仁さんは、いつも片桐仁的な役をしているから演技しているように見えない
という話を以前書きました。
これです。演技をしているのに、素に見えてしまう感じ。
でもたまに、ドキッとするほど「仁さんの演技」を実感することがあります。
それは、仁さんの目つき。視線の演技です。
そう思ったきっかけは、ラーメンズのコント「採集」を見たとき。
初めて見たときは、オチのとき真顔なのがやたら怖い
と思っただけだったんですが、見直してみるとオチにいたるまでの仁さんの目が怖い。
賢太郎さんのことをチラッと見るときの目が怖い。
オチを知っているから余計に怖い。
ジャックがプリマを見るたびに、伏線が張られていく感じ。
おかげでしばらく、ジャックと同じ髪型とメガネの仁さんすら怖いという
変なトラウマに悩まされました。意識しすぎにもほどがありますね。
今は平気です。
そんなわけで、賢太郎さんも怖い目つきをするけど、私は仁さんの演技の目の方が怖い。
でもその怖い目が好きなんです。困ったことに。
ツグノフの森でもその目を見ました。
ミシオ(姉)がタニガワ(画家)にシモダ(自衛隊員)から聞いたイズミの話をするところです。
タニガワ:イズミが目を覚ますまでは………無理なんですよ。
ミシオ:なんで?
タニガワ:でも、近いうちに必ず目を覚ましますから。
ミシオ:……そう。
タニガワ:信じてないでしょ?
ミシオ:いや、そういう、あれでは、ないんだけど…。
タニガワ:聞いたんでしょ、シモダさんから。
ミシオ:あ……ええ。
タニガワ:おしゃべりだからなぁ、自衛隊員のくせに。……あの人、なんて言ってました。
ミシオ:……。
タニガワ:大丈夫ですよ、気にしないで。言ってください。
ミシオ:……爆発で、ビルの瓦礫が頭にあたって、
タニガワ:ええ。
ミシオ:……脳のあちこちにいっぱい血が貯まってしまって、
タニガワ:ええ。
(台詞部分はG2作「ツグノフの森」上演台本 47〜48ページより引用)
このシーンで、タニガワはずっと絵を描いています。
はじめはなんともない普通の顔をしているのに、ミシオの台詞をきっかけに、ふっと表情が変わります。
私の言う「怖い目」をして、ずっと絵を描いているタニガワ
タニガワの表情の変化に(多分)気を留めていないミシオ
短いけど、妙に記憶に残るシーンでした。
それともうひとつ目の話。
目というより、これは表情なんですが
ラストで円盤の絵を描くタニガワの表情が、嬉しくて堪らないと言いたげな顔で
それが嬉しくて仕方なかったです。
仁さんの演技は、やっぱり好き。
ネタバレ感想の1個目がこれでいいんだろうか。