[24] † DAIMON:DAIMON † |
- BAKU - 2004年10月18日 (月) 01時46分
† PROLOGUE †
この世の物語と言う物は、必ず始まりと終わりがある―― 物事には必ず始まりや原因はある物だし、終わりの無い物語なんて絶対に存在しない。 そう、これから俺が体験するこの話も…… いつの時代、どこかの場所――世界の果てと言った方が正しいだろうか?――で、全ては始まった。 いや、正しくは一つの物語が終わりを告げ、新たな物語が幕を挙げたのだった。 しかし、物語は幕を挙げても序章から全ては始まる物だ。 それは物語が始まってから、数千年もの時を経てからの事だった――
其奴の名はグレイと言った。 その頃の俺は、まだ奴の名を知らなかった訳だが、名を知らぬ奴をどう言い表せば良いだろうか? 其奴は人では無かった。いや、形だけを言えば人に近かったが、一つだけ決定的に違う物が奴にはあった。 ――翼だった。漆黒の、闇の如く大きな翼だ。 その日、奴、グレイはその翼を使って夕焼けの空を飛んでいた。 後で奴話をに訊くと、奴は空からずっと俺を見ていたらしい。 そして漸く口を開き一言―― 「……良い魂(タマ)見付けた♪」 その発言について、今は詳しく説明しない。 けど、読んでくれている貴方にも…この物語が進む内に、それがどう言う意味なのかは分かるだろう。
おっと、そろそろ時間が来たみたいだ。 話の続きは、また今度という事にしよう――
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暮れ泥む町。一つ、また一つと夜が近づく中で街灯が灯る。 幾つもの雲は夕焼けに染まり、美しい朱色をしていた。 季節は秋、風は凪いでいるのに、肌寒かった。 黒いスーツを着た男と、その傍らの女が立っていたのはとある廃ビルの屋上だった。 其処からは、町全体が良く見渡せた。 「どうだ?」 黒髪、切れた黒目の男は、女にそう訊いた。女は垂れた髪を掻き上げて答える。 「まだ何とも」 女の服装は膝丈下まである長い灰色のスカートに、灰色のコートと、質素な物だった。 「気配はあるのか」 「多少は」 目を凝らして町を見詰めながら女は言った。男は腕を組む。 「扉が開くのはいつ頃になりそうだ?」 「遅くても三日後には。早ければ明日のこの時間帯です」 「フム……」 考え込み始めた男に、女は声掛ける。 「どうなされますか?」 それから少しだけ間を空けて男は言った。 「扉の位置を確認次第、張り込む。そして、現れたら捕獲、または強制排除する」 「了解しました。それじゃあ、急ぎましょう」 女は言うと、跳躍し、その廃ビルの屋上から飛び降りた。 「やれやれ、奴等も一体何を考えて居るのやら。こんな場所に降り立つとはな」 男も、女の後に続いた。
全ては、此処から始まる――
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