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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice94■アムリタ


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[160]おなまえ:おーはし
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楽しい事はうれしい。
自分の心と気持ちが楽しいのが最高だ。
でも、無理をして楽しくしているのは哀しい。
楽しくしなきゃと身構えて楽しい様子は寂しい。
そして、きっと、苦しい。

最近の俺は、数年の芝居漬けの日々から抜けて、
何にもない毎日が続いている。
…とは言え、慢性的な金欠病を解消するため、
へいこらへいこら、朝から夜遅くまで勤労のひと。

そんな状態だから、何もない毎日であるわけはなく、
充分物事は起こっているのだが、そこには山のような
疲労はあるものの、過大な緊張や重圧はない。
…公演本番の緊張、稽古の重圧。えとせとら…。

あるのは疲れと寝不足な自分。
たまの休みには『三国志』に読みふける。
遅く帰った仕事の日でも三国志な俺。

明日は7時起きなのにもう3時。
寝不足は止まらない。
全十三巻の三国志な俺は一月半続いた。
そして、また違う本に手を出す。
…俺の寝不足は加速する。

でも心地良いのだ。
しーんと静まり返った真夜中に本と向き合う時間。
まさに至福の時。

人とも会わない。会う時間もなかったが。
仕事先では仲間とべらべらバカ話はしてるけどね。
でもそれ以外の人とは、極力メールとか電話はしない。
だって、する気力も話もなかったから。
…気力というか気分ね。

これでいいんだという、ある種の満足感がある。
何もない事への充足感。そして、楽しさ。

まだまだ自分が本当に楽しいのかは分からない。
でも、「安心」に近いものがある。
決して無理したり、ハイになったりしない自分の安心。

そんな俺が最近手に取ったのが『アムリタ』。
久々の吉本ばなな。
とっても昔に読んで話の内容も忘れた『キッチン』以来。

本屋をうろついていて、
そう言えばあんなにゆーめーで、
あんなにふぁんがいっぱいの、吉本ばなな、
俺、まともに読んだことないよなぁ〜、って感じで購入。

上下二巻の中編小説だが、読み終わるまでに
時間がかかった。思ったよりも全然先へ進まない。
別に読みにくいわけじゃない。
難しい文体でもない。
むしろ日常の平易な言葉使いで進む本だ。

だが時間がかかった。
感情の表現が厳しいのだ。…そう、厳しい。
それを読みほぐし自分の心に入れ込むのに時間がいる。
するするとは読めない。いちいち引っ掛かりが出て来る。

ちょっと意外だった。
吉本ばななって、もっと俗っぽい作家だと思っていた。
ところが全く違っていた。
感情や気持ちの在り方を可能な限りの文章表現で
追求、探求している人だった。
文字表記でどこまで仔細な部分を伝達し、どこまで
自分の感覚を伝え得るかに挑んでいる文学者だった。

まさに純文学な作家!

だから、一見よくある
「家族と恋に揺れる女の子のちょっぴり哀しい物語」
で終わりそうな話も、
「崇高な高みにまで上って行く人生の書」となる。

…とまあ、大仰に書いちゃったけど、
主人公の朔ちゃんも弟の由男も恋人の竜一郎も
しゃきしゃきしたお母さんも、そして、
サイパンのコズミくんもその奥さんのさせ子さんも、
み〜んな愛しい人物たちなのだ。面白い奴ら。

そう、させ子という名の女の人が出て来る。
やくざな父親の腹立ち紛れに命名され、
その名の通り、公衆便所的人生を送った人。
でも、すごい歌声を持つ人。
…聴いてみたいな〜!させ子さんの歌。

突然、霊も出て来るし、円盤だって飛んで来る。
ある面、実にポップな小説。

ラスト近くに朔美がここしばらくのうちに
あった出来事を紙に列記するシーンがある。
…俺もやってみた。

離婚
失業
引越し
ユリア
熱海中止
消化不良打ち上げ
バイトな夏
役者出演
年越し執筆
ストレス公演
劇団爆破と劇団再生

ぼんやりしてたら忘れていたよ。
こんなにいろいろあったんだ!
…これ全てこの一年半に起こった事なんだよな。
はぁ〜。

よくもまぁ生きているもんだ、俺。
俺みたいに精神がガサツな人間じゃなかったら、
とっくに発狂していたかもね。

こんなに短期間でも予想の付かないいろんな事が
起こっている。だから一年後の事なんて分からない。
明日の事だって分からない。明日には新たに
「俺、死す」と記されるかもしれないのだ。
…死んだら書けないけどさ。

朔美も言ってたけど、
こんな事を知りながら、みんなよく生きて行けると思う。
どこかでみんな折り合いをつけているんだよね。
じゃなかったら、全部感じ過ぎて壊れてしまう。

いろんな物事は自分という入れ物を通り過ぎて行く。
自分は入れ物。
…そんな感覚を持たなきゃやってらんない。

そして通り過ぎる物事は、入れ物の奥底にある自分の
核とか魂とかいったものに触れて行く。
そのざらっとした触感に魂は何かを感じて行く。

…そして魂は、きっと求めている。
楽しい事を。
朗らかで大らかな楽しい事を。

決して、自分という入れ物が楽しいんじゃダメなんだ。
やっぱり、自分の核みたいなものが楽しくなきゃ。
無理をしない。
身構えない。
…難しい事だけど、難しい事じゃないかも?

『アムリタ』の終わりは楽しさでいっぱいだ。
みんなみんな、楽しい楽しいと言っている。
無理せず普通に楽しいと言っている。
安らかな心。安心。
読んでいる俺も楽しくなる。

そして物語の全編にあるのは、
空や光や海や木や風のすばらしさ。楽しさ。
…その恵みの大いなる楽しさ!

俺もちゃんと見なきゃなぁ〜、空をね。風をね。

そんな感じ。
そんな気分。
柔らかな自分。
静謐な俺。
古来からの希求。
魂を野に放す。

本当の楽しさはそんな所から始まるような気がする。


2005年04月26日 (火) 16時44分






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