皆さん、こんばんは。 このほど、北海道遠軽町で、ヒグマ追い払い用に飼育されていたオオカミ犬4頭に、そのオオカミ犬のブリーダーの女性が咬み殺され遺体で見つかった事件が報道されました。 今朝も複数の全国放送番組で時間をとって、この事件とオオカミ犬の特集を放送していました。 見た目が似ていることもあり、世間には何かとマラミュートと関連付けて考えている人も多く、私のところにも今日は複数の、ご心配やら質問のメールをいただきました。 その人宛に書いたお返事を一通、こちらにコピーしてみますね。 あくまで私の個人的見解であり、AMCJ会報などにはいつも書いて来たことです。 この不幸な事件を機に、オオカミを人間社会に入れるということ、「オオカミ犬」を作る&売る&飼育するということについて、広く関係者や「愛好家」の皆さんが認識を新たに再考するきっかけとなることを願います。
(以下、メールのコピーです。所々後から追記・編集しました) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (略)尚、増えすぎた鹿の駆除対策として、絶滅したニホンオオカミの代わりに大型のタイリクオオカミを日本に放つ計画が、動物学・獣医学の専門家と言われる人たち一部からの後押しも受けて、あちこちの自治体までがマジメに検討中だとかで物議を醸していました。 しかし私は当初から大反対の立場で意見表明しています。 むしろオオカミと犬を交配して愛玩用にペットショップやブリーダーが一般人に販売する、なんてことを法的に規制の対象にすべきだと思うし、オオカミのハイブリッド自体も特定危険動物に指定したほうがいいとさえ思ってます。 こんなにこだわるのは、外見が似ているマラミュートまでもが混同され、評価が落ちることを心配してるからなんですけどね。 今回のニュースの件は私も詳しく知っていますよ。 あれはオオカミのハイブリッドで、犬ではありません。祖先のどこかに一度犬を交配させたにしろ(純粋なオオカミをペットとして輸入・売買するのは法律に引っかかるので、売りたい人間の都合でそういう形を取るのです)限りなくオオカミに近い動物です。 オオカミ犬はオオカミの%が低くなると希少価値も人気も価格も下がると言われていますから、繁殖者は出来るだけ純なオオカミに近付ける繁殖を目指します。 犬ではないですから性質が安定していませんし基本的に非常に臆病・神経質ですから、犬に対するのと同等の訓練は出来ない、もしくは限界があると考えるべきです。 今回の四頭の飼育者が関係する「ヒグマの会」という環境団体は、ヒグマと人間のより良い共生を目指して活動する組織で、代表が獣医学博士、元・北海道大学獣医学部長だったり大学教授、役員が政治家だったりで、これら数頭のオオカミ犬を購入し、ベアドッグと称してヒグマ追い払い訓練をされていたようです。 そのような、学識ある日本の動物専門家の人たちでさえ、オオカミのハイブリッドが犬とは決定的に違う動物(安心して人間と共生できない)だという認識や危機感に不足していたのかもしれません。 マラミュートにはオオカミは入ってなく、何世紀にもわたり人為的に育種された完全なる犬ですから、オオカミ犬と見かけが非常に似ているからという議論は意味を成しません。 ちなみに今朝、会った人からも「あんな事件あって驚いた!気をつけてね。前田さんのところ大丈夫?」と聞かれました。一般の人は似てるから混同するようですし、不幸なことにオオカミ犬を作る時、マラミュートが見かけがオオカミに似てるからという理由で交配するオオカミ犬繁殖者も海外には多いのです。 アメリカのマラミュート統括クラブでは、オオカミ犬を飼育する人にマラミュートを譲渡すること、交配など含め取引することを禁止しています。 新しいもの、珍しいもの好きのアメリカでは30年以上も前から一部の人の間でオオカミ犬の人気があり、飼育数の増加に伴い人が死亡する事故が多発しました。 皮肉なことに「普段は友好的で尾を振りながら皆に愛想が良かったのに」というオオカミ犬が、目の前で幼児が転んだとか些細な刺激で突然スイッチが入り、家族も引き離せずあっという間に咬み殺してしまった、などという「想定外」のケースが多いのです。 そして多くの被害者は、オオカミ犬にとって全く未知の人間よりも、飼い主の家族や親しかった人である場合が多いです。 また彼らは、同じ程度の体格の犬に比して、驚異的な運動能力を持っています。
今回亡くなったのは千葉の南房総で、ずいぶん以前からオオカミ犬を多数、飼育・繁殖販売してこられたペットショップのオーナー(ブリーダー)さんです。 この女性からは過去に度々私は電話をもらい「マラミュートを売ってほしい」と言われ、その都度断っていました。とても感じが悪かったこともありますが、オオカミと交配してオオカミ犬を作るのが目的だと私にはっきりおっしゃっていたからです。 そのかたのペットショップの広告では販売促進のためにオオカミ犬を美化し、ワイルドな外見だがしつけも出来て一般家庭でも飼えますと、愛犬の友などに刺激的で派手な宣伝をされていました。 また、ある知人のマラミュート飼育者はそこからオオカミ犬を購入したのですが「建て前はオオカミ犬ということにしてますが実は100%オオカミなんですよ」とのこと。 繁殖用にオオカミを輸入する時は、ハスキーの雑種です、と申告すれば法律に引っかかることもなく簡単に検疫も通るのだそうです。 色々な意味で印象が強く残っていましたが、今回このようなことになるとは、永年飼育してきた彼女ではあっても恐らく認識の甘さや油断が重なっての事故だったのでしょう。 ブリーダーである彼女の無念が強く感じられる悲惨な事故でしたが、この件でオオカミ犬について理解を新たにし、美化したイメージを持たないこと、そして純粋な犬であるマラミュートまでもが誤解され「危険で油断のならない動物」と間違った評価をされる将来が来ないことを願っています。 野生動物であるオオカミを人間社会に連れ込んで、犬と混ぜたり狭い住宅でペットにしたり、本能に裏打ちされて生きる動物に「訓練」して人に役立たせようとは、それがどれほど無理があるか知るほどに人間の奢りを痛感します。
2015年07月17日 (金) 03時16分
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[1634] 投稿者:AMCJ前田 - 文字が…
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一部の文字がきちんと表示されてないようです。 ミ=おおかみ ミ犬=おおかみ犬 と、読んでください。 再び誤認識で表示されることを恐れて、狼の字をひらがなで書きました。本来カタカナです。
2015年07月17日 (金) 03時22分
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[1635] 投稿者:MM -
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本当に残念な、けれども専門家であれば十分予測できたはずの事件だと思います。「オオカミ」「イヌ」それぞれの種に敬意を持って接することの大切さを深く考えさせられました。「わあ、オオカミだ!」とよく声を掛けられますが、そのままにせず、「マラミュートは犬です」と答えるようにしなくてはと思います。
2015年07月17日 (金) 11時53分
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[1637] 投稿者:えむてぃ -
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私もかつては、狼犬に憧れを抱いていたものです、子供の頃から。 今では認識を改めましたが、 やはり一般の方や、以前の私のような人に、 適切な、正しい情報が届くには、 一歩踏み込んだ何かがないとなかなか難しそうですね。 事件の報道だけでは好奇の目にさらされるのがオチのような。。
MMさんの『マラミュートは犬です!』運動に賛同いたします!!(*^^*)
愛犬と歩いていると、マラミュートと言われる何百倍も 『オオカミ』『狼犬』と言われますものね。 それも特に子供達に。
これ以上不幸なオオカミが生まれませんように、 そして我々の愛するマラミュートが正しく理解され、 守っていけますように…!
2015年07月17日 (金) 18時34分
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[1639] 投稿者:えむてぃ - 文字化け
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あら、同じく文字化け。。失礼しました。
2015年07月17日 (金) 18時38分
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[1640] 投稿者:WILDLIFE - 訂正願います。
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増えすぎた鹿やイノシシ対策のため狼の再導入を亡くなられたブリーダーさんも日本では必ず人家へ群でやってきてしまうと反対されていました。秋田のブリーダーさんの考えは知りませんが、なくなられた千葉のブリーダーさんを賛成論者論のように思われているようですが、訂正お願いします。 そもそも今回の事故と狼再導入の問題は別問題じゃないですか? 論点がズレていると思います。 マラミュートブリーダーとして前田さんが狼犬が嫌いなことは解りました。
2015年07月27日 (月) 11時54分
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[1641] 投稿者:AMCJ前田 - オオカミは大好きですが
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WILDLIFE様 私の意見をご覧いただき、またご意見の書き込みをありがとうございます。 「千葉のブリーダーさんを賛成論者のように思われているようですが」とのことですが、シカ対策で日本の野山にオオカミを導入する計画に、今回オオカミ犬に襲われて亡くなった千葉の女性が賛成されていたか否かは存じませんし、そのように書いたつもりはありません。 上記の、メールのコピーの冒頭部分ですが、「(略)尚、増えすぎた鹿の駆除対策として、絶滅したニホンオオカミの代わりに大型の〜」とありますが、私があるかたへ返信に書いた個人的な文章の一部であって、千葉の女性がその活動に賛成していた、という意味ではありませんので、ご再読の上、ご理解下さい。
今回の事故と、日本の野山にオオカミを放すという論争が全く別問題かといえば、私はそうではない、むしろ大いに再考を促す材料になるのではないかとさえ思っています。関係があるということです。 ちなみに、事故の前から被害者の衣服を咬んで放さず破いていたというノースは、血液の%的に殆どオオカミではありませんか?これは全くの個人的推察でしかありませんが、今回の事故の発端を作ったのはノースだったと思っています。しかし一人の人が命を失ったことが大々的に報道され、オオカミのノースの今後はどうなってしまうのでしょう?興味を引かれる匂いのものに執着し、咬む、引っ張る、咬んだまま激しく頭を振り回す、興奮が高まり更に力を加えていく、というのはオオカミだったら当然良くある行動です。ノースはオオカミとして何も悪いことをした訳でもないのに、人に危害をひとたび加えたらどんな処分が待っているのでしょう?
オオカミは非常に魅力的な動物ですね。私は愛しています。幼い頃からオオカミの遠吠えばかりを集めて長々と録音したテープを連日深夜まで聴いて近所から苦情をもらったり、オオカミの文献やら資料やら手当たり次第に読み込んで、アラスカやアメリカ本土にオオカミに会いに行きました。飼育下での保護オオカミ、またオオカミ犬とは、濃厚な接触の中できわどいシーンも経験しました。 ですが、私のオオカミへの熱い気持ちは、あくまで野生に生きるオオカミに対してです。 人間のエゴで犬の血をちょっとだけ入れて後は限りなくオオカミに戻した動物を、狭い住宅街の一室に閉じ込め、所有すること、眺めること、街頭で眺められることに満足する、というのはどうも私はいただけません。 人の都合で大量殺りくされた時代があったり、イヌイットの人々は昔から橇犬にオオカミの血が混入することを禁忌として来ました。実利第一の彼らにとってその動物は使い物にならないばかりか、チームで働く有益な犬たちをもダメにするからだそうです。
ペットとしてオオカミ犬を作る、求める、飼うということは、迫害された歴史を乗り越え人間社会とは一線を画して必死に生きているオオカミたちに対して何と傲慢な行為であり、オオカミに失礼ではないかという気持ちがするのです。 私個人の考えですが、オオカミ犬に興味があったり熱い気持ちを持っているなら、野生で生きるオオカミたちに、いかに生きやすい環境を永続的に提供してやれるかを考え、行動したほうが、真にオオカミへの愛であるように思えます。 毎度長々とごめんなさい。以上は個人的な思いです。
2015年07月29日 (水) 05時25分
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[1642] 投稿者:AMCJ前田 -
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ありゃりゃ、また文字化けしてるみたいですね…。 というか、RESつけると文字化けが無くなり、正しい字が表示されるのかも。 もし文字がおかしかったら、 ミ=おおかみ ミ犬=おおかみ犬 と読んで下さいね。
2015年07月29日 (水) 05時37分
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[1644] 投稿者:桔梗 -
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私もオオカミは大好きですが、知識は大してありません。 でも昔読んだ野生のオオカミを飼育されてる「オオカミと生きる」という本を読んだ印象で、普通の人間にはオオカミと暮らすことは無理だなと思ってたくらいです。
今でもオオカミは大好きです。 外見が似てるマラが好きなのもそれもあるかも! しかもマラってワン!てあまり言わずワオワオいうのがまたかわいいです。 だけどあくまで犬だから。 犬だから何世代にも渡り人間と暮らせるようにと作られてきたからこそちゃんとしつければ(全然できてませんが)一緒に暮らせるんだと思います。
オオカミでもきっとほんとに犬のように生活できる個体もいるんだと思います。 そっちの方が多いのかも だけど前田さんの書いてるように何か起こる可能性が常にある・・ 起こらない事の方が多いとしても・・ そう思います。
書き込んだのは前田さんに聞きたいことがあって。 この事故で色々知りました。 ベアドッグのことも。
例えばマラミュートを訓練してベアドッグにできたりはしますか? ベアドックにオオカミに近い物をと求めるのは身体能力などでやはり犬では役不足だからですか?
2015年07月31日 (金) 09時46分
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