voice245■ラッシュライフ再読
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[314]おなまえ:おーはし
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伊坂幸太郎の長編小説 『ラッシュライフ』 新潮文庫刊
初めて読んだのは3年ぐらい前かな? 昨日と今日でもう一度読み返す。
やはり、 この小説は凄い。 この群像劇はおもしろい。
泥棒の黒澤。 父が十七階から自殺した息子の河原崎。 不倫相手の妻を殺したい京子。 リストラされた豊田。
その豊田につく犬。 豊田が憎む元上司の舟木。 河原崎の信じる宗教団体幹部の塚本。 黒澤の旧友の佐々岡。 京子の不倫相手のサッカー選手青山。
そして、 大金持ちで画商の戸田。 買われた志奈子。
その他にも、 神高橋、泥棒仲間、拳銃、郵便局、 外国人女性、公園の老夫婦&若者、 エッシャーの騙し絵(扉の次頁に挿画)、 などなどが深く密接に絡む。
そう、絡んでいる。 全ての群像が、 少しずつ。
もちろん絡むためには、 出会わなきゃいけないだろう。 でもその出会い方が、 TVドラマや安手の映画に見られるような ご都合主義じゃない。
出会う者に、 それぞれの理由がある。 そこまでの道理がある。 …これは凄い事じゃないか? この見せ方と描き方って凄い事じゃないか?
そんな凄い事が、 若干サスペンス、ややホラー、 暫し推理モノ、時折ヒューマンドラマ、 その実エンターテインメント、、、
そんな体裁で進んで行く。 …時間軸をずらしながら。
特に400ページ過ぎからは、 じわじわやって来るのだ。 カンドーってやつが。 種明かしも伴って。
そして440ページからラストまでは、 泣くに泣けない。 (いや、泣くんだけど) (結果的に)
もちろん、 それだけでも 無我夢中になれる小説だが。。。
周りは砂漠。 そこにいる自分は、 縦横無尽にその砂漠を歩き回れる。 なのに、 そこに白線を引いて、 その上を一歩でもはみ出さないように、 歩いている。 それが自分。 それがほとんどの 人間が歩む“人生”の在り方。
…こんな感じで、 読み砕けるくだりに出会うと、、、 これは、 やっぱ、 かなりディープな作品なんだと思う。
深淵に心を抉ってくれる。 お説教臭くなく。 青臭くもなく。 決して、 お哲学をしているでもなく。 ところどころに散りばめて。 とってもオシャレで、 アッと言わせる展開にまぶして。
いろんなことが書いてある。 いろんなことを発見できる。 いろんな風に読み解ける。 お見事! 絶品小説! 数年置きに読んで、 何度でも楽しめる作品だよ、これは。
それにしても、 なぜ俺は伊坂幸太郎なんだろう? 石田衣良でも、 三浦しをんでも、 万城目学でもない。
これも、 神様のレシピか?
「ただ自分に合ってただけじゃねぇ?」 という言葉を尻目に、 そんなことを思う台風の夜でした。 出会いは神が決めた事…。
外、ごーごー音してる。 なんだか怖い。 こりゃ、 かなりまともな台風だな、、、↓
2007年09月06日 (木) 23時24分
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