◎房総沖巨大地震モニタリング:前回モニタリング:9/6、9/20、10/11、10/15、10/20、10/30、11/20、12/04,12/18実施
昨日、本サイトのメルマガ配送を依頼している「まぐまぐ」から
2016年のメルマガ:安全防災部門で、大賞を受賞したと連絡がありました→こちら
http://www.mag2.com/events/mag2year/2016/category/safety.html本日は、受賞記念ではないですが、この巨大地震で、皆様に一番伝えたい、防災のポイントを報告します。
まず、いつも、モニタリングで載せる防災のポイント
伊豆鳥島近海震央で、地震の規模がM8.2-M8.4の巨大地震による津波のシミュレーション
http://www.tochiginokenkyusha.com/ikase8/izuogasawaratsunami3.jpg(東京大学総合防災情報研究センターの原田智也特任助教作成)
M8.2-M8.4の鳥島近海地震の場合には、房総半島外房から九州の宮崎まで、3-5mの津波が襲います。
特に、津波の波高が高いのは、四国の太平洋側と和歌山県で、10-13mにも及びます。
巨大地震発生時には、大津波警報が、
千葉県外房、伊豆諸島、相模湾、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、大分県南部、
宮崎県沿岸部、種子島・屋久島地方、奄美諸島・トカラ列島に発令されると予想されます。
この図の上の図は、東京大学総合防災情報研究センターの原田智也特任助教や石橋克彦・神戸大学名誉教授が
丁寧に再調査した、1605/2/3:慶長地震の津波の波高分布です。
石橋克彦・神戸大学名誉教授は、南海トラフ巨大地震として分類されているこの慶長地震の記録を調べなおした結果、
西日本の南海トラフ沿いに強震動がなかった。古文書が多く残る京都でも揺れの記録がない。
その事実をはじめとして、1605/2/3:慶長地震の地震動や津波の記録を調べなおした。
また、多くの地域を震源域として、津波のシミュレーションを繰り返した。
その結果、
慶長地震が南海トラフのプレート境界型地震ではなく伊豆・小笠原海溝の一部(鳥島付近100km四方前後)の
M8.2-8.4の地震を仮定すると津波の再現ができるとした。
典型的な伊豆小笠原諸島の大地震の震度分布を図2016122301に示しました。
http://www.tochiginokenkyusha.com/ikase8/sindobunpu1072.jpgどちらも関東から東北で揺れが観測され、西日本では、揺れは観測されません。
これらの研究成果は、下記で発表されました。
石橋克彦, 原田智也(2013):
1605(慶長九)年伊豆-小笠原海溝巨大地震と1614(慶長十九)年南海トラフ地震という作業仮説,
日本地震学会2013年秋季大会講演予稿集,D21-03
ここでは、慶長地震の震源の位置を議論するつもりはないですが、
「「伊豆小笠原海溝巨大地震(伊豆鳥島近海M8.2-M8.4)による津波の波高分布は、1605/2/3:慶長地震の津波の波高分布に一致する」」
この事実が大事です。
テレビで、喧伝されているように、「南海トラフ巨大地震の発生が近く、震度6や7の揺れと巨大津波が発生する」
このように刷り込まれています。
しかし、伊豆小笠原海溝の巨大地震では、西日本の南海トラフ沿いには、ほとんど揺れが発生しません。
そのため、多くの人が、揺れがこないのに、巨大津波が来て、逃げ遅れてしまいます。
慶長地震でも多くの人が逃げ遅れました。
慶長地震による、津波被害による溺死者は当時、約5,000人(1万人という説もある)
現代の日本の人口は、江戸時代初期の7.53倍です。
もし、現代に、慶長型地震が発生すれば、
津波被害による溺死者は、3万7千人から7万4千人になる計算です。
東日本大震災の津波被害者の凡そ2倍になるという、恐ろしい地震です
最後に、学術論文から、伊豆小笠原でM9クラスのスーパー巨大地震が発生できるだけのひずみが蓄積されている証拠を示します。
伊豆小笠原海溝や南西諸島に、M9クラスの地震を発生させるひずみがたまっているという論文です。
Ikuta et al. 2015
Evaluation of strain accumulation in global subduction zones from seismicity data
Earth, Planets and Space2015 67:192
静岡大学理学部 地球科学科の生田領野(いくたりょうや)准教授による、2015年に学術誌Earth, Planets and Spaceの論文です。
1900年から2010年までの過去111年間で沈み込んだ長さを推定。
国際地震センター(英国)が持つ同期間の9248個の地震の記録と照らし合わせて、
プレートが元に戻った長さを求めて、たまっているエネルギーを算出した。
全世界のM9クラスの図が掲載されていますが、ここでは、日本周辺のみ掲載します。
図2016122302に示しました。
http://www.tochiginokenkyusha.com/ikase8/ikuta2015.jpg赤で示した領域は、M9クラスの地震を発生させるひずみがたまっている領域です。
日本周辺では、北から順に
北方領土付近
伊豆小笠原海溝
マリアナ海溝
琉球海溝(南西諸島海溝)
5と示してある伊豆小笠原海溝のM9クラス地震想定震源域の北限が、伊豆鳥島付近、南限が母島列島です。
つまり、伊豆鳥島から小笠原諸島の東方沖が、M9クラスのスーパー巨大地震を発生させるほどのひずみが蓄積されている地域です。
この領域近郊で、
2010/12/22:父島近海地震M7.8
2015/5/30:小笠原諸島西方沖超深発巨大地震M8.1
が発生しています。
USGSによると、2000/1/1以降、東日本大震災M9とその余震をのぞくと、
上記以外のM7.5以上の地震は日本では発生しておらず、
現在、日本で最も激しい地震活動が続いている地域が伊豆鳥島から小笠原諸島周辺です。
以上まとめます。
伊豆小笠原海溝巨大地震津波シュミレーション(伊豆鳥島近海M8.2-M8.4による津波の波高分布)は、1605/2/3:慶長地震の津波の波高分布に一致する。
伊豆小笠原海溝のM7以上の大地震の震度分布を見ると、関東から東北で揺れが観測され、西日本では、揺れは観測されません。
もし、伊豆小笠原で巨大地震が発生すると、西日本の南海トラフ沿いには、ほとんど揺れが発生しません。
そのため、多くの人が、揺れがこないのに、巨大津波が来て、逃げ遅れてしまいます。
小さい携帯ラジオを常備する習慣を身につけましょう。
静岡大学理学部 地球科学科の生田領野准教授による、2015年に学術誌Earth, Planets and Spaceの論文では、
北方領土付近、伊豆小笠原海溝、マリアナ海溝、琉球海溝(南西諸島海溝)で、
M9クラスのスーパー巨大地震を発生させるほどのひずみが蓄積されてことを明らかにした。
伊豆鳥島から小笠原諸島東方沖では、M9クラスのスーパー巨大地震が発生しえることが、学術的に明らかにされた。