●千葉県東方沖群発地震
○概要
6/3夕方から、本日13時までに、
千葉県東方沖で、有感地震が6回発生しました。
震度は1から3です。
その震源分布図を図2017060401の右上に示しました。
http://www.tochiginokenkyusha.com/ikase8/bousouslowslip.jpgこの領域は、過去、頻繁に、スロー地震(スロースリップ)が発生しました。
2014年1月に発生した房総半島沖のスロースリップを左上に示しました。
現在発生している震源と同じ領域で、2014年のスロースリップが発生しています。
○過去の房総半島沖のスロー地震(スロースリップ)
スロー地震は、断層破壊がゆっくりと進行する地震現象であり、強い揺れを伴わない。
房総半島東部から千葉県東方沖にかけての領域では、
地表にある北アメリカプレートの下で、フィリピン海プレートが太平洋プレートとの間に沈みこんでいる。
北アメリカプレートとフィリピン海プレートの境界面では、
1983年・1990年・1996年・2002年・2007年・2011年・2014年の計7回、スロースリップが発生した
図2017060401の下図をご覧ください。
縦軸が地震の規模を示しています。
過去7回のスロー地震に伴う群発地震の最大規模は、M5.5程度で、震度4-5の地震が数回発生します。
期間は、凡そ10日間前後です。
また、過去7回のスロースリップの発生間隔は、91、65,77,58,50、27ヶ月となっています。
○予想との関連
5/30報告、 5/25にも報告
首都圏は、「最大震度4。局地的に震度5弱までの地震」
おそらく、伊豆小笠原諸島方面(深発地震含む)または、房総沖から茨城沖
今後、10日間前後、最大震度4。局地的に震度5弱までの地震に注意です。震災にはなりません。
○スロー地震の巨大地震の関連性→こちら
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2016/07/bc66eb9406133d7a7433c7ed3bf3237c.pdf1年前に、東大地震研で、とりまとめられた報告です。
(引用開始)
スロー地震の多くは沈み込むプレート境界面上で巨大地震発生域に隣接し、巨大地震と共通の低角逆断層型のメカニズムを有することから、
巨大地震との関連性が示唆されてきた。スロー地震は、発見されてから20年に満たないが、
巨大地震に対して次の3つの役割を担う可能性があることが、これまでの観測研究により明らかになってきた。
1,Analog(類似現象):
スロー地震の活動様式が巨大地震と類似し、さらに高頻度で発生することから、
巨大地震の発生様式を理解するためのヒントを与える可能性。
2,Stress meter(応力状態を反映するインジケーター):
スロー地震は周囲の応力変化に敏感であるため、巨大地震震源域における応力蓄積の状況に応じて、スロー地震の活動様式が変化する可能性。
3,Stress transfer(周囲への応力載荷):
スロー地震の発生によってその周囲に応力を載荷することがあるため、隣接した巨大地震震源域における断層破壊を促進する可能性。
(引用終了)
現在モニタリング中の巨大地震予想震源域の断層破壊を、この房総沖のスロー地震が促進する可能性があると思います。
また、
房総半島沖のスロースリップの発生間隔も次第に短くなっており、この点も、巨大地震発生が近づいていると考えられます。