voice138■グラスホッパー
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[204]おなまえ:おーはし
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本を読んでいて気に入ったシーンや言葉が あると、そのページを折り曲げる。 あとで読み返してみたりメモったりするのだ。 やっている人も多いと思う。 ところが最近は折り曲げたままになっている。 …で、すぐ次の本に手を出す。
いかんいかん! ますます俺のバカが進む。 折った所を考えてみよー◎ 『グラスホッパー』について考えてみよー◎
この小説は伊坂幸太郎の七作目にあたる。 刊行は2004年。読んだのは二ヶ月ほど前。
槿という押し屋が出て来る。 交差点の車道や線路に相手を突き飛ばして 殺害するのが仕事だ。 鯨と呼ばれる男は、相手を自殺させるのを 仕事にしている。つまりは自殺屋。体がでかい。 蝉というぎゃんぎゃんうるさい若者は、 ナイフを使い依頼された相手を殺す殺し屋。 鈴木という名前の男も出て来るが、 彼は殺し屋ではない。一般人。 亡き妻のために、この殺し屋たちの戦いに 巻き込まれて行く。 …これら四人の人物が絡み合いながら 物語は展開する。
注 折った所の文章記述は原文のままでは ありません。分かりやすくするために 多少アレンジしています。シーン説明などは、 俺の地の文です。それに、こんなに 伊坂さんは文章がヘタではありません。 俺はベタですケド(笑)
@ 鈴木の亡き妻の口癖は「やるしかないじゃない」。 そして鈴木も「そうだね、やるしかない!」と 勇敢に突き進む。 ○ 愛する人に勇気をもらう事、 でもその人はもういない。 そして“やるしかない”という言葉の力強さ! ちょっといぃ夫婦関係にじーんとする。 …これを男が言ったら当たり前。 女が言うからいーのだ。 甘えたい気分をくすぐる(笑)
A 鯨はいつもポケットにドストエフスキーの 『罪と罰』を忍ばせている。 彼は小説はこれしか読まない。何度も読む。 破れて読めなくなったら買い換える。 現在五冊目。 ○ なんとゆぅヒト!どぅいぅ殺し屋!! でもって、こぅいぅキャラ設定がちょーステキ☆ ちなみに本の題名を逆さに読むと 「唾と蜜」になると書いてある。 あ!ホントだ…勉強になるなぁ〜(笑)
B 鯨は自分が追い詰めた者たちの亡霊に悩まされる。 やがてそんな事とは程遠いと思えた蝉も、 そんな影に怯え出す。 ○ 非情な殺し屋たちにも罪悪感がある。 ただその罪悪感の表し方が実にドライ。 うっとうしい暑苦しさがない。 …そして怖い。
C 殺し屋の世界も組織化する。 本当は社会から逸脱した者たちなのに。 ○ あははははっ! 言えてんな〜これ。 …フリーターの世界も組織化する。 本来は社会から逸脱したがっていた者たちなのに。 …な感じでしょ?
D 人が怒る時は恐怖を感じた時だ。 ○ う〜ん…言えてるよぅで言えてないよぅで… ただ強く否定しないと ダメな時であるのは間違いない。 そうしないと自分の正義とか規範とか真情とか ポリシーが崩れるような…。 つまりはやっぱり、崩れるのが恐怖なのか? …ある本によると、 自己表現の出来ない事は損らしい。 必ずしも自己主張をする必要は無いが、 自己表現はしなければならない。 主張は権利だが、表現は“義務”だ…と。 う〜ん… …決めた! 怒らないヒトになろう。 でも表現するヒトになろう(笑)
E 何かに思い悩んだ時、肉体を動かすのはいい。 これは原始的な喜びだ。原始的とは根源的だ。 必死に悩むより体を動かす。 余計な事を考えない。 その方が解決の糸口に近づく。 ○ その通り! 俺も悩まずとも汗をかく。 朝、走るのは大好きだ。 …最近はご無沙汰してますが↓ 走るとさ〜、体を動かすとさ〜、 【体の音】が聞こえ出すんだよ。 …そんな芝居を俺は十数年前に書いた。 演目を『蹴飛ばすイシの行方』という(涙…笑)
F バッタは密集した所で育つと凶暴となる。 人間もごちゃごちゃと人口密度の高い所で 暮らすとおかしくなる。凶暴化する。 都会は特に、凶暴化する。 ○ タイトルのグラスホッパーはバッタのこと。 小説の始まりも密集して暮らす事の記述から始まる。 テーマだ!これはテーマのひとつだ!! …俺も凶暴化してんのかなぁ… やっぱぜってぇー決めた! 怒らないヒトになろう。 でも表現するヒトになろう! なろう! なろう! なろう! (分かったっつーの)
G 本当に大事なことは小声で届くものだ。 大声で怒鳴る政治家の言うことを人が聞くか? 本当に困っている人は大声は出せない。 ○ 伊坂の政治への思いは、 近作『魔王』『砂漠』へと受け継がれる。 小声はマイノリティー。 しかし、マイノリティーが 真実を突き得ていないとは絶対言い切れない。
H 自分の置かれている状況に対して 認識はしているが、この期に及んでも まだ高をくくっている自分がいる。 世の中の不幸の大半は、 誰かが高をくくっていた事が原因。 ○ コイズミがここまでのノリノリで 調子に乗りまくってたら、ホリエやらアネハやら、 ぅんだらこぅだらで、 皇室典範改正案を断念するよぅにね(笑) …笑ってる場合じゃない。 身近でもあるぞっ!! シゴトとはこんなもんだって、軽く見てたら 飛んでもない失態したりさ… 彼女ってこんなもんだって、思い込んでたら 知らない内に大きな亀裂が走ってたりさ… にひひっ
I 「僕を利用したんですね?」 「利用という言葉は心苦しい。 活用したというんだ」 ○ 戴きました。 日常でも使わせていただきます(笑) おっしゃれ〜っ◎◎◎
…以上でーす♪ とにかくこの『グラスホッパー』は 間違い無くはらはらどきどきの エンターテインメント小説なんだろうが、 そのくせあちらこちらに 純文学的な思索があって読み応えあったなぁ〜
尚このあと現在まで、 『砂漠』『博士の愛した数式』 『推理小説』『椿山課長の七日間』 と読んでいる。 もちろん、ページ折りっぱなし。
…だめじゃん…
2006年02月10日 (金) 22時39分
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