<原題>「21 GRAMS」
<公開時コピー>「誰もがいつか失う重さ。」
病院で患者の亡くなる瞬間の体重を量ったところ、死んだあと21gだけ軽くなったそうだ。
その実験を行った医師は、その軽くなった分が魂の重さだと主張した。 そんな“魂の重さ”がテーマ。
映画のコピーによると、5セント白銅貨5枚、ハチドリ、チョコレートバー、などか21gくらいらしい。
監督は、長編映画初監督作「アモーレス・ペロス」をカンヌ国際映画批評家週間に出品、いきなりグランプリに輝いたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
主演は「ミスティック・リバー」のショーン・ペン、「トラフィック」のベニチオ・デル・トロ、「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツがリアリティ溢れる迫真の演技を展開。
・2003年ヴェネチア国際映画祭、男優賞ショーン・ペン
・2003年LA批評家協会賞、女優賞ナオミ・ワッツ
<あらすじ> 全く別の世界に生きていた1人の女と2人の男の運命を引き寄せたのは、ひとつの心臓だった。
余命1ヵ月と宣告されて、心臓移植以外に助かる道のないポール。
優しい夫と2人の幼い娘と幸せに暮らしているクリスティーナ。
刑務所を出たり入ったりしていた過去を忘れるため、信仰にのめり込んで平穏な生活を送るジャック。
ある日、ジャックが運転するトラックが、クリスティーナの夫と娘たちの命を奪ってしまう。
夫の心臓はポールに移植され、やがて回復したポールが、どうしても心臓をくれた人を知りたいと熱望した時、3人の運命は出会い、重なり、よじれ、予想もしなかった結末へとたどり着く。
いや、愛、悲しみ、罪の激流にもがきながら、それでも泳ぎ続ける3人がたどり着いたのは、結末ではなくすべての始まりだった。。。
ショーン・ペン Sean Penn・・・・・・・・・・・・・・ポール
ベニチオ・デル・トロ Benicio Del Toro・・・・・ジャック
ナオミ・ワッツ Naomi Watts・・・・・・・・・・・・・クリスティーナ
シャルロット・ゲンズブール Charlotte Gainsbourg・・・ポールの妻
メリッサ・レオ Melissa Leo
ダニー・ヒューストン Danny Huston
クレア・デュヴァル Clea DuVall・・・・・・・・・・・・・・・・・・クリスティーナの妹
★★★☆☆
■HP http://www.21grams.jp/
ストーリー自体はなんてことはないかなと思う、時間軸を交差させて切り貼りした映像は「メメント」で慣れたw
頭の中で繋ぎ合せるのが大変に感じる人も多いかもしれない。
映画が進むにつれて覚えていたシーンがでてきたり、ああ、あのシーンはこれだったのかと気付いたりして、効果をあげています。
あれっこれって、こんな終わりの方のシーンだったのかとラスト近くで気付くこともあったなぁ。
撮影のロドリゴ・プリエトは、ほとんどのシーンを手持ちカメラで撮影したようで、HPに「彼らの演技を最短距離で見るのは信じられないほど感動的だった。いくつかのシーンでは、余りに圧倒されて感情が高ぶり、泣いてしまったほどだ。」と載っていました。
撮影開始に先立ちエキストラが集められ、可能な限りその職業の人物をキャスティングしたようです。
この映画では心臓外科医が心臓外科医を、看護婦が看護婦を演じていて、レストランの客さえも、ロケ地で選ばれた店の常連客から選ばれたそうな。
ラストは結構重く三人それぞれの進む道がハッキリとしていて、「それでも人生は続いていく」、まさにこれが現実、という感じでした。
でも二時間の映画なのに「まだ終わらないのね、まだなのね。。。」と思った以上に長く感じさせられてしまったところもあり(少々眠くなったことも。。。w)
特にデル・トロの演技は、最高!!!
彼の顔が画面に出ただけで、人物の心境の変化がわかります。
素晴らしい。
信じることを恐れながらも神に頼ることを選び、その神に捨てられたと自暴自棄になるところとか、自分探しに翻弄してしまうジャックの姿は、おそらく誰にでも一度はもったことのあるこういう不安だけに見ていて苦しい。
平和のために暴力を使うという子供の頭を叩くシーンで、ジャックは
「この家では、暴力を働く人間はいない」と言いながらも、彼自身が子供に暴力を振るっている、こういう姿は痛々しい。
「目で妊娠させる男」w、デル・トロは初来日だったようです。
親も同行、オフに京都などを廻ってたっぷり親孝行したとか。
クリスティーナの妹役のクレア・デュヴァル、
「アイデンティティー」だ!ってすぐ思い出した。
「ノイズ」「17歳のカルテ」 今年だとあの呪怨のハリウッド化「JUON」にも出演するんだよね。
ショーン・ペンも負けてません。
心臓病を患っている時、手術により健康を取り戻した時、再び健康を失った時。
これらを見事に演じきってます。 眼力あるし。
ただショーンペンとナオミワッツのラブシーンも、寂しさに負けてっていうんだったらまだしも以外にナオミワッツ側も乗り気で少々ゲンナリ。
一番最後のシーンでナオミのところにベニチオがやって来るシーンは好き。
ベニチオが言葉ではなくて沈黙の中でそれを伝えたい、目だけで伝えるって所が良かった。
ナオミは「リング」よりも「マルホランド・ドライブ」がイイ。
ニコール・キッドマンが親友って私は最近知りました。 5へぇw
現在の彼氏は9歳年下のヒース・レジャーなんだそうで。 3へぇw
でもやっぱり何よりもこの映画を評価したいのは、ストーリーの結末。
死に逝く人は、死に。生きる人は、生きる。
どんなに薄幸で重い苦悩(罪)を持っていても、人は生き続ける。
当たり前のようで、これが、光る。
ポール
誰かが死ぬまで病室で待つなんてできない。
ここなら、楽に死なせてくれる?
それはお断りだ。僕は外で死にたい。
クリスティーナ
あの日、ケイティは赤い靴ひもをつけていた。
嫌っていたのに。
ずっと青いのを欲しがってたのに、私は買ってやらなかった。
あの子は赤い靴ひもで死んだのよ。
ジャック
自分で下した決断が、おれの鏡だ。
1人で向き合うしかない。
おれには消せない。 誰にも消せやしない。
2004年7月3日(土)渋谷シネパレス