2月から3月にかけて税務署は所得税の確定申告を行う人で混雑するので、秘境ではない。しかし、今年から本格的に導入された電子申請(e-Tax)のコーナーは充分秘境的である。 そもそも政府が電子政府を目指して、書類等の申請をインターネットで行うことに力を入れ出し、最も力を入れたい徴税のところで、電子申請を普及させようとしている。今年はこの方法で確定申告を行うと、5千円分税金の控除があると宣伝している。 5千円に釣られて、ではやってみるかとトライしたけれど、これは素人(私もそれに近いけれど)が簡単にやれる仕事からほど遠い。2006年度(今回は2007年度)の実績で申請の2%しか利用されていないというのもうなずける。 まず、住民基本台帳カードを取得して、これに電子申請が可能なように設定をしてもらう。これで合計千円かかる。次にこのカードリーダが必要で、この購入費用として3千円程度が飛んでしまう。当然PCは自宅にあるとの前提である。 さて問題はここからで、カードリーダの設定と国税局が要求するe-Taxのソフトのインストールが必要で、これをインターネットでダウンロードして行うのであるけれど、その際使うPCはJava環境にしておかなければならない。ここら辺になると普通の人はお手上げである。筆者も普通の人で、ここから先はF工業の技術者に頼み込んだ。 次に自宅でe-Taxのホームページを開いて源泉徴収票等にある数字を入れて行くことになるのだけれど、最初のトライではどの項目にどの数字を入れてゆくのか分らない。こんな試行錯誤をやっているくらいなら税務署に自分のノートPCを持っていって係員に聞きながら入力した方が時間の節約になる。 という状況で税務署に出向いて写真の専用のPCの入力機の傍にわがノートPCをおいて、ケータイでインターネット接続で途中まで入力する。しかし、途中で入力が切断されてしまう。ここで帰っては話は最初にもどるので、備え付けの専用PCの方から教えられながらの入力である。 係員も慣れていないのか、マニュアルをみながらあれこれとやっているところもあって、係員が居ない自宅で最初からこの作業をさせようとしているお上も、随分自国民の能力に信頼を寄せているのだ、と変なところで感心した。 年に1度の作業だから、来年の今頃はこの操作もすっかり忘れてしまっているだろうな、との思いで税務署を後にした。
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