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昔々、ノストラダムスやマヤを始めとする終末予言が流行った頃、天気を予言する犬がいました。タコではありません。犬です。
ワンと吠えれば曇り。ワンワンと吠えれば晴れ。オーンと叫べば６時間以内雨で、キュンキュン鳴いたら１時間以内大雨。外した事がありません。そのうち近所で有名になり、それからはトントン拍子に国全体はおろか、遠国にまで名前が轟くようになりました。予報の正確な事は、紛争中の隣国が舌を巻いてトラブルを一旦控えた程です。というのも当時は気候を制する者が世界を制すると信じられていたからです。
天気予報よりも良く当たるという事で、犬に負けた気象庁は仕分けされて気象衛星は飛ばなくなりました。なにしろ犬はエサ代だけのコストで百発百中なのに、衛星は犬の何十万倍のコストがかかって、しかもその情報は敵国にも伝わるのです。そんな越後塩的で高価な玩具を世論の代表たる仕分け委員が見逃す筈がありません。そんな事に税金を使うぐらいなら予言犬を種犬に後継犬を大量生産した方がマシでしょう。幸い犬に口蹄病はないし国内で狂犬病の発症例も数十年間ありませんでした。世論が犬だ犬だと騒ぐのも当然なのです。個人的にはタコでない事が残念ですが。
後継犬を大量に育成して３０年が過ぎた頃、なぜか狂犬病が流行しました。隣国の仕業と噂されましたが証拠はありませんし、そんな事を知った所で事態が良くなる訳でもありません。結局、予言犬は絶滅してしまいました。さあ大変、気象庁を解体して長らく経ち、天気関係には人材もインフラもノウハウもありません。そしてこれは一応寓話ですから、混乱に乗じて台風の日に隣国に攻め入られて滅亡してしまいました。きっと隣国は予言猫を育成していたんでしょう。あ、もしかしたらタコかも知れませんが。
これの何処が怪談かって？
だって動物が予言して国が滅びるのですよ。これ以上のカイ談は無いのではないかと・・・。
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