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[1043] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月20日 (木) 20時30分

すいません。
書きこんだ後に気づいたんですが、ストーリー上の説明不足などがあったのでもう1度かかせていただきます。

プロローグが2つって変ですし・・・

本当にすいません。


[1044] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月20日 (木) 21時45分

プロローグ 〜野望ファミレス〜


ウィーン。

ファミレスの自動ドアが開く。
小走りで一人の女子が入ってくる。
「遅れてスイマセン」
そう言って席に着く。
「すがぁぁぁぁ」
彼女の目の前では、幸せそうにいびきを掻いて寝ている女性がいる。
相手を寝させるほど長い時間、待たせていたのだろうか?
遅れた女子は時計を見てみる。
約束の時間は午後4時。
今の時間は4時5分。
5分で寝てしまったというのか。
女子は寝ている女性を見る。
「すおがぁぁぁぁ」
前よりいびきが激しくなっている。
「これは、2時間前から寝てたな・・・」
なんとなくそう思った。
このままではファミレスに来た意味がない。
しかたなく起こすことにした。
「和泉先輩、起きて下さい」
和泉とよばれた女性をゆらす。

反応なし・・・

「フーーーーーーー」
長い息を吐いた後、和泉の頭をテーブルに置いてあったメニューで叩く。
「うう〜ん」
起きたようだ。コングラチュレイション。
「あ、スミレェ、ウアァァ・・・」
それだけ言うと、また眠りにつく。
こうなるともう容赦なく叩くしかない。
バカン!!
いい音だ・・・
「いだっ」
女性は頭を抱えて起き上がる。
「早く!ちゃんと起きて下さい!」
スミレと言われた女子が大声を出す。
すごい迫力だ。
「まあまあ、そう怒らんといて・・・」
和泉は急いでおだてる。
関西なまりらしい。
「それより!いましたよ!」
ピン!
その瞬間、獲物を見つけたライオンのように和泉の目が光った。

ファミレスから黒いオーラがでてくる・・・。

そのオーラはひとつの高校に向かって流れ出した。

[1045] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月21日 (金) 23時03分

第1章 〜寝るな、起きろ、現実を見ろ〜


時は9月中旬。
人々はもう秋の季節だと言う。
しかし現実は気温30度の地獄を選択した。

ここ松ノ木高校(まつのきこうこう)も熱気に包まれている。
この高校は結構昔から建っているらしく、クーラーはもちろん扇風機すらついていない。
そのため生徒たちは夏バテならぬ秋バテ(どんなのだよ)に直面している。かわいそうなことだ。

「くかおぉぉぉぉぉ」
この熱帯雨林でコタツに入っているような暑さの中、幸せそうに寝ている男子がいる。
羨ましいことだ・・・。
ガンッ、ガンッ。
その寝ている男子の隣から音がする。というか、隣の席の女子が男子の机を蹴っているのだ。
起こそうとしているらしい。だが、ちっとも起きる気配はない。
すると、机の教科書を取り男子の頭に向かって思い切り振りかざす。
バシィィ!!!
教室全体に響くくらいのすさまじい音がした。
「ぐおっ!なにしやがる、チカ!」
男子がうめき声と共に文句を言い放つ。
「うるさいっ!」
バシィィィ!!!!
今度は全校生徒に届くくらいの音が出る。
「ぐぎはうぁぅ!だにじはらうがっ!」もう言葉になっていない。イタソー。
「アンタが早く起きないからよ!」
少し前にチカと呼ばれていた女子が言う。
「それに昇(のぼる)!アンタ寝てばっかでいて本当の大丈夫なの?」
「うがうがっいてぇっ・・・っ」
バッシィィィン!!!!!
「ちゃんと返事くらいしなさい!」
「・・・・・・」
まあ、ここまでいけば当然な反応じゃないだろうか。
チカがもう一発とばかりに構える。
さすがにこれでは昇という男子がかわいそうだ。
同情してあげよう。
チカさん、その辺でやめてやってください。
フン!と荒い鼻息で席に着くと黙々とノートをとり始めた。
昇はまったく起き上がる気配を見せない。そりゃそうだ。
「保健委員、保健室へ連れていってやりなさい」
担任が指示すると、席に座っていた男子二人が昇を引きずって教室から出て行く。今回のことで昇の脳細胞は何匹殺されたのだろうか。ひぃ、ふぅ、みぃ・・・
それにしてもこれだけのことが起こったというのになぜクラスは冷静でいられるのか。答えはただひとつ。

いつものことだから。
誰がなんと言おうが、いつものことだから。

このチカと昇、自分たちでも仲がいいのか悪いのかよく分かっていない。
ただ一応言えることは、この二人は幼馴染だということだ。
まあ、そうじゃなきゃお互いを下の名前で呼んだりしないだろう。
それとこの二人、とても悲しくやっかいな立場におかれている。
まず、お互いに親が一人ずつ欠けているということ。
昇は父親、チカは母親だ。
その次に、この二人の親がとてつもなく仲が悪いということ。
犬と猿というよりアメリカとイラクと言ったほうが当てはまると思う。まあ、それだけ互いを嫌っている。(理由は後に話す。)
じゃあ、チカと昇がさっきのように親しげに下の名前で呼び合ってることなんかバレたらどうなるか。
二人仲良く断頭台だろう。
だから、この二人が出会って話したりしていることは秘密なわけだ。
それから、チカと昇の容姿だが・・・。
チカはショートカットで髪の毛を少し脱色している。
ちょっとおしゃれに気をつかっているらしい。
一方、昇のほうは普通である。髪は長めでもなく短めでもなく、ワックスで立たせたりもしていない。純粋な黒色ヘアーだ。
もっと高校生らしい格好はしないのだろうか?
学校にとっては健全でいいと思うが・・・

おっと、ムダ話になってしまった。学校に話を戻そうか。

時は放課後。
昇もすっかり回復した(と思う)。
教室はほとんどの人が部活動にいってしまったらしく三人しか残っていない。
チカと昇と・・・後は昇の中学校からの親友、矢部である。
彼は昇とは違い、髪や服などに気を使っている。そんでもってメガネをかけている。
うんうん。これが高校生だ。(メガネはどうでもいいけど)
「及川(おいかわ)君、もう大丈夫なんでやんすか?」

あら。危ない危ない。言い忘れるところだった。
チカと昇の本名は『合田(あいだ) 知香』『及川 昇』だ。
はい。読者のみなさん。覚えて下さい。
・・・・・・・・・。
覚えましたね。はい終了。

「んあぁ。大丈夫だ、いつものことだし」
とはいえ、頭を少しさすっている。やっぱりまだ痛むようだ。
その横でチカが窓からグラウンドをボンヤリみている。
「どうしたんだ?さっきから」
昇がたずねてみる。
「ん?いや、あたしたちも部活入ったほうがいいんじゃないかなぁと思って・・・」
たしかに、部活は青春の1ページでもある。
「俺も入ろうと思ったんだけど・・・・・」
昇は言いかけて口を閉じる。こんなこと言ったって信じてもらえるわけない。
だが、「え?入ろうと思ったんだけど・・・、続きはなんでやんすか?」
矢部はなんと言おうとしたのか知りたいらしく、問い詰めてきた

昇はそれを無視した。横で矢部が教えてもらえなかったので、すねている。
【だってよう・・・】昇は心の中でつぶやく。
【部活に入ったら、ひどい目に遭いそうな気がするんだよなぁ】
昇は空を見上げた。
ひどい目に遭うかどうか・・・
その答えは雲だって太陽にだって分からない。

[1049] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月22日 (土) 13時38分

第2章 〜UMA研、入会しませんか?〜


部活。
メンバーで力を合わせ、自分の個性を出し合い、共に笑い、共に悲しみ、共に気持ちを伝え合う。
これが青春の集大成。
そんな生徒たちの青春を尊重する高校、松ノ木高校。
そんな高校で3人の生徒は迷っている。

「はぁ?今日まで!?」
昇が声をあげる。
「そうなんでやんすよ!急いで決めないと!」
矢部も昇を急かすように声をあげる。
なにが今日までのか。
それは、入部届けを出す期限のことだ。
第1章の終盤で「部活どうしよう」とチカが呟いていたが、別に部活くらいいいんじゃないかとお思いの読者の方もいるだろう。
だが、この高校ではそうはいかない。
なぜかって?
それはこの章の冒頭で述べたように、ここ松ノ木高校は部活を徹底している。いや、徹底というよりも強制といった方が合っていると思う。
どれくらい部活を徹底しているのかというと、まず、生徒が入りたい部があるように運動部は50個くらい、文化部30個くらいある。その仲にも入りたい部がないならば、事務の人に創部届けを出し、自分で部活を創ることもできる。
ただしその代わりとして、必ず部活に入らないといけないという校則がある。
以前、それを無視して部活に入らない生徒がいた。そのことがバレると、すぐに停学になってしまった。
それくらい部活を徹底している(いや、これじゃあ、これは徹底や強制も通りこして、部活を崇拝しているのではないだろうか)。
これで、生徒3人が置かれている状況をわかってくれたかな?
では、話を戻そう。
「うーん、部活といってもねぇ。昇、なんかいい部とかある?」
チカがたずねる。
「じゃあもう、帰宅部っての創って出せばいいんじゃないか?メンドーだし」
昇は、曖昧に答える。一歩間違えば停学というのを意識してないのだろう。
「あ〜!もっと真面目に考えろでやんす!」
矢部が怒鳴りだす。コイツはちゃんと自分の危機を自覚しているようだ。えらい。
「じゃあ、矢部は何に入りたいんだ?」と、昇。「そうね、矢部君はどうしたいの?」これはチカだ。
「フッフッフッ。オイラは、オイラは・・・」
待ってたとばかりにわざとらしい、じらし方をする。これでハッキリした。さっき怒鳴ったのは自分の意見を聞かせるためだったんだ。矢部はそういうキャラなんだ。
「オイラはアニ研(アニメ研究会)に入って、メンバーに『ガンダーロボ』の素晴らしさを教え込むのでやんす!」
「・・・・・・・・・・」沈黙。矢部はそういえば、オタクだった・・・。そんなオーラがでている。
この沈黙を打ち破れるヤツはいるのか!?

ガララ!

いた!ドアを開けて一人の女子が入ってきたのだ。すごい。エクセレント。
「すいません!そこの三人は部活はいってます!?」
ロングヘアーの女子はたずねる。最初は驚いていた三人だったが、それがだれだかすぐにわかった。
「飯塚(いいづか)さん・・・」昇がいった。
彼女の名前は飯塚 スミレ。三人と同じ、クラスメイトである。
「いや、入ってないけど。スミレ、突然どうしたの?」チカが言う。
「あ、その。単刀直入に言います!、UMA研究会に入ってください!!」
本当に単刀直入だった。

[1052] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月23日 (日) 16時41分

第3章 〜忘れん過去〜


ここは及川家。

「どうする?」
チカが言う。
もちろんUMA研究会に入るかどうかだ。
「先生に言って期限、3日後に延ばしてもらったけど、あんまり時間ねぇぞ(昇)」
「でも、他に入るトコないでやんすからねぇ(矢部)」
「そうは言ってもどんなのなの?UMA研って?(チカ)
三人は意見を述べ合う。
「UMAだから・・・あれだ。えーーっと・・・(昇)」
「未確認生物でやんすね(矢部)」
「そうそう!それだ!(昇)」
「え?じゃあ、それを探したりするの!?いるわけないじゃん、そんなの(チカ)」
「いや、そうなのか?資料探したりして専門家に出すとか、かもしれないぞ?(昇)」
「うーーーーーーむ(三人)」
「それじゃあ、あたしがスミレに電話してみる(チカ)」
「じゃあ、それでUMA研についていろいろ聞かせてもらえるように話してくれよ(昇)」
「おお、それはいい案でやんすね(矢部)」
こうして三人の話がまとまった。どうなることやら・・・。

1時間後・・・。

「じゃあ、また明日、学校で」
「さよならでやんす〜」
「うん、じゃあな」
こうして、二人とも及川家から帰っていった。

昇は部屋に戻る。
それから、テキパキと洗濯を始める。
その動きは、学校で爆睡している人のものとは思えない。
すぐに終らせると、次は夕食を作り始めた。(これもテキパキ)
ひと段落つくと、自室に行き、仏壇に手を合わせる。

そう、第1章で言ったように、昇には父親がいない。
『けど、母親がいるじゃないか』と思うだろうが、彼の母は早朝から深夜まで働きっぱなしだ。
だから、昇は家事を一人でやっているわけだ。えらいね。

ガタガタガタ・・・・

「ゲッ!」
急いで台所に走っていく。数秒後、「うおー、またやっちまったぁ!」
なんだか平和だな。


一方、こちら合田家。

チカが忙しそうに家中を走り回っている。
「こら!待ちなさい!」
ドタドタドタ
「あははは!ここまでお〜いでぇ〜♪」
ドタガタドタ
「ちくしょう、部屋に入ったかぁ」
こりゃあ、忙しそうというより楽しそうだな・・・。

「お〜い。帰ったぞぉ!」
大人の声がする。チカの父親だ。
「あ、おかえり!」
チカが玄関に走っていく。
すると、部屋が開き、ひとりの子どもが出てきた。
「おかえり〜〜、父さ〜ん!」
子どもが父親に飛びつく。いいシーンだ。
「おお、優人(ゆうと)。元気にしてたか?」
「うん!お姉ちゃんがうるさかったけどね」
それに反応した、チカがまた優人を追い始める。
「あんたが言う事きかないからでしょぉ!」
姉弟(きょうだい)愛だ。
「ははははは」

ほんとに平和・・・

こんないい家庭でも、母親がいない。
なんだか信じられない。


そしてそれは、だれにとっても癒えることのない深い傷に繋がる・・・。


次の日。
昇、チカ、矢部をまきこむ、運命のループが回り始めた。

[1059] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月28日 (金) 22時17分

第4章 〜和泉 アヤメ〜


松ノ木高校。

今日もいつもと同じように、「松ノ木中学と一貫教育になるかもしれない」という担任の話を聞きながら朝のホームルームを終えた。

「くかおぉぉぉぉ」
やっぱりいつもどおり昇が寝ている。

バシン!バシン!

「おきなさい!コラァ!目覚めよ!」

バシンバシンバッシーン!

「やめろ!永遠に眠らさせるつもりかぁ!」

バッシン!

「ぐぎゃぁぁぁ!!!」

これもいつもどおりだ。

「目を覚ませぇ!」

「覚ましてます!覚ましてますから!やめてください!」

「よろしい」
そのとたん、場はシーンとする。
この二人が静かだと教室はどんだけ静かになるのだろうか。

「それより、今日は大事な事があります」

「なんだよ、急に改まって・・・」
別にチカは改まっているわけではない。
昇に耳を傾けさせるために敬語を使っただけだ。

「今日の放課後、学校のとなりのファミレスでUMA研についての説明会をすることになりました、以上」
そう言うと教室を出て行く。
いったい、どんな役作りをしてるんだ・・・



そして、放課後。

「おっ、矢部が来た」
矢部が走ってやってくる。
「なんだよ、なんで学校から直接こなかったんだよ」

「いや、ガンダーロボのビデオ予約をしてたんでやんす」

ウソだ。絶対ウソだ。その証拠にバッチリおめかししている。
なにに気を使ってるかというと、そりゃあ、気になる女子がいるからだ。

「フーン。ま、入ろうぜ」
「やんすっ」
二人はファミレスに入る。


席には、チカ、スミレ、それともうひとり昇たちの先輩だと思われる女性がいた。

「昇、来てよ」チカが言う。
昇が行ってみると、その先輩と思われる人が椅子に寄りかかって
爆睡している。

「ぐかぉぉぉぉぉ」

「すごい寝っぷりだな」
昇が言う。
その隣で、「あら、あんたと同じ感じで寝てるわね」と言っている。

「和泉先輩、起きて下さい。一同(!?)が来てますよ」

・・・・・、起きない。

「やっぱダメか・・・。みなさん、ちょっと下がっててくださいね」

三人が?マークを浮かべる。

スミレがテーブルのメニューを持ち、次の瞬間、ファミレスに風がきる。

シュバシャァッ!

手裏剣のように飛んだメニューが和泉の顔面にぶつかる(つきささる)。

「ぎゃぁっぁっぁぁぁ!!!!顔がぁ!顔がぁぁ!」

三人が唖然としているのに気づいたらしく、スミレが口を開く。

「この先輩起こすの大変なんで、いつもこうしてるんですよ。ちなみにこの技は昨日考え付きました^^」

さらに唖然。

それから一分後くらいにチカが口を開いた。

「ス、スミレ。その技あとで教えてくれない?」
「はい、いいですよ(笑顔)」

その後、チカは意味深な笑みを浮かべて昇のほうを向いた。
昇くん、ご愁傷様です。

「いあたたたたた」

「あ、目を覚ましたっぽいでやんすよ」
矢部が珍獣を見るような目で言う。

「あ、先輩。おはようございます」
スミレが何事もなかったかのように言う。そして、微笑む。
ものすごく恐ろしい・・・。
でも、チカは感心している。いったい何に、心が動いたというのか。

「ん?その人たちは、誰やねん?」
「ああ、この人たちがUMA研に入るっていう人たちです」
「フーーーーーン・・・・」

「じゃあ、みなさん自己紹介してください」
そう言われても、入ると決めた訳でもないのに入ることになっていた三人は戸惑う。

「反応薄いなぁ。オッケ、じゃあウチから自己紹介するわ。ウチん名前は『和泉(いずみ) 綺芽(あやめ)』この会の会長ってこと、よろしくな」
こんな流れになればこっちも自己紹介しなければならない。
まずは、矢部からだ。

「矢部 明雄(あきお)でやんす。歳は16歳、趣味はインターネット、それから・・・」
「あ、えーっと、合田 チカです。昇の保護役をしています。よろしくお願いします」
そういわれて昇が小声で反論してくるが、チカはエルボーでわき腹をどつく。
傷みに負けた昇も自己紹介をする。
「お、及川 昇です。よ、よろしくです・・・」

「へ〜、あんたが及川君か」
和泉がなにかを発見したような目つきで昇を見る。

「じゃあ、行くとしましょうか」
スミレが言う。
「せやな、ほら、新入会員!来な!」
続いて和泉も言う。

しかし、三人は相変わらず頭に?マークを浮かべる。
入会するとも決めたわけじゃないのだ。
それなのに着いてきなって・・・
「あ、あの、どこに行くんですか?」チカが聞く。

すると、スミレと和泉は口をそろえて言った。



「カッパ探し」 

[1066] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年09月29日 (土) 17時43分

第5章 〜カッパ〜


ざわざわわわ。

木の葉が風にゆられて音を鳴らしている。
なんだかマイナスイオンとか体によさげなものが出ている気がする。

だが、現実は違う。

回りを見渡せば、あちこちに『ハチに注意!』とか『毒蛇キケン!』という看板が立てかけられいている。

そんな中に五人の高校生がいた。


「あの、和泉先輩、引き返しませんか?」
「そうでやんす。こんなトコで死ぬなんて冗談じゃないでやんすよ・・・」
「なあ、飯塚さん、ホント堪忍・・・」

「大丈夫ですよ、死ぬことなんて絶対ありませんから」

チカと矢部と昇の意見を笑顔で打ち消すスミレ。
その笑顔には、「死なないけれど大怪我はするかも」という言葉が込められている。
ひゃ〜、アイム スケアード。

その後、矢部と昇は、『スミレが果たしてこんなキャラだったのか。もっと、クールだっただろう』という話をしだした。
結局、答えは出なかったが・・・。


森はだんだんと暗くなってきた。

和泉とスミレは歩くスピードを速める。
それに合わせて他の三人は恐怖で体が震えるスピードを速める。

そこで、チカが恐怖を和らげようと、話を切り出す。
内容は得に気にしないようだが・・・。

「なあ、あたしたち、まだ入会してないよねぇ。UMA研」

・・・・・・・・・(沈黙)

バシンッ!

「ぎゃぁっ!」
沈黙を破る為、チカが昇を叩く。

「ちょっと!せっかく人が話、ふってるってのに無視しないでよ!」

「うるせぇ!今はノレる気分じゃねぇんだよ。それに毎回オレを叩くな!」
「そうでやんす!今オイラは女の子のことを考えてるんでやんす!二人とも静かにするでやんす!」

ババシィーーーン!(二人でまわし蹴り)   「グギャアアアアア!!!」(矢部の悲鳴)




凄まじい悲鳴が森に轟いて15分後、五人(一人は棺桶)は目的地に到着した。

「ここや、ここや!」
和泉の言葉を聞いて、四人(一人は棺桶)は前を向く。

「どや!でかいやろ!」


そこにはとても大きな沼が広がっていた。


「先輩!ここにカッパがいるんですね!」
目を輝かせてスミレは尋ねる。
「そう!ここにカッパがおる!」
そして、目を輝かせて和泉は答える。

さらに、目をドス黒い雲母に染めて三人(一人は棺桶)わ訪ねる。

「あの、カッパは本当にいるんですか?」

「すいませんが、オレは絶対いないと思いますが・・・」

「そうでやんすよ。なんせカッパは想像上の生物なんでやんすから」

その言葉に四人は驚く。もちろんカッパが想像の生き物だったことにではない。
棺桶が何事もないように喋ったからである。

「コホン」
気を取り直すようにして、和泉が咳払いをする。
そして話し始めた。

「たしかに、棺桶の言うた通り、カッパは想像上の生物や。けどな、その想像上の生物が実際におったらそりゃもうすごいことやろ。そのすごいことを求めるのがまた、サイコーに楽しいねん。せやから、ウチはこうしてUMA探しをしてるんや」

カッパの存在について話していたはずが、自分がUMA探しをし始めた理由の話になってきている。
なんだか和泉自身も訳がわかんなくなってきたっぽい。止めればいいのに。


結局、カッパではなく自分の話をしまくった和泉は「疲れた」と言いながら荷物を広げ始めた。

「なんですか?それ?」スミレが和泉に尋ねる。どうやらスミレもカッパ探しは初めてのようだ。というか、初めてじゃない人の方が絶対に少ないだろうが。

「ん?これか。これは釣竿。で、これはエサの胡瓜にチーズに瓶コーラ」

「びんこぉらぁ?」スミレに加えてチカ、昇、棺桶から復活した矢部が言う。

おかしい、カッパに瓶コーラはどう考えてもおかしい。

四人の考えを察したのか、和泉が口を開いた。



「カッパのクー川流れ」



なんだそれ。めっちゃパクリじゃないか。



何だかんだで、物語が始まった。

[1070] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年10月01日 (月) 22時48分

第6章 〜恋話、略するとコイバナ〜


森ってのは涼しいものである。

30度を超えていた気温が今では18度にまで下がっている。

やっぱり9月中旬は暑いといえど秋なんですね。



「そこでクーは・・・」
森の中から声が聞こえる。

まだ、和泉は『カッパのクーの川流れ』という見えついてるパクリの物語を話しているらしい。

「先輩、もういいですって・・・」
めちゃめちゃダルそうな顔をして昇が言う。
「いや、これからがおもしろいとこなんやで・・・、そんでケンちゃんは・・・」

「あぅぅぅ・・・」


2時間後。


「ケンちゃんが空き地でよんでるよぉ、アケミちゃんが言いました・・・。はい!これで全3話中第1話がお〜しまい」

「え、全3話中のこれが第1話なんですかぁ?」

「ん?あ、そうか!あまりによくできていたから3話で終るのがヤダってやつやな!そうかそうか、楽しんでくれたんやな!ま〜あ当然やと思うけどな!はははは」

和泉がけたたましく笑う。それにしても話の長いヤツだ。


ホウホウホウ

「うわ、フクロウ。いるんだなぁ、意外と・・・」
昇が少し驚きの声を漏らす。

「えっ、って事は、もう夜でやんすかぁ!」
矢部の言葉に全員が空を見上げる。たしかに暗くなっている。

「じゃあ、先輩、今日どうするんですか?どこかに泊まるんですか?」スミレが言う。

「ちょっと・・・、それじゃあ困ります。家帰って晩御飯作らないといけないんですよ!」
チカが反論する。

が、ここは五人が住んでるところとは結構離れている。しかたなく森を出て、安い宿に泊まることになった。



「いや〜、今回のカッパ探しはちょっと無計画すぎたなぁ」

風呂あがりの和泉が一応反省するが、この原因は長話をしていた自分であるということを知ってほしい。

廊下の奥で、チカが父親に電話している。
なんて言い訳をしているのだろうか。

「で、和泉先輩。へ・や・わ・り、はどうするんでやんすか?」
矢部が『部屋割り』を強調して尋ねる。
女子と同じ部屋になれるとでも思っているのだろうか?

「ん、そんなんどうでもいいんちゃう?好きな部屋で寝れば?」

予想外の反応だ。彼女は高校生の年頃という気持ちは持っていないのだろうか。

「さすが和泉先輩でやんす!じゃあ、オイラはスミレちゃんと同じ部屋で・・・」

ガンッ

電話から戻ってきていたチカが矢部の頭を殴る。
矢部相手でも昇と同じ要領で殴るのか・・・。
なかなかブレイヴァーではないか。

「まあ、矢部。俺と一緒にねようぜ。ほら、最近の学校のニュースとか聞かせてくれよ」

「い〜や、そんなむさ苦しいのは嫌でやんす!女の子と一緒に寝てこそ・・・」

バスガスボカバキドコッ

「フーッ」

今度はスミレも加わって、矢部を殴った。
こりゃあ、一種のリンチだね。

昇が矢部を運んで隣の部屋に移動する。

こうして女子の部屋は平和になった。

めでたし、めでたし・・・。




チクタクチクタク


時計の音が耳に入ってきて昇は目を覚ました。

針は2時半を示している。もう1度寝ようと思ったが眠れない。
暇だと思って、矢部の布団を見てみる。

【あ、矢部も起きてる・・・】
心の中で、ちょっとだけうれしくなる。

昇はボーッとしている矢部に話しかける。

「矢部も眠れないのか?」
すると矢部は特に驚く様子も無しに「やんす・・・」と、答える。

しばらく空白の時間が続く。

すると、次は矢部が口を開く。それは意外な内容だった。

「及川君は、好きな人がいるでやんすか?」

「えっ」と息を呑む。
そのまま矢部は続ける。

「まあ、及川くんはチカちゃんがいるでやんすもんね。オイラも彼女欲しいでやんす」

その言葉に昇はあわてて反論する。

「バ、バカッ!俺とアイツはそういう関係じゃないから!幼馴染だから!ただの!」

矢部は少しだけ笑う。その後、「そうでやんすよね。そんな関係じゃないでやんすよね。変な話してゴメンでやんす。じゃ、おやすみでやんす」

矢部はそう言って布団にもぐりこむ。

昇も布団にもぐりこむ。だが、矢部の言ったことが頭から離れない。

【及川くんにはチカちゃんがいる・・・】



結局、眠れないまま彼は朝を迎えた。

[1090] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年10月13日 (土) 21時10分

第7章 〜チカと昇の早朝コミュニケーション〜


カーテンから差し込む光が強くなってきた。
おそらく朝日だろう。

チカは目を覚ます。隣ではスミレと和泉が寝息とたてている。
「寝てるし・・・」と呟き、目を細めて時計をみる。彼女は目が悪いのでこうしないとよく見えないのだ。

「5時か。」
普通はこの時間から朝ご飯を作るのだが、今は宿に泊まっている。
寝ようかと思ったが寝付けないので、しかたなく起きることにした。

部屋を出て、洗面台に向かう。(共用ですからね)
そして鏡を見て、髪を手櫛で整える。

そこで、自分が制服だったことに気がつく。
「そっか、パジャマ無いからそのまま寝たんだった。」
シワシワのブラウスをパンパンと手で伸ばす。

そして、黄緑だけど緑に近い微妙な色のリボンを付ける。学校のものだ。

「これでよし。」

洗面所を出て、皆を起こしに行く。



昇は考えていた。

もちろん昨夜、矢部の言ったことだ。
「なんだよあれ・・・。」
そう言った瞬間、ぐ〜〜〜〜〜と気の抜けた音がした。

「腹減った・・・」

そう、彼(だけではなく皆もだが)は昨日、晩御飯を食べていない。
理由は、「晩メシくらい抜いたってどうってことない」と和泉が言ったからだ。本音は「メシ代までもは払えない」ということなのだろうが・・・。

昇は腹を押さえながら気をまぎらわせるために部屋を出る。空腹と矢部の発言だ。

部屋を出ると、女子の部屋から「起きろぉ!」という声が聞こえてくる。
「あいつ、早起きだな・・・。まだ5時だぞ。」
時計を見ながら言葉を漏らす。
そして、ゆっくりとトイレに向かう。得に用をたしたい訳でもないんだけどね。

トイレから出て部屋に帰ろうとすると、大股でズカズカと歩いてくるチカと出会った。
「あの・・寝・・・起き」という声から、どうやら起こすことに失敗したらしい。
結構ムカついてる。

そんな彼女も昇に会った瞬間、表情を変えた。
そして、珍獣を見たような目で昇に話しかける。

「昇が起・・・き・・てxcルぐ・・・。」
言葉が途切れ途切れなのと、最後に噛んだので冗談ではなく本音だったらしい。

「なんだよ、珍獣を見るような目で・・・。」
反論する昇だが、すぐにチカの声に打ち消される。

「昇が起きてるなんて・・・、今年は、日本が沈む・・・。」

パシッ

「アホか、お前は」昇がチカの頭を叩く。
「だって、あんたが起きてるなんて!ネッシーの発見確率より低いわよ!」
「うるせぇ!俺は朝は結構ちゃんと起きる方なんだよ!」

少し沈黙。

そして、先にチカが口を開いた。

「あーあ、ぐしゃぐしゃ・・・。」
チカが昇を上から下へ見て言う。
「ホントだ。」
昇は制服をピンとはたく。

「いや、それもだけど・・・、髪。」
「えっ?」
頭をさすってみる。たしかにぐしゃぐしゃだ。

「だらしないわね・・・。」
チカが昇に近づき、髪を整える。

吐息が顔にかかる。
その途端、矢部の言ったことが昇の頭を埋め尽くす。

身体が熱くなる。そして思う。
【こんなんだから誤解されるんだよ!】

チカの頭に触れていた手を振りほどき、部屋に戻る。
「ひゃっ!」チカが声を上げる。

「畜生!矢部んヤツ!余計なことを!もう焼きそばパンおごってやんねぇ!」

変な決意を固めて部屋に入る。

その姿をチカが不思議そうに見ていた。

[1091] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年10月14日 (日) 14時03分

第8章 〜平和と恐怖の二重奏〜


ガタンガタン

水田に囲まれた線路を1両の電車が走っている。
ここが田舎なのと朝早くということで、車内はUMA研究会の貸切となっている。

「くぅぅぅ。オイラの軍資金が・・・。」

ロングシートの一番端で嘆いているのは矢部だ。
朝っぱらからマイナスエネルギーを大量に放出している。

その理由は、唯一金を持っていた矢部が五人分の宿泊代を払ったからである。(凄まじい出費です。)しかも、他の四人に金を返す態度はまったく表れていない。

「そんな落ち込まないでくださいよ。矢部さんのおかげで皿洗いとかの仕事をま逃れたんですから。」
スミレが横で矢部を励ましている。

励ますくらいなら金を返してやってください。

「まあ、スミレちゃんの役に立ったと思うとうれしいんでやんすが・・・、これでもうプラモがしばらく買えないでやんすよ・・・。」
タメ息・・・。


そんなやりとりをしている二人の向かいの席で、昇、チカ、和泉が話をしている。


「う、酔った・・・(昇)」

「え?ちょっと吐かないでよ!絶対!(チカ)」

「ははは。朝、食いすぎたんやな(和泉)」

「だって、かなり腹へってたんですよ・・・おぅっ(昇)」

「ちょっと!寄りかからないでっ!ていうか、吐いたらアバラ蹴るよ!(チカ)」

「ひひひ!あんたらオモロイね。大阪でウけるで、こりゃあ!(和泉)」

「笑い事じゃないでぅぇすよっ!う!首まで来てる!(昇)」

「ぎゃぁぁぁ!あっち向けぇぇぇぇぇぇ!(チカ)」

「ひひひひぁききききぃ!!腹が、腹が!ははははは!(和泉)」

「ぐぉぉぉぉ!後、何分で到着だぁぁぁ!(昇)」

「着いても、トイレ行ってる時間なんかないわよ!遅刻なんだから!(チカ)」

「ははははははははは!傑作ぅぅぅうひひひひ!(和泉)」


平和な声が車内にこだまする。ピース。

ちなみにその2分後、昇が悲痛な声を上げた。

「おえっ」


             

             ●  




ギシギシと鉄の足場が音を立てる。

とても静かな場所だ。
だが、あまり居て心地よい場所ではない。

辺りに照明は見当たらない。薄っすらと射し込む光が照明の代わりだ。

「桂さん・・・。本当にやるんですか?」
一人の男がボソッとしゃべる。

「あたり前だろ。腐ったこの社会を変えてやるんだ。そして、オレは新世界の神となる。」
「あの、デ○ノートじゃないんですから・・・。」
なんだかユーモアが混じってるが、薄暗いところで言うと少し不気味に感じる。

「社会の中・・・」


ガタンガタン


彼の声は電車の音にかき消された。

だが、彼の憎悪はかき消されない。

[1093] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年10月21日 (日) 22時09分

第9章 〜〜


「うぁぁぁう、厄日だよ今日は・・・。」
昇は絶望していた。

なんでかって?
それは話すと長いんです!けど、話します。

まず、昇は朝の電車でぶっちゃけ嘔吐しました。ご存知でしょうけど・・・。
次に、遅刻で先生に長時間説教されました。
そこまではまだ、他に4人も被害に遭ったんですが、これからが凄かったですね。

ホームルームでは、テストの結果が返ってきて見事に学年最下位。まあ、寝てばっかだし。
「コンくらい慣れっこだ!」と思っていた昇は大変なことに気づきました。

「机と机の間隔、広くね?」

そう、朝の嘔吐でバッチリ、チカに距離をとられたんです。かなり・・・。

しかも、「来ないでよ、変人!」とか反応してくれるなら、まだいいですが(よくもないか・・・)、かなり無反応。
昇が話しかけようとすると、黙って机を離していく。いじめに近いですね。

で、「なんで自分はチカにこんな機嫌取ろうとしているのか?」と自分に対して疑問を持ち、訳が分からないままチカを凝視して、矢部にいろいろ変な噂を流されると・・・。

そんな訳で昇は絶望してます。

じゃ、話を進めましょうか。敬体つかれた・・・。



「及川くん、入ってくれる?」

突然の声に昇は驚いた。嘆いていたところに優しい女子の声がしたのだ。スミレである。

「は、は、入ってくれるって?なににさあ、あぁ??」
はい、ビックリして言葉が詰まりました。

「UMA研究会のことでやんすよね。」
スミレの代わりに矢部が言った。

「はい、そうです。入ってくれますか?」
スミレは昇に少し近づいた。

さすが!チカとは違う!俺を警戒してない!

何がさすがなのか分からないが、昇は気づいていない。彼女の手にエチケット袋が握られていたことを・・・。


「ん。あたし入るわ。もー、どの部活でもいいし。」
チカが横から口を挟んだ。しかも、入るということだ。

「ほんと?アリガト!チカ!」
スミレが歓喜の声を上げた。

「オイラも入るでやんすよ!アニ研より面白そうでやんす!」
彼の場合、昨日の泊まりのような事がよくて入るのだろう。

だが、彼女は「わぁ!矢部さん、ありがとう!」と言っている。
あー純粋。

と、なると昇は「入らなくてはいけない」と、思ってしまうなであった。
だが、すこし気になった。
「少し前に感じたヤな気配はどうなったんだろ?」

その通り。昇は【部活に入ったらひどい目に遭いそう】となんとなく感じていたのだ。

だが、まったくそんな気がしない。

「この部活に入れってことなのかぁ?」
そういうことなのだろうか?

「ま、いっか。決めなかったら停学なんだし・・・、入るかな。」と、決断し、UMA研究部に新しく三人が入会した。









でもさぁ、昇君。今日は厄日なんでしょ?そんなの決断してよかったの?






さあね。

[1108] 極楽学園!
うまい棒 - 2007年11月10日 (土) 15時29分

第10章 〜廃部〜


「さあ!諸君!入会してくれてありがとな!」

ここはファミレス。昇達がUMA研の紹介時に行った学校の隣のファミレスである。
スミレの話によると生徒が創った部活まで、学校側は部室の手配が回らないらしい。

と言うわけで、UMA研はこのファミレスを拠点に活動しているらしい。

「いや〜。人数増えてマジでうれしっ!」
和泉が喜びの声を上げている。
ただ、その声はかなり大きかったようで、店員にアッサリ注意された。

「先輩、落ち着いて下さい」
スミレが和泉をなだめるようにして言う。どうどう。

「せやな。ちょっと落ち着かな。で、諸君に話がある」

ちっとも落ち着いてる様子ではない。なんせかなり話すはやさが早いのだ。

「いいか?さっそく話すさかい驚かんといてな」

スミレ、昇、チカ、矢部は和泉の言葉に耳を澄ます。
そして、和泉はフッと息を吸って、こう言った。

「この部、廃部寸前やねん」

爆弾発言である。何から何まで唐突である。
つうか、入部したての人の前でそんなこと言うだろうか普通。

「あ、う・・・・」
スミレが何か喋ろうとしたが、声が出ない。
どうやら、彼女もこのことについては知らなかったようだ。

冷たい、北風のようなシリアスな空気が駆け抜ける。

ナイフやフォークの音などがうるさく鳴り響いているが、5人の周りだけポッカリと穴が開いているようである。

長い沈黙の後、ついに5人の間に声が生まれた。


声を発したのはチカである。

「じゃあ、入部するのやめます」
拒否である。凄まじく早い。さすがチカ。
学校で入部を決めてから1時間もたっていない。

「おいおい、チカ。いくらなんでも早すぎだろ」
昇が、止める。

「うっさい!その汚い口を開くな!」

「うおぅ、ききき汚いくく口ぃ・・・」

どうやら、チカはまだ朝のことを引きずっているらしい。
そんでもって昇ショック。
そんな二人は置いて、他の三人は話し始めた。


「先輩、廃部って。なんなんですか?」

「へ?廃部ってのは、部活が廃止になることやで・・・」

「そうじゃなくて、なんでですか?」

「あ、う、それはね。ウチらの部活、実績がないやろ」

「そんな、UMAなんて簡単に見つかるものじゃないですよ!」

「な?そうやろ?ウチもそう言ってん。けどな、学校側はただでさえ部活の数があるんだから、もうウチらには部費、渡せんて!」

「部費がなかったら、UMA探しできないじゃないですか・・・」

「でも、逆に言えば部費があればUMA探しできるってことでやんすよね」
矢部が言う。たしかにその通りだ。

「部費を稼ぐ。なんか方法あらへんか?」

「バイト?でも、それじゃあ寄付って形になりますよね・・・。しかも、先生にバレたらすごく面倒くさいですし・・・」

ウィーン

そのとき、自動ドアの開く音がした。
見てみるとそれは松ノ木高校の生徒であった。

「どうすんの?お前はライブするんだろ?文化祭」

そうだ。もうすぐ文化祭だ。運動会がこの間終わったんだ。

「文化祭、文化祭。ははーん、ナルヘソ」
なんか和泉が一人で納得し始めた。

「おーい。昇っち!」

チカとケンカ途中の昇は「はふぃい?」と気の抜けた返事をした。

「文化祭出るで。UMA研存続のため、力かしてぇや」

「あい?はいぃ?」

和泉は席から立ち上がると、昇の肩をガシッと掴んだ。
なんか期待されてる・・・。すげー嫌な予感する。

昇は和泉の顔を見てみる。


ちょっと、なぜかだか分かんないけど、うれしそうだった。



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