これも、随分初期の作品です。当初どこで読んだか、全く思い出せません。
例の「舞子の詩4巻」を探している内に、先生の「自選集2」で見つけ、懐かしさの余り、思わず読み耽ってしまったので、ここに書かせて頂きます。
ヒロインのマリーは、交通事故で両親を失い、自身も足が不自由になっている。
憧れる男の子はいるが、「足」故に声もかけられないし、第一どうやらその子には、彼女もいるらしい。
苦労してマリーを育てたお姉さんは、目出度くカレシにプロポーズされるが、足の悪い妹のことを言えず、またマリーとも別れねばならないため、マリーにも言えず、悩みに悩む。
・・・もう、不幸の超特大大盛り・追加5人前!って感じですね。
こんな姉妹が幸せになる、ってのが、
昔の所謂「少女マンガの王道」だったわけですが、
これは、「誰も書かなくなった。」んじゃなくて、「誰も書けなかった。」んでしょうね。
こんなストーリーにリアリティ持たせるなんて、そりゃ無理ですよ!
・・・上原先生以外には。
自然な会話と優しい心、そして感動のクライマックスで、何時の間にか、手に汗握らされる。これが、上原先生にしか出来ない技ですよねぇ。
言えないまま迎えた結婚式で、お姉さんは「あ・・・あたし・・・あたしちかえません!」て、あれ?こんなセリフ、どこかで聞いたことないかい、シベール君(笑)?
先生自ら「上原節の原型」とおっしゃるこのシーン。間違いなく勘当の嵐ですよ。
そして、ヒロインの強さと明るさ。もう、上原ヒロインにハズレはありません!
このマリーも、まさに上原ヒロインの原型。
だからこそ、「あたしの夢はみっつ」というその夢が・・・って、ここは読んで感動して下さい。
「きみたちは恋人同士だね・・・?」と聞かれたマリー憧れの男の子が何と答えたか。ありそうでいて、上原ヒーロー以外にはありえないセリフにもご注目!
現代のギスギスした人間関係の中で癒しを求める貴方、
そんな方に、これは絶対オススメです。