(103) 時が経てば・・・◆◆長渕剛--長渕剛BEST<空><風>◆◆ |
投稿者:nabes
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先日、入院している弟のために購入した4枚組のま さに集大成。実は少し前から再び注目していた。 再び、というのは昔好きだったような気がする。何 か恥ずかしがってるかな、え〜い!言ってしまうと 好きだったな、きっと。ていうか僕の年齢くらいの 青年男子(29歳)だと誰もが通るべき道だったと 思うのだけどどうだろう?違う?だって旬真っ盛り だったよね?ドラマ『とんぼ』とかで大当たりして、 実直で誠実で怒りさえも優しささえも、大きな愛に 包まれていて。そんな彼の歌が好きだった。
そんな第2次オイルショック時に産まれた僕達の、 通過儀礼ともいえる(?)長渕から離れたのはいつ 頃だろう?高校生くらいかな、例の事件の辺りだろ うか?それに伴い、歌詞も何だか説法臭く感じられ たからだろうか。ともかく長渕は僕の視界から完全 に外れていた。思えば、10年以上経っているのだ な。時が経つのは早いものだ。 やはり、今思うとその事件当時の長渕って、エライ 方にイッちゃってたなぁと感じる。ドラマでは国生 さゆりのケツなんて舐めまくったりして。さすがに 何かひいた、もちろん、翌日の学校では話題になっ たりしたが、どちらかというと、好奇の話題として 思春期の**野郎の格好のネタだったように思う。 捕まった時は異様に悪人て感じのイメージがついた ように思える。ほどなく活動を再開した後も、何か 無理に改心してますよというのを必要以上にアピー ルされているように思えて、何か申し訳ないような 感じに襲われた。まぁ、今思うと踊らされてたなぁ、 という事を感じ僕自身、頭を掻いてしまう。
そんな長渕が自分の視界に入りこんできたのは、い つだったろう。1〜2年前かな。何かの雑誌のイン タビューの写真、を目にした辺りだったろうか。 (おそらく、ぴあだったと思う)いい顔してたんだ よなぁ、非常に。何か憑き物が取れたような晴れや かな、楽に呼吸しているなぁ、この人という事を感 じた。機会があったら、まあ聴いてみようかな、そ んな事を思って気にはなっていたところに、このベ スト盤そして、うちの弟が長渕を凄く好きな事もあ り、好奇到来!とばかり、聴いてみた。
まぁ、4枚組である。今までの彼のキャリアから厳 選された60曲近くの音である。ブレイクする前の フォーク時代、『ろくなもんじゃねぇ』『とんぼ』 辺りからくるブレイク後、そして活動再開後のつま りは、僕の知らない長渕。それを余す事無くじっく り聴いてみた。なるほど、好きだった理由が少しわ かった気がする。凄い、不器用なんである。おそら く鼻につく位、痛く感じたのは自分にきっと投影し てたからなのかも。そして、今聴くと再発見したこ ともある。この人、ギター上手いなぁという当たり 前の事(苦笑)。そして状況の描写がひどくわかり やすい。それに伴い、そこを吹き抜ける<風>そし て、横たわる風景としての、心情としての<空>が 見えてくる。そんな大きくて優しい<風><空>が 不器用な自分を洗い流してくれるような、そんな優 しい気分にさせてくれる。
きっと、彼がこのベストを通して、伝えようとして いるのって、「信念」だと思う。自分の思う事を決 して曲げずに、実直に、見ようによっては不器用に、 でもそれをひたすら信じて。だから、なんか爽快感 さえ感じる。
「空に吠えろ、風にうろたえるな、陽よりも熱く、 水に呑み込まれず、土をしっかり踏み締めて」 (空/SORA)
たとえ、強大な自然の前でも自分を信じること。そ こには本当は言葉なんていらないけど、どうしても 不器用に過ごしていると、言葉が必要になってしま う。こんな信念の歌を僕の視界から消えてる間に作 っていたんだ。ちなみにこの歌詞って、椎名林檎の 『本能』の一節、
「どうして、歴史の上に言葉が生まれたのか、 太陽、酸素、海、風、もう充分だったはずでしょう」 に相通じる気がするのは気のせいだろうか? 何か思う。時が経てば、わかる事ってある。時が経 たないとわからない事ってある。再び出会えてよか った、そして、それが今でよかった。本当に。
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2002年09月20日 (金) 13時47分 |
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