voice216■書く女
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[284]おなまえ:おーはし
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例えば、 【きれいで知的な20代の女性】 …うん♪いぃ感じだ。
ここから“きれい”を剥奪してみよう。 【知的な20代の女性】 …かっこいぃかもしんない♪
さらに“知的”を剥奪してみる。 【20代の女性】 …まだいぃよ♪ …なんかいぃ(笑)
で“20代”を剥奪してみる。 【女性】 …うん。 …うん。 女の子だ〜いすき。
最後に“女性”を剥奪する。 【】 ………。 ………。 はい?
きれいで知的な20代の女性は、 きれいで! 知的で! 20代で! 女性で! あらねばならない。
ひとつでも欠ければ、 【きれいで知的な20代の女性】ではない。 …こんな曖昧な人物表記ですら。
二兎社公演 『書く女』 作・演出/永井愛 主演/寺島しのぶ、筒井道隆 世田谷パブリックシアター
明治に生きて「たけくらべ」「にごりえ」などの 名作を残し、日本女性で初めて“職業作家”として 名を成した文豪・樋口一葉の半生の物語。
時代は男尊女卑。 女性が制約を受けるのが当たり前の時勢。 その抑圧に抗うように生きた樋口一葉…か…。
別にこれ、 樋口一葉じゃなくても良かったんじゃないの? そもそも、 抑圧されてるって感じないんですけど。
幕間入れて二幕もの。 一幕から女性が生き生きしてます。 明るい。 これが現代に場を移したとしても行けそう。 樋口一葉が恋する師匠に もぞもぞするシーンが大半を占める。 (これがまずかった)
二幕後半では 文豪・一葉の苦悩も描かれるが、 滑り出しで時代背景抜きに “気弱な恋する乙女”を たっぷりやっちゃたもんだから 取り返しが難しい。
明治とか にごりえとか 借金だらけとか 女性職業作家とか、、、 そんな重要なキーが後付でやって来る。
だからピンと来ない。 俺の中に。 一葉ってヒトが。
誰でも良かったんじゃないかと思う。 【樋口】でも【一葉】でもない 【】で。
やっぱさぁ〜 お前は男でもないし福岡県出身でもないし O型でもないし6月生まれでもないし45歳でもないし 演劇も嫌いだし映画も嫌いだし 本も読まないし音楽も聴かないし 明大前にも住んでないし 才能もないし運もないし 根性もないし生きる価値もないし じゃさぁ〜
【】じゃさぁ〜
存在理由っつーの? 自分が自分で在るために(笑)っつーの?
そんなの見つけたいじゃん。 しっかり持っときたいじゃん。
おれはいきてるんだー おれはかんじてるんだー だから おれはふれるんだー おれはみるんだー おれはきくんだー
そんな自分が、 うらやましいと思えるような舞台が観たい。 そんな欲に応えるような舞台が観たい。
「あんなやつになりたいよ〜」 「あんなやつにちょー感動!」 「おれも生きるぞ!あいつも生きてたからさ!!」
そんなのが、そういうのが、 舞台の醍醐味のひとつじゃないかな。
2006年10月14日 (土) 01時15分
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