ひとつの文章はさまざまな問題を持ち、さまざまな観点から読んでいけます。ところが、テスト問題というものは、必ずしも文章のそのような多面的な豊かさを反映していません。なぜならその後に採点という膨大な作業がまっているからです。採点に時間をとるような問題は極力さけられ、あくまでも一つの正解に限定できる問題が選ばれるわけです。それは、記号式だろうが記述式だろうが同じです。記述式で許容範囲があるものもありますが、それは採点する学生でも判断できるようなものしかとりあげられません。しかも、大手進学塾の場合、テストの周期は一週間単位です。深く考えさせる問題は採点のことを考えると原理的にとても出せないようになっています。
　ところが、私立学校の本番の入試の場合には、一年に一回、しかも、先生方が自ら採点します。この違いの大きさは無視できるものではありません。塾の公開模試というものが必ずしも本番を占えない大きな理由はここにあります。