 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
まもなくサラリーマン生活に終止符を打ちます。“不良”と“日和見”が合言葉の自由気ままな生活が待っています。なんだかウキウキ・ワクワク・ドキドキ・ソワソワしています。
気まぐれペーパー講座も残りわずかです。草稿はほぼ準備完了で、おそらく初秋までに全てをアップできると思います。「ワクチン学講座」「いっしょに講座」「お食事学講座」、そして「気まぐれペーパー講座」と勝手にやってきましたが、現講座の終了をもって一応“閉店”することにしました。実は手持ちのネタが尽きたのです。と言っても、閉店後も犬にまつわる話題をときどき提供させていただくつもりです。
追伸(レオのその後):気まぐれな食欲、オシッコ1回(ときどき+ウンチ)だけの超短時間散歩、庭に出たい時の飼主頼みなどワガママ放題に過ごしています。それでも病状は比較的安定しています。
6 泌尿器系
6-10 ネフローゼ症候群 腎臓の糸球体に異常があるため尿に多量の蛋白が出現するのがネフローゼ症候群です。ネフローゼの話を進める前に腎臓の機能を簡単に説明しておきます。
腎臓は血液から老廃物・余分な水分を取り除き、それを尿として排泄する器官です。腎臓へ送られた血液はまず糸球体で濾過されます。濾過液は原尿と呼ばれます。原尿がそのまま体外へ排泄されると必要な物質も出て行ってしまいます。腎臓は巧妙な技を持っています。原尿の通り道である尿細管で必要な物(ブドウ糖・塩類・水分など)を再吸収するのです。再吸収後、尿として尿管を通って膀胱へ送られます。膀胱で一時保管された尿はその後尿道を通って体外へ排泄されます。
血液→糸球体で濾過→尿細管で再吸収→尿管→膀胱→尿道→排泄
糸球体が正常であれば、蛋白質のような大きな分子は濾過されず血液中に残ります。ところが濾過機能がおかしくなると蛋白質がどんどんと出て行き、さらに再吸収もされず、蛋白尿として排泄されるのです。
蛋白尿以外にも、血中アルブミン量の低下、腹水・浮腫が見られ、全身症状として高血圧・血液凝固亢進なども見られます。浮腫はあちこちに見られます。浮腫が見られる部位で様々な症状が出ます。喉頭・胸部だと呼吸困難、関節だと痛み、腹部だと腹水と腹痛などです。
ネフローゼ症候群の原因は、糸球体腎炎と腎アミロイドーシスです。慢性的な炎症状態、つまり感染症・腫瘍・免疫病などがあるとネフローゼ症候群に至ります。
アミロイドーシスとは蛋白質様物質がいろんな臓器に沈着する病気で、腎臓に沈着した場合が腎アミロイドーシスです。猫ではいろんな臓器に沈着がありますが、犬では腎臓への沈着がほとんどです。ネフローゼ症候群には遺伝がかかわることもあり、糸球体腎炎・腎アミロイドーシスそれぞれに好発犬種の報告があります。糸球体腎炎の好発年齢は6〜7歳、腎アミロイドーシスは15歳以上とされています。
腎疾患はやっかいですし、ネフローゼ症候群は徐々に進行して慢性的な腎臓機能不全となります。飼主さんは病気と長く関わることになります。運動制限・食事制限(低塩分フード)も必要となります。
高血圧・血液凝固亢進には対症療法的に薬剤が使われます。腹水による呼吸困難・腹部不快感の改善には穿刺術(排液)が行われます。
2012年01月14日 (土) 05時27分
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