口蹄疫が一段落したと思ったら今度は鳥インフルエンザ騒動が続いています。農家の方々、防疫関係者のご苦労は並大抵ではありません。不眠不休で対応されていることに頭が下がります。
実は隣国の韓国では両感染症が同時かつ大規模発生しています。特に口蹄疫は収拾がつかない状況に陥りつつあります。隣国・中国大陸での感染症発生にも注意しておくことが防疫には不可欠です。
鳥インフルエンザは、渡り鳥を仲介役として大陸・半島からやって来るようです。渡り鳥が飛来すること、日本の空を自由に飛び回ることは制限できません。そのため口蹄疫と違って発生地域が限定されませんのでとても厄介です。また、年々増加しているようにも感じています。今回の騒動が早く終息することを切に願っています。
5 呼吸器系 5-3 呼吸困難 この単元のテーマを“呼吸困難”としましたが、荒い呼吸、過呼吸、あえぎなども含みます。息をするのが苦しそうな状態と考えてください。緊急を要することもまれではありません。
呼吸困難の原因は「呼吸器系に問題あり」と考えるのが一般的です。しかし、それ以外の原因もあります。酸素の需要と供給のバランスを崩すあらゆる疾患が呼吸困難を起こす可能性があるのです。
呼吸器系とそれ以外に分けて代表的な原因を記載します。呼吸器系は気道に沿って「鼻、喉頭、気管、気管支、肺」の順に、その他の原因は「循環器系、神経系、代謝系、血液、内分泌系、その他」の順です。
呼吸器系:鼻腔の異物・腫瘍、喉頭麻痺・扁桃肥大、気管の機能障害・異物・腫瘍、気管支炎、肺水腫・肺炎
それ以外:心不全、中枢神経の外傷・腫瘍・炎症、酸-アルカリバランスの異常、貧血、副腎皮質ホルモン過多(クッシング症候群)、アレルギー、痛み・恐怖・熱
症状の特徴から原因を類推することができます。例を示します。
呼吸が速いだけ:痛み・恐怖・熱からの呼吸困難 心雑音などを伴う(聴診しないとわかりませんが):心疾患に伴う呼吸困難 息を吸うときに起こりがち(喘鳴も伴って):上部気道に問題あり 息を吐くときに起こりがち:下部気道に問題あり 息を吸うときにも吐くときにも起こる:異物・腫瘍の可能性 声が変わる:喉頭麻痺の可能性
呼吸困難に飼主さんが対処できることはあまりありません。重度の場合は気道挿管、酸素吸入などの緊急措置、異物・腫瘍は外科的措置、炎症等には抗炎症剤・抗生物質による治療が行われます。いずれにしても動物病院では対症療法を施しながら呼吸困難の原因を特定し、的確な根治治療へと進められます。
2011年02月11日 (金) 11時04分
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