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- うまい棒 - 2007年09月19日 (水) 22時11分
プロローグ
9月中旬。 もう秋に入ろうとしているというのに、30度を超える日が続いている。
トーゼン午後の学校も暑い。 ここ、松ノ木学園(まつのきがくえん)もコンクリが溶けるんじゃないかというくらいの熱気に包まれている。
1年2組。 ここは学園の中でも一番暑い所である。 クラスのほとんどの人が干からびる寸前のトカゲのようにゲンナリとしている。
「すぉぉぉぉ」「すぉぉぉぉ」 一人の男子の寝息が聞こえる。 なんて羨ましいことだ。 この我慢大会のような教室で爆睡できるとは・・・ 担任も思わずタメ息をついている。
ガンッ、ガンッ 椅子を蹴る音だ。 となりに座っている少女が起こそうとしているらしい。 世話好きなのだろうか? 音がやんだ、と思いきや次は消しカスの連続攻撃だ。 それでもその男子は起きない。
嫌気がさしたのだろうか。 鉛筆のキャップを抜きとると、男子の顔面に投げつけた。 カツン 「ギャッ」 小さな声がして男子は顔を上げる。 「チカか・・・」 チカと呼ばれた少女は落ちたキャップを拾いに立ち上がる。 席に着くと男子に話しかける。 「昇(のぼる)、アンタねー」
「また説教か・・・」 昇という男子は面倒臭そうにチカの方を見ている。
「授業まじめに受けないでどうすんの・・・」 「アンタみたいに何も特別なモンがない人が授業もまじめに聞かないで・・・ブツブツ」 「始まった・・・」 憂鬱そうに頭を抱える昇。
まあ、寝かしといてやんなさいな。 この先、昇は生命の危機に直面するんだから・・・
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