読書力とは「読書の力」であろうが、その解釈は二通りになる。ひとつは読む人間の側の力であり、いまひとつは、本の側の力であろう。私の解釈は後者である。つまり、本の側が子どもをとらえる力を持っているのである。
私などが、いや、どんな教師であれ、限られた時間で何かを教えるよりも、一流の作者によって何年もかけて考え抜かれた構想と語りで教えることのほうが何倍もすばらしいことが多い。当たり前であろうか。読書の力とは、だから、本の魅力に取り付かれることの力である。そんなチャンスとめぐり合いを用意する空間でありたいといつも思っている。