気の弱い男がある日、3人の隠し子を押し付けられ、動転して親とは思えない行動に出てしまうさまを描いたサスペンス・タッチの人間ドラマ。
松本清張の原作を野村芳太郎監督が映画化した問題作。
<あらすじ> 印刷屋を営む竹下宗吉と妻のお梅。
ある日、宗吉の愛人が3人の隠し子を宗吉に押し付けて失踪した。
妻のお梅は子どもたちに辛く当たり、やがて、末っ子の赤ん坊が不慮の事故で死んでしまう。
お梅が故意に仕組んだと察した宗吉は残る2人も何とかしなければと追い詰められて行き。。。
・日本アカデミー賞1978年主演男優賞 緒形拳、監督賞 野村芳太郎 「事件」に対しても
・ブルーリボン賞1978年主演男優賞 緒形拳、監督賞 野村芳太郎 「事件」に対しても
緒形拳・・・・・・・・・竹下宗吉
岩下志麻・・・・・・・お梅
小川真由美・・・・・菊代
大滝秀治・・・・・・・銀行貸付係
加藤嘉・・・・・・・・・医師
田中邦衛・・・・・・・パトカーの警官
蟹江敬三・・・・・・・阿久津
穂積隆信・・・・・・・ブローカー水口
大竹しのぶ・・・・・・婦人警官
浜村純・・・・・・・・・福祉事務所の係員
鈴木瑞穂・・・・・・・刑事A
山谷初男・・・・・・・印刷屋の男
石井均・・・・・・・・・庄二
江角英明・・・・・・・アパートの管理人
岩瀬浩規・・・・・・・利一
吉沢美幸・・・・・・・良子
松井範雄・・・・・・・紙問屋店員
三谷昇・・・・・・・・・新幹線の車掌
山本勝・・・・・・・・・福祉事務所の係長
鈴木誠一・・・・・・・刑事B
★★★☆☆
’02版・北野武の男、黒木瞳の妻、室井滋の愛人。
こちらの「鬼畜」より断然味がある。
緒方拳の、小市民的な男が殺人者へと変わる怖さ、みたいなものがあって。
北野武はキャラ的にもう充分殺意が宿っているかのように見えてしまう。
岩下志麻の冷たい美しさはもう恐ろしいほど素晴らしく(ラブシーンの叫ぶような声には苦笑したけれど)、お梅のキャラがあってこそ宗吉はますます内気になりその弱さから、よそに逃げる場所も欲しかったのだろう。
下町、場末の印刷工場、真夏でもクーラーを入れないので皆汗だくで働いている。
子供たちにもちろん罪はないけれど、「子供さえいなければ」という気持ちに感情移入出来て。
能登だかの旅館で、酔っ払って宗吉が生い立ちを話すシーンもなかなか。
生活苦、その他もろもろが宗吉を追い詰め、とうとう一線を踏み越えてしまう様はとても哀れだ。
恋人や家族でいっぱいの東京タワーや上野動物園など、あったかみのある場所で起こる悲劇の怖さ。
特に二度出る東京タワーのシーンは哀しい。
そしてラストの利一の言葉は「砂の器」の本浦千代吉に通じるものがある。
親子の、愛があるからこその切ない言葉。。。
(「砂の器」で本浦千代吉役の)加藤嘉、
大滝秀治、蟹江敬三、田中邦衛、浜村純、三谷昇など映画ならではの豪華なキャスト。
大竹しのぶの婦警姿は、今のしっとりさがまだなくキャピキャピ弾んだ明るい雰囲気で、このシーンは明るい。