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★クリーブランド・感想ノート★

たくさんの上原きみ子先生の作品の中から
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(39) 梓と類の青春 投稿者:TTZ−L

「そば平」カップル。
「いのちの器」の多彩な人間模様の中でも、特に記憶に残る、僕の大好きな2人です。
この「いのちの器」は、なづきさんのおっしゃる「ど少女まんが」の系統のように見えますが、男性から見ても十分泣けるように、ちゃんと上原先生は書き込んでくれてますよね。
それは、この2人のエピソードで、特によくわかるように思えます。

第24話で初登場。
他の女性に振られた類を、梓が「気分転換に」と信州旅行へ誘ったら、なんと類は会社も辞め、婚姻届に判まで押してきて、梓の実家に居ついてしまう。
これだけだと「類って、軽はずみな男だ」とか「振られた時優しくされて、愛と勘違いした」としか見えませんよね。でも梓は「それでもいい」と思ってる。まず、この健気な乙女心がとっても切なくていいです。
で、類はそんな梓に相応しい男か?

と、元彼女とのやり取りで、類が元彼女と付き合ってた頃から梓を好きだったことが判明する。
「周囲皆が認める公認カップルで、彼女に何の不満もない」のに、別の子を好きになっちゃう・・・男の子には結構あることで、実は僕も経験あります(滝汗)。最っ低だし、言訳しようがないから、結末はもう、余計メチャクチャになりますね(泣)。

でも類は、キッチリとケジメを付けてる。「俺は梓を愛してる!」と。すごいです。それができなかった同性(女性には申し訳ないけど、逃げたり逆ギレするのが普通です)として、尊敬します。ここでの類って、ほとんどクレオですよ。強さこそ優しさだということを知ってる。

これで、共に純粋な、お似合いのカップルなんだということがよくわかって、だからこそ応援したくなったのです。

さて、話はずっと飛んで第86話。5年後です。
「梓に、子供が出来た」と聞いた類は、涙を流して感激しますよね。その描写で、類がこのことで、梓に全くプレッシャーをかけてなかったことが判明する。

年頃になれば「結婚、結婚」と言われ、結婚したら「子供、子供」と言われる。これがどれくらい女性を傷つけてるかについて、ホント、僕ら男はニブイです。だから気楽に挨拶代わりに言っちゃう。「まだ〜?」と。

類は言わない。あれほど子供が欲しかったのに、絶対言わない。・・・「優しさ」。それも「強い優しさ」ですよね。
普段の二人がどうなのか、これだけでよくわかる。
こんな二人は絶対幸せになるはずだし、なって欲しい。

もうひとり「強くて優しい」男性がいますね、梓のお父さん。
梓のお母さんのお墓への報告で、一人娘なのに東京行きを止めず、ムコ取りなんて全然期待してなかったのがわかる。
ガンコ親父なんだけど「梓は、自分の人生を歩めばいい」・・・そういう想いが全身から伝わりますね。
梓の子供、つまり「孫」についても、父親としては夫以上に思い入れがあるはずなのに、出来たと知って、あんなにメロメロになるくせに、やっぱり口にはしない。
なんてカッコイイいいんだろう・・・強くて、優しい。優しすぎ!
ああ、だから梓もいい子になったんだなあ、なるほど。

僕も一応、「一人娘の父親」なんで(汗)、感動は大きいですよ。

上原先生の作品は、確かに「ど少女まんが」で、だからそのヒロイン達も輝いている。
でも、その一方で、男性の心理描写が実に細かい。先生の溢れる愛情を感じます。
だいたい、少女マンガのヒーローは、男性から見てどこか違和感があるのが普通なのに、上原ヒーローには、全くそれがない。共感しちゃう、感情移入しちゃうのは、先生がよくわかって下さってるからなんですよね。
「クレオ、大好きだー!」とか「ロベール君だって、頑張ってるんだよお!」とか僕がここで叫ぶ(笑)のは、そういうことなんですよ。

・・・ちょっとご無沙汰の梓と類だけど、元気で仲良くやってるはず。先生、たまには会わせて下さい。


2005年07月23日 (土) 11時06分




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