<原題>「MONSTER'S BALL」
<公開時コピー>「たかが愛の、代用品。
根強い人種差別的思想を抱えた死刑囚棟の元看守が、ある悲劇をきっかけに自らの生き方に疑問を抱き、やがて死刑囚の妻である黒人女性と恋に落ちていく人間ドラマ。
監督はスイス出身の新鋭マーク・フォースター。
主演は「バンディッツ」「バーバー」のビリー・ボブ・ソーントンと「X−メン」のハリー・ベリー。
・アカデミー賞2001年主演女優賞受賞 ハリー・ベリー
・ベルリン国際映画祭2002年銀熊賞(女優賞)受賞 ハル・ベリー
・日本アカデミー賞2002年外国作品賞受賞
<あらすじ> 父の代からの南部の死刑囚棟看守ハンクは、父譲りの人種差別主義者。
父の考えに疑問を抱く息子は、和解の前に自殺してしまう。
その死の衝撃から立ち直れないハンクは、やはり死刑囚の夫と息子を相次いで亡くした黒人女性レティシアとそうとは知らずに出会い、心惹かれていく。。。
ビリー・ボブ・ソーントン Billy Bob Thornton・・・・・ハンク・グロトウスキ
ハリー・ベリー Halle Berry・・・・・・・・・・・・・・・・・・レティシア・マスグローヴ
ピーター・ボイル Peter Boyle・・・・・・・・・・・・・・・・バック・グロトウスキ
ヒース・レッジャー Heath Ledger・・・・・・・・・・・・・・ソニー・グロトウスキ
ショーン・コムズ Sean Combs・・・・・・・・・・・・・・・・ローレンス・マスグローヴ
モス・デフ Mos Def・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ライラス・クーパー
★★★☆☆
■HP http://www.gaga.ne.jp/chocolate/
17世紀のイギリスでは死刑囚が処刑の前夜を平穏に過ごせるように催すパーティー、それを、原題〜MONSTERS BALL(化け物たちの夜会)〜と言ったらしいけれど、それとこの邦題はよくわからん。
肥満の息子が食べるチョコレートバー、ハンクがいつも決まって注文するチョコアイス。
登場人物たちは、手に入らぬ愛の代用品として苦いチョコレートを食べるから?
黒人をも指しているのでしょう。
人は皆、死刑の前の晩餐を生きてるってことかなぁ? つまりMonsters Ballは人生のことなのかも。
犠牲を伴わないで人の心を変えることは出来ないのだろうか。。。
人種差別、自殺、死刑囚、事故死。。。
ハンスの心が変わっていく様子があまり感じられず、演技に魅せられているうちに終わってしまい残念。
というか性欲?みたいな部分があって、コアなラブシーンの印象が残ってしまうのがつらいところ(汁)
でも前と後ではラブシーンの意味合いがまったく変化しているのはわかった。
ビリー・ボブ・ソーントンは「ラブ・アクチュアリー」でエロ米大統領というその明るさが全く無く、熱演。
黒人と女性を蔑視する父親からの呪縛にとらわれていた自分に気付くハンク。
代償が大きかった分、彼の価値感は根底から変わるけれど、殆どセリフなしでこの心境の変化を演じきる無愛想なビリー・ボブが本当に上手い。
英語版「もののけ姫」声優出演もしています。
最後にレティシアの夫の死刑を執行したのがハンクだとわかりなんともやるせない、許せない表情をレティシアがするけれど、
この後ラストで、彼女は庭にあるお墓(彼の失ったもの)を見て、困惑しながらも彼を許しこれからもやっていこうか?というなんとも複雑な表情をする、
ここがハル・ベリー最大の見せ場なように感じました。
夫の死で開放され、息子の死で自由になったレティシア、でも心は悲しみのあまり血を流している、
この二人の演技の素晴らしさがあって、彼女に賞を取らせたのでしょうな。
スイス出身の監督らしいというのか、そういうヨーロッパ映画系特有の、くどい説明を省略したテイストを感じました。
その意味で、ラストでいきなり監督は二人を突き放し「これもまた人生」と終わらせたのではないかと思います。
夫はどんな罪で死刑になったとか、事故についても触れられることもなく、色んなシーンについて想像をめぐらせることが出来る作品ではないかと。
深い喪失の淵から、愛を知ることによって人生を取り戻す男と女の新たな出発ですな。。。