voice104■引かない、押さない
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[170]おなまえ:おーはし
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清水が家にやって来た。 (清水ってうちの宣伝美術の人ね)
公演の情宣段階に会うのがもっぱらで、 そうそう頻繁には会わないんだけど、 こいつ、変わったかな?と思った。
中庸の佇まい。 平和。 平静。 川の流れ。 シシオドシの音。
清水はファッションに目覚めていた。 ほとんど服に気遣いがなかったあいつが。 …でも忙しくないファね。
♪あれも欲しい!これも欲しい! もっともっと欲しい〜! …じゃないファ。
組み合わせが楽しいって言っていた。 正にデザイナー的意見。 (ペーパーのデだけど)
あのジーンズとこのシャツを組み合わせ、 このパンツにあの靴で…、みたいな。
半月ぐらい前はイタリア旅行をしたらしいし、 趣味はバイクツーリングだぜ。
その楽しそうな感じは、内容と裏腹にアンチ嬉々。 つまり淡々。 川の流れに身を任せた奴。 やっぱ変わったよ、あんた。
でも、それなりにいろいろある清水。 …話を聞けばね。私生活的な。
それでも、彼は川の流れ。 なぜ?
俺のカレンダーには先月から、 ある一文が書いてある。俺が手書きした。 赤ペンで書いた。
「引かない、押さない」
この7月も、引かない押さない、だ。 赤ペンで。 天の啓示とはこの文言だろう、俺にとって。 赤い文字が光るぜ。 赤ペンだしな。
数日前に『エンジン』の最終回を見た後、 俺の頭に振って沸いた言葉なのだ。
が!断言してもいいけど、 エンジンの中身とは一切関係ない。
中身としては、マッチは何のために出て来たの? って感じ。 食われている。キムに、タクに。
ああいうシーンに、ああいう芝居で出ちゃなぁ〜。 近藤さんも役者で付き合ってんだったら、 せめて木村に迫るぐらいの勢いで出て欲しいな。 …そうじゃないと、悲しいよ。 おーねんのマッチのファンは。
ま、いいや。ジャのことは。
よくないのは、脚本の井上由美子さん。 節々にいい台詞と展開があるんだよ。 うまいな、ほんと。
肩の力を抜く事が出来ない俺を、 俺はずっと忌み嫌っていたように思う。
物事を押して力が入れば、 反動で引いても力が入る。 しまいにゃ、すねたりして…。 芝居作りをやっていない今でも、 その事が頭によぎる。
ふとした瞬間に。それこそ日常的に。 エンジンとは無関係に。 けど、心のエンジンは動いている。
…引き過ぎる俺。 …押し過ぎる俺。 …普通になれない俺。
普通を目指すことは難しい。
40過ぎてもこんな事を思う。 人は一生、こんな事を思いながら生きて行くのか? 自分の性癖に関する悩みは死ぬまで尽きない。 …俺だけ? 60ぐらいになれば違った心境になるのかね?
引かない、押さない。この中には普通がない。 普通になれとは迫らない言葉。 「引かない、押さない」
これって、ちょっと気が楽じゃん。
中庸の清水を見ていて、 尚更、そう思った俺。
実践出来るかは分からない。 でも、書いていつも見るんだ。 それだけでもいいと思わない? 赤ペンだしさ。
清水のシシオドシ状態の理由は分からんよ。 何となくだけど、聞く必要はないと思った。 聞いたら無粋のような気がした。 イキじゃない。
…でもね、思うんだ。 そういう人のそばにいて、そういう人の 佇まいを感じるっていいな〜って。 例え清水でも。(うっそー)
川のような人といっぱい出会って、 身を任せられる人になりたいもんじゃの〜。
理屈抜きのうれしさ。豊かさ。 日向ぼっこ。 ほんわり、ほんのり、いいきもち。
2005年07月01日 (金) 05時23分
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