フランス革命が舞台となっている作品ではベルばらが有名であり、上原先生も意識をしていたのではないかと思いますが、ベルばらとはまた違った視点から見た話なので、興味深く読むことができました。
この作品は「舞子の詩」とほぼ同時期に書かれたものなんですね。
まったく違う内容のものを並行して描かれたことにも感心します。
私がまず興味を持ったのはサンジュストの設定であり、実在する人物も描く人によってこうも見方が変わるのかと…。
ベルばらでのサンジュストはそれほど目立たないし関心も持たない存在でしたが、こちらでは好青年で勇敢に描かれており惹かれるものがありました。
あとジュリアンの存在、ロベールと似ているということでマリーベルは彼に惹かれていくけれど、結局はジュリアンとしては愛してもらえず、それでも最後はマリーベルの幸せを願いロベールの身代わりとなり命を捧げるシーンはとてもせつないです。
なんとか報われないものかと思うのですが。
主人公のマリーベルについて。子供の頃ならとかく誰と恋に落ち、どう結ばれていくか…ということだけにとらわれがちでしたが、
今になるとそれプラス、主人公の生き方にも興味を持ちます。
一人で生きていくために必死になって演劇に打ち込み、自立した女性として確立していく姿、マリーベルのそんな強さもある意味うらやましく思いました。
ロベールとのその後も気になるのですが、多くの魅力的なキャラが命を落としてしまっているという悲劇もあるので、それを払拭してくれるような番外編(皆が健在でいるころのエピソード)も読めたらうれしいです。