(107) 闇のセクシー◆◆EMINEM--THE EMINEM SHOW◆◆ |
投稿者:nabes
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世界で最もセクシーな男の人って考えた事ありま すか?この定義は人によりであるが故に難しいテ ーマである。そこには性的なイメージというのも 浮かんでくるし、何より、僕は同性として男をセ クシーと見るのはなかなか難儀なものである。
少し前まで、僕の中で最もセクシーだなと思った のが、映画『スコーピオンキング』ですっかり著 名人の仲間入りをしたWWEのプロレスラー、ザ・ロ ックだった。憎々しくて傲慢な態度ながら、その 場を一瞬にして掌握する、決まり文句「IF YOU S MELL WHAT ROCK IS COOKING!」(ロック様の妙技 を味わいやがれ!)は日本でいえば猪木の「1、 2、3、ダー!」くらいの説得力とハッピーエン ド感を演出し、その仕種がたまらなく、セクシー である。今年のWWE(当時WWF)の日本上陸でそれ を再確認した。
さて、それを音楽の中でいうと誰であろうか?僕 はエミネム、この男を推したい。悪ガキな風情、 口を突いて出るのはスラングだらけ。とにかく無 鉄砲な感じが、ある程度、年を経てかわいいもの がある。ドラゴン・アッシュの降谷健志にもそう いうのを感じるが、彼の場合は幾分、大人な感受 性がチラリと顔を覗かせるとこがある。変に落ち 着いているような気にさせる。それはおそらく歌 詞が日本語という事も関係してくるだろう。意味 や感じ方が、手に取るようにわかるという事も時 にこういう事もある。そこいくと、エミネムは本 当に悪ガキそのものである。
そんな彼のアルバム『THE EMINEM SHOW』は彼の小 僧的な悪童ぶりが満載になっていて、そしてそれ を、エンタテイメントとして商売にしている見事 な作品である。ちなみに、このアルバムが僕にと っての初エミネムである。それまでの作品に何故、 触手が伸びなかったのかというと、このエンタテ イメント化されてるかどうかがキーポイントとな っている。 ショービジネス、訳して字のごとし、見られてな んぼの商売である。タレントというものは、人に 注目をされればされる程、その視線の上を行くよ うに精進する。日本のアイドルとか見ればそれは 顕著かもしれない。それがたとえ、整形というも のであろうと、タレントしての精進を考えると、 それは極めて真っ当な精進である。勿論、天然的 に成熟するという形もあるが、まぁ、それも一つ の見られる事への応えになっている。 話は幾分反れたが、エミネムはそのショービジネ スの階段にキッチリ乗って、文字通り成熟の一途 を辿っている。しかも、内面は悪童そのままに。
そして、ちょっと面白いのはエミネムがただの悪 童では無いという事。どういうことかというと、 心に暗い闇を背負った悪童だという事。ただの悪 童だったら、ここまでセクシーさを感じない、彼 にセクシーが漂うのはその暗い闇が、ちょっとし た母性を引き出しているような気がする。(もち ろん、僕は男性なので、母性というものはない、 あくまでちょっとした感覚ということで)
ジャケットのエミネムはマイクスタンドが立ち、 スポットのあたっているステージの少し脇に座り 込み、まるでもうラップしたくないよ、と駄々を こねているように見える。その沈んだ仕種がまた ひどく病んでいて内面に暗い闇を抱えた悪童、エ ミネムを虚像としてエンタテイメントに乗せてい る。彼のショーはまだ前半戦、この後、幾度もク ライマックスはやってくる。その時も彼はステー ジ脇に佇みながら、病んだ闇を赤裸々にライムし ていくのだろう。より成熟したら、どれだけセク シーに映るのだろう。その時はもっと、世の中に 届く筈だ。それを彼が望もうとも、望まなくても。
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2002年10月06日 (日) 09時46分 |
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