた」として去年、日本 中で愛された。一部では『花』の21世紀バー ジョンという身も蓋もないキャッチフレーズが ついているけど、『花』ほど抽象的でなく生活 に土着しているセンチメンタルとしては、荒井 由実の『卒業写真』に近いと思うがいかがなも のだろう?
まぁ、それはともかく、この歌を聴き、また一 つ沖縄が好きになったのと同時に、この歌が売 れるという事実を客観視して、まだいい歌とい うものをちゃんと、嗅ぎ分け愛する事が出来る 日本という国も捨てたもんじゃないなぁと思う、 今年の年末〜正月なのでした。
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2003年01月01日 (水) 16時36分 |
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