 医学系学会が「65〜74歳の人は心身ともに健康者が多く、医学的には高齢者とは言い難い。高齢者は75歳以上とし、65〜74歳は高齢への準備期間として“准高齢者”と呼ぶことにしよう」と提言しました。なお、90歳以上は“超高齢者”と呼びたいそうです。
まもなく前期高齢者の仲間入りする私としては、提言の前半部分には「そうだ、そうだ」と賛同しました。“准高齢者”の呼称には「なんだ、結局“高齢者”という呼称が入るのね。人生を素敵に完遂しつつある、つまり熟れ落ちる寸前という意味で“完熟者”なんてどうかな」。カミさんからは「あなたは見た目がジジーなんだから“高齢者”でいいんじゃない」と切り捨てられました。
ということで2017年の第1回投稿は「高齢者と犬の散歩」です。どうもこんな記事ばかりに目が行きます。
犬を飼うにあたってネックになるのは散歩、特に高齢者には負担が大きくなっているようです。昨今の猫人気が納得できます。高齢者はいつもゴロゴロで運動不足です(もちろんそうでない方もおられます)。犬の散歩はウォーキングの動機づけになり健康効果が期待されています。早稲田大学の調査報告では、「犬を飼っている人は、平均で1日1.4回、42.8分、週4.8回、214分を犬の散歩に費やしている」とのことです。また、犬の飼い主は、飼っていない人に比べて推奨身体活動量を満たす人の割合が1.5倍、高齢者でも推奨身体活動量を満たす人の割合が高いことがわかりました。
厚生労働省が「エクササイズガイド2013」を策定しています。それによれば・・
● 身体活動量は生活活動と運動の総量 ● 身体活動の強さの単位はメッツ 生活活動では、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツ、動物の世話が4メッツ、階段を登るのは8メッツです。運動では、ボーリングが3メッツ、速歩が4メッツ、ランニングが8メッツです。 ● 身体活動量は身体活動の強さに時間を乗じたもので、単位はエクササイズ 動物の世話を1時間やると4メッツ×1時間=4エクササイズとなります。ランニング30分(8×0.5=4エクササイズ)と同量です。 ● 18〜64歳の推奨身体活動量は、3メッツ以上の身体活動を毎日60分、週に23エクササイズ以上、3メッツ以上の運動を週60分 ● 65歳以上の高齢者では強度を問わず毎日40分以上、週に10エクササイズ以上(運動については基準なし・・運動は強制しないってことかな??)
高齢者では、犬の散歩(=普通歩行3メッツ)を既述の平均値1日1.4回、40分ほどしていれば、それだけで推奨活動量の大部分を楽々クリアできます。犬との散歩の効用はほかにも数多く報告されています。「犬の飼育や散歩が子どもの過体重・肥満者の割合を低くする」「高齢者の歩行速度を維持する」「心臓病患者の予後が良好になる」「メンタルヘルスが向上する」などです。健康の維持・増進に良い影響を与えていることが明らかです。さあ、億劫がらずに散歩に連れ出しましょう。「ほらほら、サブ、リードをつけるまで静かにね。外に出ても引っ張るんじゃないぞ!」。
なお、「犬の散歩をしているからといって安心はできない」そうです。「散歩で必要な運動量が満たされているからと、それ以外の時間をずっと座って過ごしていては座りすぎのリスクを減らせるわけではありません」。運動はしているものの、座位時間が長い人は、1日の推奨運動量を満たしていても早期罹患・早期死亡との関連があるそうです。30分に一度、少なくても1時間に1回は立ち上がり、体を動かすことが大切です。毎日の散歩を自分と愛犬の健康とリフレッシュに役立てたいものです。
2017年01月13日 (金) 17時25分
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