●能登半島珠洲地方の地震活動
1,2022/6/19:M5.4 最大震度6弱:深さ約10km
能登半島、直近1年半で地震150回以上 昨年9月に震度5弱も
朝日新聞:2022/6/19
能登半島では、最北端の石川県珠洲市周辺を震源とする群発地震が2020年末ごろから活発化している。
21年9月には震度5弱の地震も発生した。気象庁によると、21年1月から現在までに、震度1以上の揺れを150回以上観測している。
金沢大学の平松良浩教授(地震学)は、地下から上昇した流体が地殻を膨張させている可能性などを指摘。周辺地域も含め、マグニチュード(M)7クラスの大きな地震を引き起こしかねない、と警鐘を鳴らしていた。
2,最近の状況
(1)地震発生と地殻深部の流体の関係を解き明かすために
能登半島沖で海底観測を開始 金沢大学:2022/9/14
https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/110540・能登半島では地震活動の活発化や地殻の隆起が観測されており,地下深部から上昇してきた流体が要因であると考えられている。
・しかし,地震の震源は海岸沿いに位置しているために,海域の調査を実施することで,地殻深部の流体の分布と地震発生の関係をより詳細に把握することができる。
・そこで,能登半島の沖合において海底観測を実施する。自然の電磁波を測定することで,地震発生域やその深部の流体の分布を可視化でき,地震発生と流体の関係が明らかになると期待される。
・海底装置の設置完了日:2022年9月13日(火)
海底装置の回収予定日:2022年10月25日(火)
地震の発生(特に群発地震(※1))には地殻深部から上昇してきた地殻流体(※2)の関与が以前から指摘されています。高圧の流体が岩盤を押し広げるために,地震が発生するという説です。
※1 群発地震
地層活動のうちで前震・本震・余震の区別がはっきりせず,ある地域に集中的に多数発生するような地震群。通常の地震活動では,本震・余震あるいは前震・本震・余震といった一連の地震活動が認められ,余震の回数は時間とともにある程度規則的に減少する。群発地震活動はこのような一連の活動を示さず,消長を繰り返しつつ一定期間継続する。(※以上,地震調査研究推進本部による解説文を一部改変)
※2 地殻流体
地球表面を構成する地殻(平均厚さ30km)に含まれる流体(液体と気体が混ざったもの)。地下水は,地殻流体の一つである。地殻の深い部分に分布している流体は,地殻深部流体と呼ばれている。
(2)能登の群発地震で“第5の震源域”? 専門家「変わった活動が起こりだした」
MRO 北陸放送:2022/11/25
能登半島で続く群発地震で、11月中旬以降、これまで地震活動がみられなかった地域で地震が発生していることがわかりました。専門家は新たな震源域の可能性もあるとみて、今後の活動を注視することにしています。
石川県珠洲市周辺では、今年6月に震度6弱と震度5強を相次いで観測するなど、2020年12月ごろから地震活動が活発な状態が続いていて、震度1以上の地震は今年に入って170回を超えています。
一連の地震の震源は珠洲市周辺の4つのエリアに分けられ、特に北側の2つのエリアで地震活動が活発になっています。
ところが11月18日以降、これまで地震活動がみられなかった珠洲市南東部の富山湾周辺で一時的に地震が相次ぎ、19日には震度3を観測しました。
また震源の深さもこれまで10キロ以下だったのに対し、5キロ前後と浅くなっています。
地震学が専門の金沢大学の平松良浩教授は24日、震災対策を話し合う県防災会議の部会で
「ちょっと変わった活動が起こりだしたので、これがどうなるのか注意している段階」と述べました。
専門家は地震活動が一時的なものか、新たな震源域に発展するのか、今後の推移を見守りたいとしています。
★★
MRO 北陸放送で11/25に放送された図の一部を下図に抜粋しました。
https://bbs2.sekkaku.net/bbs/upfile/ikaseqa--1670024671-922-589.jpg11/18以降、
珠洲市南東部の富山湾周辺で一時的に地震が相次ぐ。黒丸で示された地域です。
地図地方北側と南東側の新たな活動領域。
どちらも、近郊に活断層があります。
特に北側の活断層全体が動くと、M7.7の大地震が想定されている(石川県資料より)