のちに蛇雄本人から聞いたことですが、蛇雄が食卓をひっくり返した理由は・・・

「ゆんが箸やコップを食卓に出し忘れること、しょっちゅうだろ！何度も何度もそんな嫌がらせを受けていたからだ！」だった。

は〜ぁぁぁぁああああああっ？？？？？？？

理由が、あまりに、ものすごい、チッチャイことで、驚きました。もちろん嫌がらせではありません。単なるミスです。でも蛇雄との生活では、許されないミスなのでした。そんなとんでもないミスであったと気づいたのは、このちゃぶ台返しをされたそのとき、でした。まさにそのとき地雷を踏んだのでした。

しかし、あの光景は怖かった。散乱した皿、料理、割れた麦茶ポットからトクトク流れる麦茶、そして蛇雄の、あの切れたとき見せる蒼い顔、あの目つき。私が「なんてことするの！！」と言ったときには、両耳を両手でふさいで、口半開きで、一点を見つめて、首をぶんぶん横に振っていたのを見て・・・
あ、これはマズイ。とってもヤバイ。いっちゃってるかも。一刻も早く、子供を連れて逃げなくては、と心臓がバクバクし出した。
でも、自衛本能なのか、私の行動は落ち着き払っていた。反抗期の子供がかんしゃくを起こして暴れ、それを”仕方がないわね”と包み込む母親のような気持ちでいようと思った。床をさっと拭いて、散乱したものをある程度片付けてから、「○○（子供の名前）、おばーちゃんち行こうね」と蛇雄に聞こえるように言って、ごみを捨てに子供の手を引いて外へ出た。
物陰から、蛇雄が出勤するのを見届けてから、自宅に戻った。すぐに、子供と実家へ行った。
あの日、ごみの収集日で良かった。蛇雄から、自然に、物理的距離が置けてよかった。
でも、あの部屋、私が片付けなくても良かったんだよね（苦笑）

こうなっても、それでも「私が箸やコップを出し忘れなければ、こうはならなかったんだわ」と思って、踏みとどまる人もいるわけです。

ゆんさんが健康な心の持ち主で良かったと、心から思います。

ほんとにちっちゃなことなんですよね。

食卓のお醤油差しがうっかり空になっていたとか。
朝食を食べている夫の後ろを通ったとか（うちのキッチンは狭いので、夫の後ろを通らないと流しにもガス台にも行けないんです）。
そんなささいなことで、わたしもよく怒鳴られました。

どうしてそのくらいのことで？　わたしが浮気したとか、ギャンブルで何百万も借金したというなら、怒鳴られてもまだわかるけど。そう思いながらも、怒鳴られるのが怖くて、夫の怒りを静めたいばかりに、「ごめんなさい」を連発していました（当時はまだモラハラを知らなかったので）。

おかげですっかりモラが増長し、わたしは夫の逆鱗に触れないよう、常に緊張し、顔色を窺うようになってしまいました。でも、どんなにがんばっても、夫の逆鱗がどこにあるのか、わかりませんでした（そりゃそうですよね、モラに一貫性などなく、そのときの気分で怒っているだけなのですから）。

いまなら、わたしがどんなに間違った対応をしていたか、よくわかります。情報って、大事ですね。

脱出の暁には、表情まで晴れ晴れすると思います。

お祈りしてます。