晴れて自由の身になりました。ゆっくりと流れる時間を楽しんでいます。ハローワーク通いを始めなければなりませんが、臨床経験のない老齢and 老獪獣医師に再就職口なんてあるわけがありません。それでも面談してくれる職員さんのお話を神妙な面持ちで聴くことにします。
昨年暮に「あと二三か月が精一杯か」と覚悟したレオが予想外に“still alive”です。奴もしぶとく頑張っています。日によってまちまちですが、それなりに食欲はあります。わずか往復100mですが、自力で散歩もできます。庭で日向ぼっこもします。あれこれの要求を目で訴えてきます。プー太郎父さんはその訴えに抗することができません・・「いいよ、存分に甘えなさい」。
さて、本日から最終単元として運動器系疾患を6回に分けて紹介します。初回はレオにも見られた「痙攣発作」です。
追伸(砧様への事務連絡):「3月末までには」と豪語しましたが、取りまとめが半分ほどです。今しばらくお待ちくださいませ。
7 運動器系
7-1 痙攣発作(癲癇を含む) 痙攣発作は脳になんらかの障害があって起こることがほとんどです。ただし、あらゆる疾患の急性期は痙攣発作の可能性があります。
意識がなく全身が痙攣する発作と部分的な発作(例えば肢だけ)で意識がある場合があります。間隔は一定しませんが、発作を繰り返すことが多いようです。最初に痙攣発作が起こるのは6か月齢〜5歳が多く、2歳未満では重篤な場合が多いとされています。
我が家のご老体レオは1歳未満のときに癲癇様発作が1回だけありました。散歩中の出来事です。すぐに回復しましたし、その後13歳まで見られることはありませんでした。ところが大震災直後にかなり強い痙攣発作が1回だけありました。留守番中の大地震でしたので、そのストレスによるものかと思いました。その後再発することはなかったのですが、昨年暮から発作が連続するようになり、痙攣予防薬を処方してもらいました。
発作は数秒から数分ですが、元の状態に戻るまでにはもう少し時間を要します。発作中は痙攣以外によだれ・おもらしが見られますし、発作後は目が見え難かったり、のどの渇きがあったり、食欲が異常に亢進したりすることがあります。大発作直後のレオは、目の焦点が合っていませんし、あっちフラフラこっちフラフラでした。確かに発作後は水をよく飲むし、フード袋に顔を突っ込むこともありました。
痙攣発作の原因を脳内と脳以外に分けて記載します。
■ 脳:低酸素症、水頭症、腫瘍、炎症・感染症(ジステンパーなど)
■ 脳外:低血糖、低カルシウム血症、急性腎不全、肝性脳障害
初めての痙攣発作で動物病院へ駆け込む飼主さんがほとんどです。慌ててですので十分に観察ができていないことが多いのですが、「どんな状況で、意識は、持続時間は、元に戻るのにどれくらい」などの基本情報が重要です。病院ではまず原因究明が行われますが、原因不明も多く、さらに完治が難しいことを認識しておかなければなりません。
一般的には通院治療です。1日に3回以上の発作がある場合は入院が必要な場合もあります。抗痙攣薬、痙攣予防薬が用いられます。これも根治療法ではなく、あくまでも対症療法になります。対症療法でも発作の苦しみから解放されますので、犬のQOL(Quality of life)は改善されます。
2012年04月12日 (木) 17時57分
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