<公開時コピー>「「人間の宿命を追って胸迫る感動!」」
松本清張の原作発表以来、構想に14年を要して、山田洋次と橋本忍の共同脚本。
橋本は「七人の侍」など一連の黒沢作品のほか、「日本の一番長い日」、「白い巨塔」、「八甲田山」、「日本沈没」、「八ツ墓村」など大作・話題作も含めて70本以上の脚本を書いている。
迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負うがために殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描く。
<あらすじ> ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。
被害者の身許が分らず、捜査は難航。
元三木巡査殺害の事件を追う二人の刑事が、事件と犯人との接点を地道な捜査によってつなげていく。
キーワードは「かめだ」という言葉と東北弁。
そして、中央線に乗って白い紙切れをまいていた女性。
事件の奥には、一人の人間がどん底の生活からトップに上り詰めるまでのおいたちと、その父親。
悲劇へとつながる巡査と1組の親子との出会い。
ストーリーの中で一人の新進気鋭ピアニスト<和賀英良>の生い立ちが絡んでくる。。。
丹波哲郎 ・・・・・今西栄太郎
森田健作 ・・・・・吉村弘
加藤剛 ・・・・・・・和賀英良
加藤嘉 ・・・・・・・本浦千代吉
春田和秀 ・・・・・本浦秀夫
島田陽子 ・・・・・高木理恵子
佐分利信 ・・・・・田所重喜
山口果林 ・・・・・田所佐知子
緒形拳 ・・・・・・・三木謙一
松山省二 ・・・・・三木彰吉
内藤武敏 ・・・・・捜査一課長
稲葉義男 ・・・・・捜査一課係長
穂積隆信 ・・・・・新聞記者・松崎
夏純子 ・・・・・・・クラブ・ボヌール女給・明子
松本克平 ・・・・・三森署々長
花澤徳衛 ・・・・・昔の三木の同僚・安本
笠智衆 ・・・・・・・桐原小十郎
春川ますみ ・・・・扇屋女中・澄江
渥美清 ・・・・・・・・ひかり座・支配人
菅井きん ・・・・・・山下・お妙
今井和子・・・・・・・三木の妻
殿山泰司 ・・・・・・のみ屋・主人
野村昭子 ・・・・・・若葉荘の小母さん
浜村純 ・・・・・・・・巡査
★★★★☆
「秋田県 羽後亀田につく」という字幕からこの映画は始まります。
ストーリーを字幕で説明するという事が時々あって。でも違和感はなくて。
(2004版でも同様に字幕説明が入るのはこういうことか、って納得。
あさみは2004版オリジナルキャストなのね。)
今でこそ大貫禄の丹波哲郎が、一刑事として難事件に挑む姿は渋くて凛々しい感じがとても良かった。
加藤剛は「大岡越前」のような聖人君子の演技よりも、今作品の人間の業を内面に秘めた演技の方がイイ感じ。
森田健作も浮いた爽やかさは無くて、新人熱血刑事っぷりがよく出来ていたように感じました。
また少しの役でも、名のある役者さんたちが何人も出演している所が豪華だなーって感心。^^
何故わざわざ血痕のついたシャツ(細かく刻んだとはいえ)を列車の中からふらすのか?(原作がそうだからでしょうね?)
ここだけが想像つかないないゃ。。。
今まで見てきた2004版が吹っ飛びました。
ぃゃ、あれはあれで現代らしくアレンジ出来ているとは思うけれど、
渡辺謙がイイだけで、比べものにはならないょー。
見比べたり、原作も読んでみたいなぁ。
テレビ単発・1962年(和賀英良・夏目俊二:今西刑事・高松英郎/以下同)
映画・1974年(加藤剛:丹波哲郎)
テレビシリーズ・1977年(田村正和:仲代達矢)
テレビ単発・1991年(佐藤浩市:田中邦衛)
テレビシリーズ・2004年(中居正広:渡辺謙)
その最後の20〜30分間に流れるピアノ協奏曲は素晴らしい!!!
犯罪に至るまでの経緯に30分以上も使うなんて、おそらくハリウッド映画では考えられないでしょうねー。
非常に丁寧に描かれていて、とても感慨深いものがあります。
美しくて哀しくて切なくさせます。お涙頂戴作戦にハマった(苦笑)
“ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」”
同時進行する今西刑事の執念の捜査の結果報告と、
訪ね歩く地の人々から追い立てられる苦難の巡礼の父子の旅が、
「宿命」と名付けられた劇中音楽とともに映画のクライマックスに向かっていく様は圧巻。
捜査報告以外に台詞はほとんど無く、またそれだけ父子の情念が伝わるようで良かった。
和賀の、自分の過去との「対話」のために作曲したであろう「宿命」
吉村刑事 「今西さん、和賀は父親に会いたかったんでしょうね。」
今西刑事 「そんなことは決まっとる。彼は今、父親に会っている。彼にはもう、音楽、音楽の中でしか父親に会えないんだ。」
いやー、臭いですねェ。 この辺が山田洋次でしょうかねぇ。
この台詞の後に独白のようなピアノの響き、そしてフィナーレ。
この部分が感動的。
そして日本各地の美しい情景。
特典映像でも説明されていたけれど、実際の撮影スタッフも巡礼の親子の旅のイメージに一致する風景を求めて、真冬の青森竜飛崎、初春の長野、新緑の北茨城、紅葉の阿寒湖まで含めて全国を渡り歩き、撮影にロケハンも含めて1年半を費やした結果、移動距離は27000km!!!
事件の手がかりを求めて今西刑事が、食堂車のついている夜行の急行列車や、いくつも路線を乗り継いで行くあたりは、旅情も満点で、どの地方の場面でも汗ばむような真夏の暑さとなぜか郷愁が伝わってくる。
東京のシーンでは、警視庁の古い建物の全景が映っているのが貴重。
事件の謎解きのカギとなる亀嵩は、現地の周辺各地で撮影。
亀嵩駅も同じJR木次線の近くの二つの駅で、ホームと外観が別々の駅で撮影。
ほんのわずかな時間のカットでもシナリオのイメージとおりの場所を探す製作スタッフの苦労は並大抵ではないよね。。。
それから「ハンセン病患者の哀しい扱われ方」
加藤嘉演じる犯人の父親の、我が子を思う心は、凄すぎる。。。
どうしても一緒に旅が続けられない、それでも我が子可愛さは一生忘れる事が出来ない、
その想いがこの映画のテーマでもあるような。
差別され続けなければならない」わが身を隠し、生き長らえてもう一度息子に合いたい一心だったのに、
「こんな人は知らない!!!」と叫ばせる彼の心中は、丹波さんじゃなくても泣くっちゅーねん。
ハンセン病患者はようやく少しずつ社会的に、国が補償という形をとって落ち着きそうなんだろうけど、おそらくこの映画の公開当初はまったくそういったことは行われなかったと思います、あくまで推測です。
---ミニ知識w---
「砂の器」の舞台となった亀嵩)駅は、駅長(駅の管理を任されている人?)が自らソバを打つことでも有名で、クルマで立ち寄る人が多い。
---ハンセン病---
らい菌(Mycobacterium leprae)によって起こる慢性の細菌感染症。
かつては「ライ病」と呼ばれていたが、古くからの偏見に結びついた呼称であるため、菌を発見したハンセン氏にちなんで「ハンセン病」と呼ばれるようになった。
体の末梢神経が麻痺したり、皮膚がただれたような状態になるのが特徴。
特にその外見から、患者やその家族は差別の対象となり続けた。
1907年(明治40年)に公布された「癩予防ニ関スル件」が、患者の隔離政策の始まりである。
患者は、警察によって強制的に連行され、療養所に収容された。
しかし、そこではろくな治療は行われず、患者同士での看護・作業など病人扱いされなかった。
また、結婚の条件として非合法な断種・堕胎なども行われた。
1941年ハンセン病の特効薬プロミンが開発され、完治する病気に。
1956年、ローマでの国際らい会議で、「すべての差別法は禁止されること」と、非難されたにもかかわらず、
1996年「らい予防法廃止法」の成立まで人権侵害を放置し続けた国の責任は重い。
もともとハンセン病は感染力の低い病気であり、日常生活で感染する可能性はほとんどない。
現在療養所に入所している人は、既に完治しているが、後遺症や高齢のため入所しているというのがほとんど。
また感染したとしても、早期発見早期治療すれば完治し、後遺症が残ることもない。