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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice51■神のふたつの貌(かお)


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[115]おなまえ:おーはし
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確かに理不尽に思う。
慎ましく真面目に生きている者へ起こる不幸を。

何も悪い事はしていないのに、幸福とは程遠い場所に
いる人々。または傷つけられ、または殺されてしまうと
いう不可思議な事象の数々。
…あどけない子供がただの不注意な車にひかれる。
…力の無い女性が欲望のために暴行を受ける。
…職を失った実直な男が死の選択をする。
…親を慕う子がその親から虐待を受ける。
…名も無き民がその国への爆撃を受け血まみれになる。
…正直さだけが取り柄の俺が生活苦にあえいでいる(笑)

その一方では、間違いなく悪い奴が、
間違いなく私欲を満たし、間違いなく長生きをしている。
…間違いなく人を傷つけながら。

誰でも思ったことはあるだろうし、俺も何度も思った。
「こんな事が許されていいのか?」

…一体、神は何をしている?
…神様、あんたは本当にいるのか?
…いるなら、この世の飛んでもなく理不尽な事柄の数々を
あんたは許すのか?…なあ、教えてくれよ!なあ、神様!

【それでも神は相変わらず“黙して”いる】


貫井徳郎の小説『神のふたつの貌』を読む。
この貫井という作家は、ミステリ作家で知られている。
今まで俺が読んだ二つの作品もそんな味わいの本だった。

とにかくキレのいい展開と鮮やかな切り口、とても
読み易い文体ながら、奥深い知性と人間洞察の鋭さを
感じさせる作家だ。今回もそんな読後感を期待していた。

ところが!!!
…三部構成のこの作品の、第一部終了間際までとにかく、
も〜も〜イライラした。いつものキレが無いのだ!

舞台はある田舎町のキリスト教の教会。
牧師を父に持つ輝という少年の視点から、両親の確執、
教会信者の姿、そして追手から教会に匿われた朝倉という
男の存在からの、両親とその町の心の波紋が描かる。
だが、どうにもその語り口がもどかしい。

俺はプロテスタントとカトリックの違いも定かでは
ないほどキリスト教に対しては無知だ。
もどかしい物語の中で主としてテーマに掲げられるのは、
このキリスト教(プロテスタント)の教えの元での
神に関する考察だ。…神の実在に対する懐疑。
…そして、それに発する自身の生き方への疑問。

読んでいてなるほどと思うことはある。
だが、対キリスト教を例に取らなくても、そのような
人間の生き方を考えさせてくれる作品は数多くある。

俺の大好きな村上春樹、白石一文、ドストエフスキー…。
そんな作家の作品に比べたら、この本は、…つまらない。

別にキリスト教に無知な俺でも、十分に理解できる。
だからこそ、この本はその語り口が問題なのだろう。

「今回はミステリじゃないのね、貫井さん。…それでも
いいんです。人間を問う本でも。…でもでも、貫井さん。
…サクサクズバズバ進めてよ!…お願いだからこの僕に、
ときめく言葉と物語を、どうか届けて下さいよ!」

そんなことを思いながら、第一部の終了近くまで
読み進めた。この後もずっとこの本に付き合うのは、
ちょっと辛いかなぁ〜と感じつつ。

そしてその瞬間がやって来る。第一部のラストシーン。
…正にスルリと。
スルスルスルリと、物語の中で人が殺されたのだ。

『死は永遠の別れではない』
『死は神との契約である』
『不幸は自ら望んで与えられる』
…そんな言葉とともに。そんな言葉の思索実践のために。

正にスルリと。正に鮮やかに。そして俺は真に驚いた。
「この展開でこう来るのかよ〜!」

以降の第二部、三部は夢中になって読んだ。
グイグイグイグイ惹きつけられる。
静かに進む物語の中に潜む、
とてつもない緊張感がたまらない。
そして後で分かるのだが、全体の構成の面白さ!凄さ!

読了して思うことだが、あの第一部の展開のもどかしさも
作為的なものだったのだろう。
…というか、今から考えればあれがあるから、
この作品の“静謐な不気味さ”が成立しているのだ。
あの展開は無くてはならないものだったのだ。

…貫井さん、途中で読むのをやめようとして
ごめんなさい。ほんと〜に!参りました!!!


この『神のふたつの貌』は確かにミステリである。
しかしこの『神のふたつの貌』は
【それでも神は相変わらず“黙して”いる】
という事に関する問い掛けの作品だ。

神の沈黙は何を意味しているのか?
…俺には分からない。
死ぬまでずっと分からないのかもしれない。

それでも思い出したように、ふと考えるのだろう。



2004年07月29日 (木) 18時10分






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