「HERO」の撮影中からすでに決っていたという「LOVERS」。
チャン・イーモウ監督をはじめ製作・脚本・撮影・アクション監督などスタッフもほぼ同じ。
ワダエミだし豪華なゴテゴテの派手な衣装の数々も楽しめます。
金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウというアジアのビッグスター三人を起用し手掛けた武侠アクション。
CMでもお馴染みポップコーンみたいのが飛び散り、チャン・ツィイーの袖パッサー!と鼓を打ちながら舞う牡丹坊でのオープニングに即惹き込まれました。
簾のシャラシャラ音をさせての浴室のシーンも印象的。
「グリーン・デスティニー」でも有名な竹林の戦いもスケールアップしているし。
草原に白菊満開の中シーンは、クライマックスでも同じ花の中での撮影のはずが思いがけずの大雪に急遽雪のシーンに変更したとかで。
なるほど半ば強引に見えたシーンも嬉しい相乗効果もあったわけだ。
相変わらず魅力満載な映像美のオンパレード。
<原題> 「十面埋伏」中国
韓国では「恋人」 米では「HOUSE OF FLYING DAGGERS」
DAGGERS=ひゅんひゅん飛ばしてた短刀ね
国によってタイトルが違うもの面白いね。
「十面埋伏」という名の古典の楽曲から。
英語サイトだと「Ambushed From Ten Directions」十方向から待ち伏せされる、というような意味?
反乱軍“飛刀門”を指すみたい。
<公開時コピー> 「3つの[愛]が仕掛けてくる」
<あらすじ> 全盛を極めた唐王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国。
世間では“飛刀門”なる反乱軍が民衆の支持を得て勢力を拡大していた。
朝廷の捕吏二人:劉(リウ)と金(ジン)は、飛刀門の討伐の命を受けてその集団の前首領の娘といわれる盲目の踊り子:小妹(シャオメイ)を捕らえ、彼女を救うふりをしてジンが集団に潜入、リウが密かに二人を追うという作戦に出るのだが。。。
金城武 Kaneshiro Takeshi・・・・・・ジン
チャン・ツィイー Zhang Ziyi・・・・・シャオメイ
アンディ・ラウ Andy Lau・・・・・・・リウ
ソン・タンタン Song Dandan ・・・・・牡丹坊の女将
★★★☆☆
□HPhttp://221.254.243.163/~warnerbros.jp/lovers/ 注:以下ネタバレアリ
映像美は色づかいも素晴らしいし魅力ある。
でもストーリーは。。。
あるサイトでチャン・イーモウ監督は
・ワーナーと撮ると、派手にCGを使った時代背景や内容なんてどうでもいいようなDVD向け映像の映画になる。(英雄、LOVERS)
・ソニーと撮ると、中国の実情を写しながらの心温まる映画が作れる。
(初恋のきた道、あの子を探して)
と偶然なのか?という分析も出来るほど、なるほど会社の意図もわかりやすいかも。
時代背景はこんな感じ。
朝廷対反対勢力の争いはどこへ? 飛刀門の目的は?なんて思ってはいけないのかも(苦笑)
それには訳もちゃんとあって。
「アニタ・ムイに捧ぐ」
HPによると主演スターの一人として参加するはずだったけれど、癌で倒れ現場に入ることなく2003年12月30日世を去った。
チャン・イーモウ監督は敬意をはらいアニタ・ムイを予定したキャラクターに代役を立てないと言明して脚本を修正。
劇中、飛刀門の新党目が顔を隠した姿で出てくるけれど、それは本来アニタ・ムイが演じる予定だったそうです。
新党目が三人に絡むことによってさらに展開するはずだったとか、小説ではもちろん元々のストーリーなので是非読んでみたい。
だから普通に小妹を巡る三角関係の映画だと思えばなんてことは無い。
離れて三年たっても想い続ける人間もいれば、三日で心奪われる人間もいると、その運命的で必然的な三人の関係は痛々しい。
愛し方もそれぞれ違うし。
監督曰くいつでもどこでも、本当の愛に落ちてしまう可能性があるんだと。
ああいうラストしかないよなぁ。
アンディ・ラウももちろん魅力的だけれど、牡丹坊で見せる金城武のニヤけた艶っぽい笑顔からウットリ。 個人的にもうクラクラしていました(爆)
弓を放つシーンも様になっていたし、アクションものは他になかっただけに楽しめました。
アンディもチャン・ツィイーも「段取りをキッチリして臨んでいたので大丈夫」と言ったのに対し、彼はインタビューでも素直にアクションは「大変だった!」って言っていました。
男二人の戦いも2.5キロもある真剣で、雪用の装備なしのファイト、肉弾戦だーねー。
そういうのは伝わりました。
撮影中落馬して靭帯を二箇所損傷、ギブスをつけたまま演技とか、ああいう撮影は想像以上にキツイんだろうな。
ともかく色んな意味でおなか一杯になった映画でした(笑)
2004年9月29日(水)草加シネマサンシャイン