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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice61■梯子のはなし?


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[127]おなまえ:おーはし
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その昔、こういう芝居を観た。
…二人の男女が知り合って恋をして、男の方が
死んでしまう。そして、葬儀を行うことになる。
その時点から、時間を遡って描く物語。
つまり、芝居の幕開きはその男の葬式から始まる。
しかし、回想形式は取っていない。
場面が時間逆流するだけ。

…あれは面白かったな。
…いや、その形式手法じゃない。
…その芝居が。

そんなことを思い出した。この小説を読んで。

「ヨークシャーの荒れ野で農場を営むキャロルのもとに、
奇妙な男が転がりこむ。不運な経緯から彼女は男に
怪我を負わせ、回復までの宿を提供することにしたが、
意識を取り戻した男は、過去の記憶がまるでないと言う。
幻惑的な冒頭から忘れがたい結末まで、圧倒的な筆力で
紡がれる悪夢と戦慄の謎物語。驚嘆のデビュー長編!」

…以上がこの本の内容紹介文。
小説は、ジェレミー・ドロンフィールド『飛蝗の農場』。
※飛蝗はバッタと読むそうな。勉強になるなぁ。

奇妙な男は、スティーブンだったりナイジェルだったり
ミッシェルだったり、そしてアランだったりと名前が
くるくる変わる。…いわゆる逃亡者。

物語には二つの軸があり、ひとつはこのスティーブンと
キャロルのラブストチックな話。…でも男の方が怪し
過ぎるので甘いコイバナにはならない。何だか不気味!

もうひとつは、各所でのスティーブンの逃亡生活の話。
…これが読み解くのに厄介で、何で厄介かというと
事象の時間がバラバラに綴られているのだ。
つまり、A→B→Cと進むところが、B→A→Cと
なっていたりする。それでも書いてある内容は難解でも
何でもないので、読み進めて行くうちに理解は出来る。

…B→A→Cっていうのはあれですな、
梯子に登って作業していたら、その梯子をいきなり
外されて、落下するようなものですな。
…梯子を外される事が分かっていれば、何とか対応
出来ますもんね。…人間、こうしてこうなるという
時間に沿った予測的事象が狂うと慌てるものです。

…でもどうやって対応するんだろ?
…梯子がいきなり外れるんだろ?
…分かっていても落下するな。俺ならきっと。

例えば、次に何が起こるか分からないというドキドキが
ある。その場合、ある程度時間に沿って物語は進行して
いる。もちろんドキドキさせるためには、間違いなく
見ている側を裏切らなきゃいけないので、かなり手の
込んだ次の展開が必要だろう。…予測不可能な事態。

ところがこの小説の場合、次に何が起こるんだろう?
ではなく、次に何が書いてあるんだろう?となって
しまう。何しろ進行がバラバラなもんで。…すみません。

「あんだよ!面白くねぇんじゃねぇか、この小説!」
…と、お思いのあなた、それは違います。

確かにB→A→C的に進行するストーリー展開だけど、
XYZあたりになると、ビッシッとすべてが結びつく。

「そりゃ最後ぐらいまとめてもらわんと困るがな!」
…と、お怒りのあなた、その通りです。

問題なのは、ラストまで読者を引き付けるそのやり方。

次に何が起こるんだろう?も希望と期待なら、
次に何が書いてあるんだろう?も希望と期待。
…その希望と期待を読む側に持続させるのは、
この小説の場合、全編に漂うあやし〜い空気だ。
そして怖い事に、とっても“血の匂い”がする。
なのに血がない。出て来ない。…匂いだけ。
―だから怖いのだ!

これは引きずられる。この充満する高濃度の圧力を
打破しようと、勢いラストまで読み進めてしまう。
…ま、ラストはやっぱり血だらけなんだけどさ。

時間を遡ったり、時間をバラバラに描く事は
取り立てて珍しい事ではない。そんな手法はありきたり。
…そりゃ時間が順序立っていないので、
その時間の亀裂、断崖、隙間から何かを感じることはある。

梯子を外された途端、人生の全てと生きる真理を
そこに見てしまうのと似たようなものだ。
↑ほんとかよ?

要はそういう手法を使うにしても、いい作品になるか
どうかは、その作り手のセンスと筆力、心の筆圧かな。
…心の筆圧。
…お〜、我ながらいい表現!

そうそう、クドカンの『木更津〜』も裏攻撃とかで、
キュルキュルキュルって巻き戻して、そこまでの話の
裏の出来事を描いていたな。主にうっちー活躍。

あれもただ見ている分には、くだらなくて
可笑しいんだけど、やろうと思えば同じ時間軸で
語れないことはない。「一方こちらでは…」っていう
進行にすればいいんだもん。

でもそうしないところに『木更津〜』の成功の素がある。
「くっだらなくって可っ笑しいぜ!」ってなるのね。

たまには梯子を外す人になってみよう。
…でもそれが相手にミエミエでうまく外せない
場合もある。…ばれていなくても、タイミングがずれて
相手が登り切ったあとに外す場合もある。…間の悪い奴。

あ〜、俺ってそういう所があるんだよね。
―心に筆圧を!



2004年10月09日 (土) 07時24分






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