投稿小説掲示板
何か記念に書いてください!
ホームページへ戻る
ZAC2099年、ガイロス帝国とへリック共和国によるエウロペ戦役勃発。当初入念に準備を行ってきた帝国軍が共和国軍を追い詰めていたがその1年後の2100年、予想以上の戦線の拡大や、共和国軍のゲリラ戦により進撃を止められてしまう。さらに制空権も奪われてしまいまもなく退却する羽目になった。そして2100年七月未明、帝国軍は共和国軍に総攻撃をかけるが弾薬不足などにより失敗に終わる。やがて徐々に帝国軍は劣勢に立たされていく。これはそんな戦乱の世に巻き込まれていく者達の物語である・・・
また新しく書き始めました。まあダークシティと同時進行で書かせてもらうんでみなさんよろしくお願いします。
北エウロペ大陸北部に位置する町ガザン・・さほど大きくもないが小さくもない普通の村だった。主に牧畜が多かったが商業としても発展しつつある町だ。そしてその中にブレンリー家はいた。やはり牧畜営んでおり妻と二人暮しだった。夫の名はハワード・ブレンリー年齢は28、妻の名はエレン・ブレンリー年齢は27、お互い協力しあって生活してきた。この町では協力ということは当たり前でもある。今日も同じくハワードは家畜の世話をしていると、こちらに見慣れない顔の人物が近づいてきた。「あれは・・・・帝国軍・・・」よく見ると胸にガイロス帝国の紋章の入った軍服を着ていた。そして目の前まで来ると一枚の封筒のようなものを出した。「あなたがハワード・ブレンリーですね、軍より徴兵令が来ました。詳細は中の手紙に書いてあります。では」それだけ言うとまた元来た道を引き返していった。封筒を裏返るとそこにはガイロス帝国の紋章があった。それの意味はただ一つ、母国ガイロス帝国のために忠誠を誓い戦うことだった。もちろんその意味はハワードも理解していた。「ついに俺の所にもきたか・・・・」いきなりの事にも関わらずハワードはさほど驚いていなかった。というのも徴兵令の話は前々から聞いたいてからだ。短期決戦を狙った帝国軍だがその野望は打ち砕かれ遂には総力戦になってしまった。隣町でも先週徴兵令があったことも理由の一つだ。その夜・・・・ハワードと妻のエレンは深刻そうな顔でイスに腰掛けていた。「・・・ということだ。」ハワードがいきさつを説明するとエレンの顔は一気に青ざめていった。「そんな!・・なんであなたが行かなきゃならないの!・・・軍の仕事でしょ!!」「その軍でも足りないのだろう・・いずれこうなることは薄々感じていたが・・・」額に手を当てながら言うハワード。「逃げましょ・・・どこか遠くへ・・・」エレンが突然そう口にするがハワードはそれを拒んだ。「やめろエレン!・・すぐ捕まるのが落ちだ・・そうなれば二人とも処刑されるぞ。」「でも!・・あなたがいなくなったら・・・」「いや・・俺は必ず帰ってくる・・絶対にだ!」ずっしりと重い言葉でなおかつエレンを安心させるような口調で言う。「なあ・・お願いだエレン・・わかってくれ。」しばらく沈黙が続いたがやがてエレンが口を開いた。「わかったわ・・あなたを信じるわハワード・・でも・・本当に帰ってきてね・・」「ああもちろんだ・・愛してるよエレン。」そう言うと二人は互いに抱き合い唇を重ね合わせた・・・・・2日後・・ハワードは徴兵された兵士を運ぶトラックに揺られていた。話ではこれからどうやら一年の訓練を受けて戦場に送られるそうだ。しかし俺は死なない・・・絶対に妻エレンの元に帰ると約束したのだから・・・・
ガイロス帝国下士官養成学校トラックに揺られて着いた場所がここ訓練施設だ。あちこちから徴兵されたもの達が乗ったトラックが到着する。「ここか・・」目の前の施設を眺めながらぼやくハワード。やがて係りの者が施設内に誘導していった。3分ほど歩くと、とても広いホールのような場所に案内された・・というより連れて行かれた。すると目の前の壇上に上官らしき男が現れマイク越しにしゃべりはじめた。「名誉あるガイロス帝国軍に入隊する諸君!私はこの養成学校の校長を務めるグラン・モルジスだ。早速だが君等一般人が優秀な兵士になるには厳しい訓練に耐えなければいけない。しかし!その訓練を耐え抜いた者は皆から尊敬される兵士になれるのだ。是非そんな兵士がこの中から多くなってくれることを心から願う。では諸君明日からがんばってくれたまえ。」そう言うと壇上から降りていった。その後は施設内の説明や訓練日程など聞かされると、寮のように各部屋に分けられた。ベッドの上にはガイロス帝国軍兵士の軍服が置いてあった。どうやらこれに着替えろということらしい。そそくさとそれに着替えていると肩を叩かれた。「やあ、君も徴兵されたのかい?」そこには同い年位の男が立っていた。「ああ・・・名前は?」「ああ俺の名はツェン・ミラード、君の名は?」「俺はハワード・ブレンリーだ、よろしく。」「こちらこそよろしく」そうお互いに自己紹介をすると手を握り合うのだった。
翌朝・・・窓から差し込む日の光で目が覚めた。兵士専用の固いベッドから起き上がると大きく背伸びをするハワード。するとツェンも眠い目をこすりながら起き上がった。「ふあ〜・・おおハワード・・もう起きたのか。」「ん・・いや今起きたばかりだ・・それより今日から訓練だな・・」興味深そうな感じだが不安もそこには混じっていた。「そうだな・・俺達一般人で持つのかそのほうが不安だな・・」「はは・・そりゃ言えてる・・・」苦笑いしながら答えるハワードだった。兵士訓練所・・何十人もの兵士が整列していた。その前に立つ厳しい顔つきの男が兵士達に向かって叫んだ。「いいかお前ら!俺が今日からお前らを指揮することになったランドル軍曹だ!これから1年訓練することになるが・・脱落は俺が許さん!帝国軍兵士として恥じぬようにしろ!それと俺がお前らに何か言った時は、ハイ!軍曹殿と答えろ!わかったか!!」「ハイ!軍曹殿!!」皆威勢よく一斉に答える・・しかし3時間後にはその威勢も無くなっていた。走りこみ、筋肉トレーニング、障害物競走、はては武術まで・・さすがに体に堪えるハワード。すでに息が上がっており体中から汗が流れていた。皆思うだろう。何故こんなに厳しいのか・・しかも初日から・・しかしこれが戦争なのだ。どちらが殺すか、殺されるかで決まる。そのための技術は身に着けなければならない。そのためにはまず健全な肉体というわけだ。ましてや徴兵した者達である。より厳しいのは当然ともいえよう。「ハア・・ハア・・ようハワード・・きついな・・」息を切らしながらツェンがドカっと脇に座る。今は休憩時間だった。といっても15分だけだが。「これが軍人の訓練ってやつか・・まさかこれほどとはな・・・」ハワードが予想としていたこととは全く違っていたようだ。「これで体が持つのか心配だ・・・」「だな・・」同感するように鼻を鳴らすハワードだった。その日は結局訓練が終わったのは6時だった。早いと思うかもしれないが朝7時から始めたとなれば納得できよう。その日寝る時、固いベッドの筈がやわらかい毛布と思えるほどだった。