3.11大震災の影響で3月講座は中止させていただきました。
AMCJ会員・BBS読者の皆様、そして犬達の無事を心より祈っております。また、津波の犠牲となられた多くの方々にただただ合掌し、ご冥福を祈るだけです。
さて当方ですが、職場では大小さまざまな被害があり、復旧作業を急ピッチに進めているところです。しかし、完全復旧にはさらに月単位、あるいは年単位の時間が必要で、暗い気持ちになることもあります。
一方、自宅はそれほどの被害はありませんでした。食器類が少々壊れたくらいです。“片付けられない症候群”罹患家族ですので、地震当日の室内の騒然さに特に驚きもなく、ものの1時間ほどで現状復帰させました(元の木阿弥とも言います)。
自宅周辺は、ライフライン復旧が比較的早く、しばらく続いた食糧・燃料不足も徐々に解消されつつあります。計画停電で難儀されている方々には申し訳ないのですが、居住地は災害救助法適用で現在のところ対象から除外されています。ただし、交通機関復旧の遅れと福島原発が気にかかっています。
ご老体レオが地震翌日に原因不明の痙攣発作を起こしました。ストレスによるものかもしれません。発作は1回だけでケロッとしていますが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)気味です。夜になると余震におびえ、うろうろしたり、小さな声で泣いたりしています。それも余震の減少とともに軽快しております、ご心配なく。
本日から泌尿器系を取り上げます。10回ほどを予定していますが、その第1回は「多尿・多渇」です。
6 泌尿器系
6-1 多尿・多渇 「いつもより水を飲む、いつもよりオシッコをする」状態が多尿・多渇です。目安は、飲水量が90mL/kg/日以上、排尿量は45 mL/kg/日以上です。
水の消費量と排尿量は腎臓・下垂体・視床下部の相互作用でコントロールされています。多尿は、視床下部の抗利尿ホルモン(ADH)合成に支障があったり、下垂体からそのホルモンの分泌が制限されたり、そのホルモンに対する腎臓の反応が鈍いときに起こります。多渇は、視床下部の“渇き中枢”が刺激されたときに起こります。多くの場合、多尿がまずあって、その代償として多渇となります。体水分を維持するための防衛的な水分補給です。
犬の多尿・多渇は、腎機能不全、副腎皮質機能亢進、真性糖尿病が原因であることが最も多いとされています。先天性疾患(例えば糖尿病や腎疾患)、副腎皮質機能低下による多尿・多渇は比較的若い個体で見られ、腎機能障害、副腎皮質・甲状腺機能亢進、下垂体・視床下部の腫瘍による多尿・多渇は成犬や老齢犬に見られます。
多尿の原因を四つに分け、代表的な疾患を列記します。難しい病名が並びます。
■ ADHに対する腎臓の反応低下:腎不全、副腎皮質機能亢進、子宮蓄膿症、肝障害、腎性尿崩症(腎臓がADHに反応せず、多量の薄い尿を排出し続ける)、薬物中毒
■ 浸透圧性利尿:真性糖尿病、塩分摂取過多
■ ADHの欠乏:先天性、あるいは外傷・腫瘍による中枢性尿崩症(下垂体からADHが分泌されず、多量の薄い尿を排出し続ける)
■ その他:問題行動、発熱、痛み
多尿・多渇以外の症状は原因によって様々ですが、体重減少・多食・皮膚疾患(脱毛など)・嘔吐・腹部膨満・神経症状などです。治療法も原因により様々です。脱水症状に陥らないように注意しつつ、まず原因を究明することが先決です。その後にそれぞれの治療が施されます。
2011年04月02日 (土) 05時51分
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