[14] キューバ 未来の話 第二回目投稿 |
- 眠りの大山ジンイチ - 2004年10月01日 (金) 13時23分
そして時刻は15:00になった。 1時間に200ミリの大雨だ。そして、水は学校の2階にまで達した。 5階建ての学校は2階と3階の間にシャッターを閉め、さらに、2階までと3階の階段付近の防災扉も閉めた。 今、学校はまるでタイタニックだ。 トミーは父母が死んだことを確信した。 14:42には世界で観測を始めて史上初の、最大瞬間風速98メートルを観測。 しかし風雨はこれからますます強くなる。
時刻は19:00 ついに恐れていた事態が起こった。 水位が、学校の5階にまで達し、学校が崩れていっている。 ほんの少しの人間は、屋上から、ボートに乗った。 ボートからは、水の底に沈んでいく学校の時計が見えた。 避難した人は6500人。 そのうち、今、ボートに乗っているのは260人。 そこに、子供・老人の姿はなかった。 非常用のゴムボート50隻(1隻定員35名)に全員乗っている。 ここでの命綱は、救命胴衣と、乗っているボート。 次第に、強風で、ボートが転覆していったが、23隻ほどは残っていた。 まだ、死人は出ていない。 ここにトミーもいる。 トミーは幼稚園児のときから、水泳をやっていて、次回のオリンピック「カイロオリンピック」に出場する予定だ。 成績も優秀で、退学されていく友達(これは事実だが、キューバの学校は85点以上取らないと退学させられる)がたくさん出てくる中、友達14人中、トミーただ1人残っている。 そんなトミーは、今も父母のことを考えているはずだ。 しかし、時刻は23:00になっている。 暗闇の中、しかも手がかり0の状態で捜索するのは無謀すぎる。 トミー自身もわかっているはずだ。 しかし、少しずつ風雨はおさまってきている。
そして、翌朝。 水位は、推定で学校の7階分くらいあるんではないだろうか。 天気は、黒くて厚い雲がかかっている。しかし、雨は降っていず、風も15メーターといったところだろうか。 今、ボートは残り8隻。 昨日の23:00頃の約3分の1だ。 人は、全員いる。 と、そのとき、高さ、15メートルくらいの波が、連続して押し寄せた。 トミーたちは、大津波をもろにあびた。 悲鳴が聞こえてくる。 5〜8波くらい押し寄せたあと、おさまった。 すると、そこには28人と、何百もの救命胴衣があった。 ボートは、残り2隻になった。 波で押されて、だいぶ、後ろに下がったみたいだ。 後ろの、東には避難所の高校。西には、自宅。 北には海。南には、中心部がある。 トミーたちは南に向った。
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