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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice103■鹿殺し


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[169]おなまえ:おーはし
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鹿殺し。…どこかの動物愛護団体に
批難囂々されそうな言葉だが、これ、劇団名。

2000年結成の新しい劇団。
関西で活動後、最近東京に拠点を移したらしい。
俺は昨年から、その名は耳にして記憶にあった。
…何しろシカゴロシだもんね。

前回のアゴラでの公演も行ってみようかな〜と
思ったが都合が付かず断念。ま、観なくてもいっか。
…シカゴロシださ。

ところが最近、知り合いの芝居を観に行ったら
この公演チラシが当日パンフに折り込んである。
…あ、あのシカゴロシ。

シカゴロシしかごろしSHIKAGOROSHI鹿殺し…。

どう考えても気になる。気になり過ぎる。
行こう。絶対観なきゃいけない!

そんな決意をしていたら、まんざらこの劇団、
無名ではないらしい。ある筋のある事情通の間では、
赤丸急上昇の注目株らしい。…よし買おう!

俺はその株を2500円で買う。
…結果はもちろん株急騰。
「この値段であの内容。―安いぜ!」

演目は『百千万(モモチマ)』。
場所は賑やかなんだか寂れてるんだか、
さっぱり分からないの王子の駅前の王子小劇場。

一人の女と七人の男で綴る物語。
原発と演劇の物語。
世界と個人の物語。
デリカシーとタフネスの物語。
コメディーとシリアスの物語。
言葉と肉体の物語。
裸と童話の物語。
会話とエンタメの物語。
バカ丸出しと微かな哀愁の物語。

そして、観た事があるけど、観た事がない物語。
芝居として。ドラマとして。劇として。
そう、“演劇”として…。

手作り感いっぱいの立て込んだ舞台セット。
客席はゴザ。客電は裸電球。
…味付けはアングラ風味か。

役者は動く。
ハードな肉体訓練をしているのがよく窺える。
ビシバシ決まる動きと踊り。
…そういうタイプの劇団。

笑いの質は、巧みなやり取りというよりは、
ドタバタに加味されたシュールな笑い。
…力技。

あるシーンで、ほぼ全裸の男たちが劇中劇をやる。
ほぼ全裸も見慣れた風景。
…裸か。

笑いにシリアスなテーマが浮き出す。
演劇の有効性に主題は進む。
…また、バックステージものか。

俺は観た事がある。このような演劇を。
それこそ数多く。飽きるほど。
だから、例え劇団名がシカゴロシであろうとも、
中身が何かを与えてくれないと困る。
伝えてくれないと困る。
飽き飽きしたもののために投資はしたくない。

“鹿殺し”の奇妙で魅力的なネームだけのために、
2500円を払うほど平和ではないのだ。俺は。

「でも、ネーミングだけで行こうと思っただろ?」
「あ、そうだった」
「やっぱお前、平和なんだよ。平和、平和」
「いや、そうじゃない!何となくあったの」
「何が?」
「俺の嗅覚」
「嗅覚?」
「ネームだけじゃない面白さ」
「何だよ、それ?」
「ネームに付随する面白さというか」
「付随?」
「中身も面白いと思える俺の感みたいなものだな」
「…感?」
「そう」
「感かよ!」

そして当たったのだ。俺の感は。

何がこの鹿殺しを面白くさせているのか?
こんなに興奮するほど面白くさせているのか?
一見、ありきたりに感じる舞台要素を、
俺の心の中で反転転覆させ、
何が観ている俺を動かすのか?
小躍りさせるのか?

当日パンフのあいさつ文で、
演出の髭の子チョビンが書いている。
(ちなみに髭の子チョビンは女の人です。
舞台上では紅一点の女優さんです。でも
チョビンなのです。おまけに髭の子なのです)

髭の子チョビンは言う。
自分たちはみんな「自由」だと。
そして、この世界では「何かのせい」で
不可能という事は「悲しいことに」ありませんと。
…ありませんと。
だから「しっかりと」やっていかねばなりません。
…というような事を書いてある。

う〜ん、一読すると分かりそうで、
よくよく考えると分からない文章なのだが、
もっとよくよく考えるとよくよく分かる。
特に芝居を見た後に読むと。よ〜くよく。

モノはありきたりなのが当たり前だ。
ありきたりなモノはありきたりとして存在している。
元来モノはありきたりだと考えた方が分かりやすい。
…つまり新しいモノなど無い。

新しくないと人は飽きる。
新しさを人間は求めている。
でも新しいモノなど、実は何処にも無いのだ。

しかし、人は飛びつく。
モノに。
新しいと感じたモノに。

新しいと感じたモノの実態は“構築”だ。
ありきたりなモノの再構築が新しさを誘引する。

それは冷蔵庫の残り物で、腕のいいシェフが
とっても美味しい料理を作り上げるように。
転がる廃材で名大工が歴史建造物を再現するように。

ではでは、再構築には何が必要か?
全部、髭の子チョビンのあいさつ文に書かれてある。

自由と可能性としっかりやる事だ。
特に「しっかりやる」という言葉は重い。

芝居のラストは、踊りも絡んで
飛び散る汗で盛り上がる。
出演者からの強要アンコール(笑)のあと、
かっこいい男たちの中で(そう!ここの男優陣は
かっこいい!)、それまで劇中では少年役だった
髭チョが、ジャケットにスカート姿で歌い出す。

その姿に、あれ?あのかっこいい世界はどこ行った?
と、髭チョに失望しかけたが、いやいや…。

凄い歌声。
凄い歌いっぷり。
そして、凄い意志。かっこいい顔。鋭い目。
目!

その髭の子チョビンの目につられて、
男優たちの顔を改めて見回す。
ここにも目!

「悲しいことに不可能は無い」と語る目。
断定、断言、断罪する目!

そこには間違いなく、
鉄槌の意志によって貫く演劇への闘争心がある。
―かっちょええ〜!

久々に知らない劇団の公演を観た俺だったが、
いい芝居に巡り合えて良かった。
こういう舞台に飢えていた。

やっぱり、演劇っていい。
…シ・カ・ゴ・ロ・シ…
か!


2005年06月24日 (金) 04時45分






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