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突然で失礼いたします。
表装、表具店で検索しておりまして
貴店のページに辿り着いた宝塚市すみれが丘に住む松岡(主婦)と申します。(ご近所です!)
実は何の祟りかこの4月より突然に古い日本画の収集にはまっています。
作品は既に40点以上も貯まり二日に一点は買っているという重病に陥っているのですが、
購入する作品は大半が多少とも経年によるシミが有り、
掛け軸では軸先の欠損も有る要修復状態です。
特に本日購入しました堂本印象の昭和3年(1928年)に刷られた版画集(非売品)は大変素晴らしい作品なのに
10枚の内の7枚はシミだらけの酷い保存状態です。
この様な作品の修復は本来ならば表装専門家など
にお任せするべきなのだと思いますが、
既に修復の必要な作品は30点以上も貯まってしまいました。
おまけに今後もこの勢いで収集すると、
あっという間に100点を超えるのは火を見るよりも明らか(笑)なので、かくなる上は自分で修復術を学ぶしかない無いと思い至りました。
もともと微細な手仕事は異常なほど好きな性分ですので、
何とかして手持ちの作品を修復する技術を学びたいと思いますが、何処でこの技術を学べるのか分からず困っております。
誠に厚かましいお願いで恐縮ですがお知恵を拝借させて頂けないでしょうか?
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
[2003年08月08日 (金) 13時47分]
松岡さん、はじめまして。書き込み有難うございます。
古書画の修復技術を一般の方に教えてくれる所をお探しとの事ですが、結論から言いますと残念ながら無いと思います。
知識として知るだけなら書籍もありますし、芸術大学などでは講義も聴講できるかもしれませんが、技術的な事を学ぶ為には、修復を行っている表具店で表具師見習として働くしかないでしょう。
もちろん、新しく掛軸を作る為の表装技術だけなら、カルチャーセンター等でも教えてくれる所も在りますし、表装技能訓練校も(入校の為の条件が色々在りますが)各都道府県に在ります。
しかし修復となると、まず、本紙を傷つけずに解体する技術を始め、汚れの原因を見極める目や、シミ取りの為の洗いの技術、虫食いの穴を塞ぐ技術等、身に付けるべき技術が多く、とても短期間で習得できるものではありません。
例えば、大正から昭和初期の掛軸が在るとします。本紙にはシミがあり、所々破れていて修復が必要なようです。(本紙が和紙の場合と絹の場合では工程が異なるのでここでは和紙だと考えて下さい)
この掛軸は何処でどのように70年以上の時を過ごしてきたのでしょう? まずは、シミの原因を突き止めなければなりませんので、可能な限りの情報を集めます。
汚れが特定できたら、洗いの作業に移る為に掛軸を解体します。この時、裂を再利用するかどうかによって少し手順が変わりますが、基本的には裏打紙を捲り、接いでいる部分を外して行きます。(もちろん、本紙が破れていたり、虫食いがある場合は作業が難しくなります)
解体が終わったら洗いの作業に移ります。水洗い、お湯洗い、薬品による洗い等、汚れに最も適した方法でシミ抜きをします。(薬品を使った場合は紙の中和作業も必要です) この時、時代の古いものは古いなりの風合いを残して、洗い過ぎないようにしなくてはなりません。
洗いが終わると本格的な修復です。虫食いの穴を同じ年代の同質の和紙で塞いだり、折れ傷のある部分を補強したり、兎に角、根気の要る作業が続きます。
修復が終わればいよいよ表装です。しかしここでも、本紙が古いので、新しい紙で普通に裏打をすると、裏打紙の引きに負けて本紙が破れる虞がある等、新しく表装するのとは違った技術が必要となります。また、新しい裏打紙と馴染ませる為に、何度も加湿と乾燥を繰り返しますので、表装が仕上がるまで、早くて3ヶ月、通常は半年から1年以上仮張りに掛けた状態で保存します。
充分に馴染んだら仮張りから外し、八双、軸棒、軸先、掛紐などをつけて完成です。
このように非常に複雑な工程の上、長年の経験により積み重ねられたデータに基づく作業を必要としますから、一般の人に教えてくれる所は無いでしょう。(表具師さんの持つデータは所謂「秘伝」ですから、なかなか公開してくれません)
また、独学で身に付けようとしても、その為に必要な道具や薬品、材料も揃えなければなりませんので、初期投資がバカにならないと思います。(大量に修復・表装をするには、それなりの保存スペースも必要です)
それでも修復技術を身に付けたいなら、まずは新しく掛軸を作る為の表装技術を身に付けて、修復についてはそれから少しずつ、失敗しても勿体無くないものを使って練習して行くしかないと思いますよ。頑張って下さいね。
お役に立てず、申し訳ありませんでした。
追記
古書画の修復につきましては当店で承っておりますのでお気軽に御相談下さい。
[2003年08月11日 (月) 00時44分]