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[18] 果てに向かう旅
健良 - 2004年10月05日 (火) 01時08分

作品データ

コンセプトは「クラーク趣向のSF世界観を構築しよう」であり、話の内容についてのコンセプトはまったく考えてなかったので、起も承も転も結もありません(^^;)。

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昔の人は、水平線が世界の果てと考えていた。滝があって海の水が果てへと流れ落ちていくから、水平線があるのだと…

はるかは、本を閉じた。古い神話、伝説。どれもみんな、世界の果てを同じように考えている。

でも、果てに落ちていった水は、どうなるんだろう?

果てには何があるのだろう?

水が流れ落ちていく空間がある以上、果てというのは『無』ではないと思う。

でも、虚無の空間がどういうものなのかは、人類最大の謎だ。

はるかは、外を見た。図書室の天井は一面ガラス張りで、その向こうに宇宙が見える。読み終わった本は、本棚に戻すか、もしくは専用のボックスに捨てなければならない。

彼女は少し迷い、本を捨てた。捨てた本は、ボックスの箱を閉めた瞬間には消えて、次の本への材料になる。

しかしはるか自身は、その工程を見たことが無かった。

マイクロチップに納められた、幾億もの本。その中から読みたいものを指定すると、『製本』されて出てくる。読み終わったら、本棚へ…

だが、本棚には限りがあるので、本棚が一杯になったら、読まない本を捨てなければならない。そして、次の本を『製本』する。

指先でピ、ピ、ピ、とボタンを押して、待つ事10分。かたん、と音がして、壁の窓口から本が出てくる。

いつもそれの繰り返し。だが、読む本はまだまだある。尽きることなど、無いのかもしれない。

透明な天井の向こうにある宇宙。

はるかは、図書室を出た。長い、無機質な銀色の通路。両側にいくつも扉があるが、はるかは、随分昔に何があるか探険していた。

扉の中は、「個室」だ。ベッドがあって、クローゼットがあって、バス・トイレがある。一人で過ごすには少し広い空間が、扉の向こうにひとつずつあり、どこも使われていない。

こんな部屋が、はるかが数えた限りでは、500くらいあり、そして、ベッドが二つの部屋も、3つの部屋も、少しあった。

他に、はるかが入れない部屋もたくさんあるし、椅子とテーブルが並んだ部屋や、反対に何も無いただ広いだけの部屋もある。

今ではもう、迷うことも無い無機質な世界。

彼女は、自分がいつ頃からこの無機質な空間に居るのか、きちんと数えていなかった。電子カレンダーの日付は、2,487,639・7/1となっていて、一日が終わると一番右の数字がひとつ大きくなり、30か31になると、右から2番目の数字がひとつ大きくなる。

そして、右から2番目の数字が12になると、次は1となり、「・」の左となりにある数字が、ひとつ大きくなる。

はるかが憶えている限りでは、もう、「200」くらい過ぎた。

彼女は、通路を突き当たりまで歩いていった。壁全部がぼんやり光るから、歩きやすくていい。

突き当たりの扉だけは蒼く、銀色特有の冷たさがない。はるかが扉横の小さな画面に手をかざすと、扉が開いた。

その向こうは真っ白で、ぼんやりしていると上下が分からなくなりそうな部屋がある。

後ろで蒼い扉が閉まると、天井からさあっと風が吹いてきて、まわりの全てが一瞬だけ、紫になった。

これで消毒は完了だ。白い壁が音も無く開き、はるかは前に進んだ。

ぱっと透明な光が降り注ぎ、鳥の鳴き声がうるさくなる。足元は、無機質な銀色ではなく、土と芝生の上に敷かれた、瀟洒なタイルになっている。

タイルの小道は、途中で枝分かれしていたりするが、はるかは真っ直ぐに進んでいった。

小さな橋がかかっている小川を越え、彼女は、ほんの少し寄り道するために立ち入り禁止の花壇の柵を跨いだ。

花壇では淡い色の芝桜が咲き乱れ、風に揺れている。はるかはそれを踏まないように気を付けて飛び越え、花壇をはさんだ反対にあるタイルの小道に出た。

木々の葉が優しく揺れ、降り注ぐ光をかき混ぜる。

はるかは、立ち止まって天井を見た。天井は高く、白い光で良く見えない。彼女は目を細め、そして、また歩き出した。

この空間から出る時も、入った時と同じことが待っている。紫の光を浴び、風に送り出され、はるかはまた、無機質な通路に立った。

真っ直ぐに続く通路の終点は、銀色の扉で、彼女はそれを開けた。

急に温度が下がり、少し肌寒くなる。

入ったところは、壁に手すりがついた狭い部屋で、はるかは深呼吸した。

「重力を消します。準備はよろしいですか?」

男の声が天井から聞こえてきて、はるかは、「いいわ」と答えた。

足元からシュゥっと音がして、次の瞬間体がふわっと浮いた。はるかは、慌てることもなく天井に片手をつき、その手で自分を床に押し戻した。

そして手ごろな高さにある手すりに掴まり、次の扉が開くのを待った。

「姿勢確認、安定。次の扉を開けます」

目の前の銀色の扉は、音も無く、ゆっくりゆっくりと開き、はるかは手すりを握る手に力を込め、目の前の空間に飛び出した。飛び出したはるかをセンサーが関知して、あちこちに灯りが点き始めた。

見えないくらい高い天井から、見えないくらい深い床まで、何列ものベッドが並んでいる。その様子は、ビデオで見た、海中のジャイアントケルプの森に似ている。

深い海の底から、海上の光を目指して伸び、揺らいでいる海草群。

こんなベッドの柱がいくつあるのか、数えたことはなかったが、1000人いると聞いた事がある。

ひとつのベッドには一人、もしくは二人が眠っている。その姿はどれも真っ白になっているが、みんな姿勢も容姿も変わらない。

自分も昔はここにいた。

だが、何かの事故で、自分と同じ列にで寝ていた100人足らずが目を覚まし、一時期外で暮らしていたことがあった。この世界の探険は、その頃に妹たちや友達と行ったものだ。この『宇宙船』には、はるかたち子供には入れなくても、大人たちだけは入れた部がたくさんあった。

そして、別の列の人も、何人か起こされた。

じきに故障が治ると、何人かはベッドにすぐ戻り、何人かはもう少し、といって残った。

皆が寝たわけではない。もう少し起きていること選んだ人たちは、1週間がすぎた頃から、一人、また一人と居なくなった。

一度だけはるかは、図書室の天井の向こうを、どこかへ流れていく白い細長い包みを見たことがあった。

自分たちと遊んでくれた少し年上の青年が、悲しそうな、なんだかほっとしたような顔で見送っていたのを憶えてる。

そのうち、妹が二人、いちどに居なくなった。

母は、だるいからといって先に寝ていた。はるかたちが入れなかった部屋に詰めていた父も、そのうち姿を見なくなった。

友達も、ひとりずつ居なくなり、そして、ある日、騒動が起きた。

起きていた人たちが、突然、一斉にここに押し寄せたのだ。寝るために、一刻も早くこの透明な膜に覆われたベッドに入るために、我先にと駆け込み、そして残ったのは、はるかと、あの悲しそうな顔をしていた青年だった。

二人が残ってしまった時、青年ははるかの頭を撫ぜた。

そして、一ヶ月が過ぎた頃、彼は憔悴しきった様子で、再びはるかの頭を撫でた。

これは感なんだけどね。多分僕たちは、もう寝ないほうがいいと思うんだ。

彼は、はるかをここに連れてきてくれた。はるかの母親や、先に寝た人たちは、変わり無く眠っていたが、あの騒動の日、ここに駆け込んだ人たちは、眠っていなかった。

透明の膜に覆われたベッドの灯りが消えている。

膜の中が暗くなっていたら、それは死んでしまった印。でも、ここまで来たのだから、死体だけでも新天地に運ぼうと、そういうルールがあるんだよ。

彼らは、先に死んだ人たちを宇宙に流してしまったね。でもそれは、ルール違反なんだよ。

君のお母さんは、お父さんがいなくなったこと、きっと悲しむね。

長い長い旅の果てに、最愛の人が居なくなってたら、とっても悲しいよね…

図書室の窓から見送っていた白い包みは、あなたの好きな人?

いや、仲間だよ。新天地を一緒に目指そうと約束した仲間たちさ。他にも無事な仲間はいるけど、新天地に着いた時、みんなきっとガッカリする。

再会の約束を果たせないことを、僕だけが先に知ってしまった。

そして彼は、もうここには来てはいけないよ、と言った。

しかしはるかは、時々こうしてここに来ていた。

彼女は暫くの間、無重力なその空間を泳ぎ回り、母親や友達の顔を覗き込んだ。

自分が寝ていたベッドは、当然空いたままになっている。

彼女は再び来た道を引き返した。

光が天井から降り注ぐ人口の森で、彼女はほっと息をついた。鳥のさえずりがまた迎えてくれる。

彼女は、いくつもある扉をどれも選ばず、森の中心に向かってタイルの道を歩いていった。

森の中心は芝生の空間で、四阿(あずまや)がある。半分だけ屋根の付いた、白壁の小さな建物に、はるかは入っていった。

青年が本から顔を上げる。

「やあ、図書室の読書は終わったの?」

はるかは、肯いた。

「君も座るといいよ、はるか」

椅子に座ると、彼はまた、本に視線を戻した。

「ねえ、私たちは本当に果てに向かっていると思う?」

「またその質問かい?」

と、彼は笑った。

「向かう先に果てがあるかもしれないけど、僕たちはそこに辿り着くことはないよ。宇宙というのはものすごいスピードで広がっているからね。僕たちはそのスピードに追いつくことは出来ないし、果てにはきっと何も無い。だから、人が住める所があったら、そこに向かうんだ。

でも、辿り着くのかな? 僕たちはもう、200年もこうしている。あの病気で死なないために起きていることを選らんだのに、こうして生きている。

はるか、僕はこの現象の謎を解きたいよ。僕たちは、ずっとこのまま旅を続けていくのかな?」

はるかは、肯いた。

この船で必要なことは全て彼が教えてくれた。

彼は、自分とはるかの為に、この世界を快適に保ってくれている。

そのお礼にはるかは、一日に何時間かは、彼のそばに居ることにしている。

あの日からの200年なんて、あっというまだった。

ということは、これから先の200年もあっというまに過ぎるだろうし、そのまた次の200年は、さらに早く感じるかもしれない。

はるかはずっと子供だし、彼は老いることがない。

このまま旅が永遠に続いても、飽きることはなさそうだった。

少なくとも、いつ起きるかわからない眠りより、マシだろう。

はるかは、目を合わせてきた彼に向かって微笑んだ。


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言い訳編

試作品です(笑)。出来の悪さまで、言い訳するつもりはないんですけどね(^^;)

5月末のホワイトハート大賞に投稿するネタについての試作品。こういう話を投稿するわけではないんだけど、たまには、設定が現代以降でまったくの虚構の世界を書いてみるか、と思ったわけですよ。

で、どの程度の世界観が構築できるかな〜と、試したのがこれ。

しかしこの小説、世界観もへったくれもなかったな☆すっごく狭い、過去回想録みたいなものじゃん(^^;)

小説の世界とゆうか、独自の世界観というのは、思うのは簡単なんだけど、書くのが大変なんですよね〜。

自分で勝手な世界観を構築できて、間違いを指摘されず、検証する必要も無いという理由で、怠惰な小説家がファンタジー系の小説を書いているという失礼な説を聞いた事があるけど、それはきっと、読むだけで、書いたことの無い人の言い分だな☆

とはいえ、そう考えると、この現代世界の片隅で、本当にあるかもしれない話っていうほうが、けっこうプロットはまとまりやすいんじゃないか…と思ったりするわけですが、結局のところ、書き手の脳みそがどういうキャラクターを使えるか、という問題があるので、そう簡単にはいかないのね…(苦笑)

ただ、この世界の片隅で本当にあるかもしれない話ってのは、思い付かないモノです。簡単にふっと思い付いたとしたら、それは実際に「あった話」かもしれないわけだしね。とすると、あるかもしれない話というのは、作品として、書き手の個性を出すのは本当に難しいことなので、そういうのが思い付けない私は、安易な虚構世界を構築して、泥沼にはまりこんだりするのでした(笑



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