voice212■ブルーバーズ・ブリーダーズ
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[280]おなまえ:おーはし
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世の中にはいっぱいしゃべる人がいる。 ぺらぺらいっぱいしゃべる人がいる。
話がおもしろいと 聞いてる方もうれしいのだが、 つまらないと困ったものだ。
うれしくない。 早よ終われ。
でも、 終わらない。 ずーっと続く。どんどん続く。
聞いてる方は大変だ。 「あ〜」 「へえ〜」 「お〜」 「ふ〜ん」 「ん…」 「はい…はい…あ、うん………」
返事というより、 間の悪い合いの手に近いものがあるのだが、 話は終わらない。 ずーっと続く。どんどん続く。
気付けよ。 俺、生返事してんじゃん。 あんたの話、聞いてないじゃん。
でも気付いてくれない。 夢中になっていらっしゃる。 自分に酔っていらっしゃる。
こういう場合、 「空気読めよーーーーーー!!!」 …って、、、、
言いたいところだがそうもいかない。 なぜか言える雰囲気じゃない。 こういう場合に限って。 (困ったもんだ)
俺は大体において、 話すのが苦手なタイプだ。 酒が入っての熱い話はするが、 普段の世間話はうまく出来ない。
こういうことがあって、 こうしてたら、 こんなことがおこって、 こんなかんじになって、 こうしたんだけど、 こういうのどうおもうかな?
…な〜んて話はまず出来ない。
言い出しても、 うまく言えないのだ。 ってか、 すぐうまく伝わらないと感じてしまう。
だから、 言い出しても途中でやめたりする。
いや、 やめないけど、 途中で間違いなくトーンダウンするのだ。 フェードアウトに持って行く。
まぁ〜要は、 伝える話術と伝えたいという意志が 弱いだけなんだけどさ。
だからもっぱら俺は聞き役に回る。 聞いてる方が楽だしね。 聞いててツッコミ入れた方がおもしろいし。
こんな俺でも、 生まれた時から聞き役だったわけじゃない。
基本的に、 勝気で負けず嫌いで目立ちたがり屋だったから、 少年大橋はぎゃーぎゃーうるさかったのだ。
なのに話術がゼロなもんだから、 ただ勝手に叫んでる感じ。 やかましい奴。
そんな俺に転機が訪れた。 学生時代にある女の子に言われた。
「大橋クンって人の話聞かないねぇぇぇ」
このコトバと その子のヒョウジョウは今でも覚えている。 「大橋クンって人の話聞かないねぇぇぇ」
問題なのは、 「…ねぇぇぇ」の部分なのだ。
ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
いや… 全部問題なんだけど。
そこから俺は変わった。 改心した。 人の話を聞かなきゃと思った。
苦しかった。 辛かった。 人の話を黙って聞くのは。
今でも少年大橋が たまに顔を出すことはあるけど。 (こんにゃろめ!) でも聞く喜びの方がずっと大きい。
相手の話を聞きながら、 考えたり思ったりしながら、 さらに相手に話してもらうのが好きだ。 引き出すのが好きだ。
でもさ、、、
いくらなんでも “独りよがり”な話ぶりにはついていけんぜ。
相手にはこっちが 聞いてるだけに感じるかもしんないけど、 ちゃんと空気で会話してんだからさ… 空気で答えたり意見出してんだからさ…
(困ったもんだ)
ヨーロッパ企画公演 『ブルーバーズ・ブリーダーズ』 作・演出/上田誠 下北沢ザ・スズナリ
十数人の役者が出て来てしゃべるしゃべる! 全員でしゃべるしゃべる!
おもしろそうなやり取りがあるのに、 しゃべるしゃべる! 間もクソもあったもんじゃない。 しゃべるしゃべる!
上演時間は1時間10分なのに… ながいながい! 長〜く感じましたぁーーーっ↓↓
これって、 意図的にやってるのは分かる。
だって、 終演間際ではちゃんと間を取り出して、 笑えるシーンも会話もあったんだから。 …力のある劇団だよ。
だから意図的なんだろう、今回は。 チャレンジしたんだろう、今回は。
しかし舞台が遠かった。 こっちに来ない。 伝わって来ない。
観客だって空気で会話したいのに…
2006年09月29日 (金) 01時45分
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