研修会に娘といっしょに参加させていただきました。楽しみにしていた屋外研修は中止でしたが、屋内研修がとても充実していました。様々な話題を長時間に渡って意見交換でき、かつ他者の意見を否定せず、真剣に耳を傾けてくださるところがAMCJの良いところです。会員の皆様の寛容さを痛感した研修会になりました。
さて、講演内容の訂正です。「犬での新型インフルエンザ感染報告は日本では今のところありません」とお話しました。ところが今週開催された日本ウイルス学会で感染報告がありました。「366頭の犬を調査したところ、新型インフルエンザ感染犬が3.8%、香港カゼ感染犬が2.2%だった」「人との接触が濃厚である室内犬に陽性例が多かった」とのことです。
4 消化器系 4-13 腹痛(急性腹部疾患) 犬は「お腹が痛い」と言葉で訴えることはできません。しかし、震え・動かない・食欲がない・嘔吐・下痢・泣き叫び・体位の異常などで急性の腹痛を訴えます。
痛みを伴う急性腹部疾患の原因は様々です。若齢犬では外傷・食事・感染症が原因のことが多く、老齢犬では悪性疾患が多いと言われています。生命を脅かす重病のこともあり、緊急対応が必要な場合も少なくありません。老齢マラミュートに多いとされる胃捻転はその典型かもしれません。
腹痛の原因を列記します。病名の羅列もなんですので代表的な疾患を記載します。「原因は様々」と理解してくだされば結構ですが、重病の可能性があることだけは記憶しておかなければなりません。
■ 胃腸:炎症、潰瘍、捻転、穿孔、異物 ■ 膵臓:炎症、膿瘍、腫瘍 ■ 肝臓・胆管:肝臓の急激な腫れ・膿瘍、胆管閉塞 ■ 脾臓:捻転、膿瘍 ■ 尿管:腫れ、腫瘍、外傷 ■ 繁殖器官:炎症、膿瘍、外傷 ■ その他:ヘルニア
診断にはX線撮影が一般的です。臓器の位置に異常がないか、ガス・腹水が貯まっていないか、異物がないかなどが検査されます。診断がつくまでは、脱水症状改善目的の補液、嘔吐・ショックへの薬物投与などの補助的治療が行われます。確定診断後に外科的手術が施されることも少なくありません。腹痛を認めた場合はただちに動物病院へ搬送することが肝要です。
本日で消化器系を終わります。次回から呼吸器系を取り上げます。咳、喘鳴(ぜんめい:気道がぜいぜいと雑音を発すること)、呼吸困難を紹介します。
2010年11月13日 (土) 09時30分
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