<原題>「SPIDER」 <公開時コピー>「私の母は殺された。」
フランス・カナダ・イギリス合作。
「グロテスク」などで知られる英国のカルト作家パトリック・マグラアの原作を、
これまた「裸のランチ」「クラッシュ」とカルト小説の映画化に挑戦してきた鬼才デヴィッド・クローネンバーグが、「イングリッシュ・ペイシェント」のレイフ・ファインズ主演で映画化。
心の闇を巡る戦慄のサスペンス・スリラー。
というふれこみだったけれど、それはあまり感じなかった(苦笑)
少年時代の忌まわしい記憶と対峙した統合失調症(精神分裂症)の男が抱え込む、言いようのない恐怖を、冷たく静かなタッチで描く。
というふれこみだったけれど、それもあまり感じなかった(苦笑)
ロンドンのとある駅に降り立った一人の男・デニス(R・ファインズ)。デニスは精神療養施設を退院させられ、20年ぶりに故郷へ戻ってきた。
デニスは、社会復帰ができるまでのあいだ患者を預かってくれるという古びた家へと向かう。
ウィルキンソン夫人(L・レッドグレーヴ)に迎えられ、さっそく部屋をあてがわれたデニスは鞄を開け、中から1冊のノートを取り出した。そして、何事か書き付け始める。
少年時代、クモの話が大好きだったデニス(B・ホール)は、母親(M・リチャードソン)から“スパイダー”と呼ばれていた。配管工の父(G・バーン)はいつもパブに入り浸っていた。
やがてその父はパブの娼婦イヴォンヌと不倫の関係になってしまう。
デニスの脳裏に少年時代の記憶が少しずつ甦ってくる。「そうだ、僕の愛する母は、父とその愛人に殺されたのだ。。。」
レイフ・ファインズ Ralph Fiennes デニス・クレッグ(スパイダー) ←こんな役をやらせたらピカイチです!
ミランダ・リチャードソン Miranda Richardson クレッグ夫人+α ←サンフランシスコ批評家協会主演女優賞を受賞。
ガブリエル・バーン Gabriel Byrne ビル・クレッグ ←「四銃士」でのダルタニアンは素敵でした(^▽^〃
ブラッドリー・ホール Bradley Hall 少年時代のスパイダー ←デビューながら、上手い演技♪
リン・レッドグレーヴ Lynn Redgrave ウィルキンソン夫人
ジョン・ネヴィル John Neville テレンス
ゲイリー・ライネック Gary Reineke
フィリップ・クレイグ Philip Craig
★★☆☆☆
D・クローネンバーグ監督といえば、奇怪な状況に陥った人間の異常心理を好んだ映画が多い。
倒錯的なラブ・ストーリー「M・バタフライ」、おどろおどろしいドラッグ感覚が渦巻く「裸のランチ」、交通事故に破滅的なエクスタシーを見出す男女の物語「クラッシュ」など。
どれもこれも尋常ならざる怪作だが、人間のダークサイドを見すえるという意味では凄い監督。
これを踏まえて見るとこの「スパイダー」が暗く地味な作品でも、ぁぁぁ、いつも通りねと思う。
彼は初めてだったしピンとこなかったらしくて、┐(´ー`)┌ を連発、「500円でいいじゃん!」って言われちゃった(苦笑)
スパイダーってタイトルのわりには普通の蜘蛛すら出てこない(笑)
でもアパート内に毛糸で蜘蛛の巣をこしらえたり、巨大なガスタンクに脅えたり、突然農園の土の上に崩れ落ちて号泣したりする。
4枚のシャツを重ね着したり、トラウマすらも不確かな彼が始終不気味な独り言連発で明らかに異常!
こんな役を演じさせたらR・ファインズは上手いよね!!!
結局は「記憶」と「真実」が見事なまでに矛盾しているという物語。つまり主人公であるスパイダーの頭の中が完璧に変だから、そのスパイダーの物語も異常だということさー。
キーはM・リチャードソンということで。
オープニングのピアノに始まる歌は物悲しく響いて、映画の雰囲気にとても合ってる。
2003年4月2日(水)ワーナーマイカルシネマズ大宮