南さん。お手紙をありがとうございます。外からどう見えるか分かりませんが、私の塾は、塾の看板すらもないようなとても小さな塾です。あなたのご希望のように就職する、つまりこちらのサイドから言わせてもらうと、従業員をかかえて経営するということからはほど遠いものがあります。広告すら控えています。

そもそも、経営にはまったく素人で、そんなやっかいなことをするつもりははじめからありません。スタッフのみなさんは、手弁当で私を助けて下さっている方がたばかり。スタッフのみなさんにお礼をし、子どもの本を買い、税金を納めるとほとんどぎりぎりの生活なのです。

教育産業といいますが、ほとんどの場合「産業=金もうけ」部分が主であり、「教育」なんてたとえ考えていたとしても二の次のはずです。あなたは、そのようなところになら就職できるでしょう。産業=経営がしっかりとしていますから。そうですね。社長がベンツなんぞを乗ったりしているところ、たとえば大手進学塾なんかがふさわしいのではないでしょうか。

もしも、それがおいやなら、一人でやりなさい。そのヒントは本にきちんと書いてあるはずです。そのリスクを負うのもいや、そして、理想も追いたい、そんな甘い話は正直なところききたくもありませんね。

私のところは「教育」を全面に出し、それを主にしてやっています。そんなところがいまの社会に存在していること自体がおそらくあってはいけない話でしょう。経営部分は後からついてくることでしかなく、その時に従業員がいると、原理的に、「教育」が全面に出せなくなってしまうのです。

お分かりになっていただけますでしょうか。