小室哲哉とKEIKOが結婚する事になったようですね。
まぁ、やっぱりという気もするし、ある意味ベスト
な組み合わせといってしまえば、そうなりますね。
ただ、世論は結構、批判的らしく「プロデュースと
私情を混同している」などと、小室哲哉批判という
のが、殆どらしいですね。まぁ、確かに華原朋美や
ASAMIの時と同じくというのが誰もが、思う感想で
しょうが、ここは一つ、「まぁ、小室哲哉だからし
ょうがねぇか」くらいの寛大な気持ちで見てみると
それはそれでいいような気がします。

そう、昔から小室哲哉はそういう人でした。基本的
にはロマンティックなんでしょうね。でも、今回ば
っかりはさすがに、本気だったのか、それとも朋ち
ゃんの事も考慮して、なかなか表には出しませんで
した。恋愛というきわめて、パーソナルな感情を切
り売りしていた敏腕プロデューサーがですよ。もち
ろん、ASAMIとの関係もあったにせよ、ちょっとし
た一大事だったかもしれません。そんな小室哲哉が
離婚後、一気にダムが決壊していくように、「本当
のキモチ」を赤裸々に発射したのが、今回の『ligh
ts』『lights２』だと思うのです。

前に安室奈美恵の項で書きましたが、小室哲哉とい
うプロデューサーは、人気が停滞してからの方が、
佳曲を産み出す傾向があります。ある意味、globe
も今はそうだといえます。爆発的なセールスから一
歩退き、良質の作品に比重を置き出しました。これ
は逆にそのグループが、もうそこまで売れる事を念
頭に置かなくてもいいという証なのですが。

今回の２枚組は地続きとなっている１枚の作品のよ
うでして、『２』の表記は１１曲目からの表示にな
っています。別に同時発売でなかったのにも関わら
ずです。そんな表記の部分から実験できる立場とな
ったら、もう楽曲が悪い訳はありません。小室哲哉
のいいところって、実験はすれど、ちゃんとマーケ
ティングに裏打ちされた実験なので、あまり外す事
が少ないのが特徴です。トランスって、上がるとこ
ろは音圧や音数が多くて歌が消されてしまうのでは
ないか？そして、アンビエントなところで果たして
歌はどういう役割を果たすのか？という意味でリス
キーな実験だと思うのですが、見事に「うた」とし
て成立させています。もちろん、そこには小室が見
い出した、不世出のシンガー、KEIKOの存在はでか
いでしょう。高音にも低音にも長けている広い音域
は抑揚の激しいトランスというジャンルにピッタリ
だし、マークのラップはビートとリズムの掛け橋と
して、非常にいいところでアクセントとなっていま
す。

がしかし、やっぱりこのアルバムで一番脱帽したの
は、小室哲哉が作った歌詞、これがハッキリいっち
ゃうとKEIKOへのラブレターであるということ。そ
して、それを意中の相手であるKEIKOに歌わせちゃ
っている点に尽きるのではないでしょうか？もちろ
ん、KEIKOもそれを認識しているんでしょうね、キ
ッチリ歌にSOULが入っているんですよ。そして、そ
れを世に出すなどとは常人の域を最早、超えている
といっても過言ではないでしょう。

「永遠という文字、あなたは素敵な言葉と思っていませんか？
　安らぎはなかなか永遠とは相性がよくないみたい。
　
　だけども君のひたむきで力強い想いが雨音を期待の
　リズムに変えてくれました。
　
　少しずつ、少しずつ、すさんだ心を体を洗い流してくれました」
(OVER THE RAINBOW)

取りようにとっては、今までのミリオン・ワーク全
否定とも取れる純粋な恋文だと思いませんか？それ
はそこまで小室哲哉というブランド、globeという
ブランドがそこまで到達したという長い道程の着地
点にも似た安堵感に包まれていて、見ている方とし
ては何とも気恥ずかしい気にもなるし、「ごちそう
さま」とラブコメの漫画に出てきそうな台詞の一つ
でもかけたくなるのは、果たして僕だけなのかな。
とにかくここまでドラマティックに、ロマンティッ
クに自分達の事を演出する小室哲哉という人間が、
僕は人間味が溢れていて、好きなんだよなぁ。

計１３０分、２枚組に渡るラブレターをしたためら
れたら、KEIKOだって悪い気にはならないでしょう。
初めて歌詞を貰って「あ、これ私の事、書いてるん
だ」ってわかった時の感激は筆舌に尽くし難いと思
います。そう考えると、小室哲哉はヒット・メーカ
ーというより、最高のラブレターを書く事のできる
才能の持ち主なのかもしれません。結婚式は１１／
２２、「いい夫婦の日」だそうです。一視聴者とし
て、一ファンとして心から「おめでとう」とこの場
を借りて言わせて頂きます。