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メルブラ短編置き場

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タイトル:琥珀色の初日の出 恋愛

――めでたき新年最初の日。風邪を引いてしまった琥珀のことを心配しつつも、そんな彼女の笑顔に背を押され、初詣へと向かう秋葉と翡翠、それに志貴。……と思ったら、何故か琥珀の元へと志貴が再び現れる。その秘密は一体……? クリスマスに続きリクエストされた琥珀さん、今度はお正月バージョン! 遠野邸地下帝国の科学力は世界一イイイイィィ!

月夜 2010年07月04日 (日) 03時24分(245)
 
題名:琥珀色の初日の出(第一章)

「……姉さん、本当に大丈夫?」
ベッドに横になる琥珀に向かって、翡翠は心配そうに問いかけた。
「大丈夫大丈夫。ただのちょっとした風邪だし、きっとすぐに良くなるから♪」
不安げな翡翠の前で、琥珀が小さくガッツポーズを作ってみせる。
端から見る限りでは、彼女の言う通り、大して苦しそうには見えない。
少なくとも、重病とは程遠いのは間違いないだろう。
「でもなぁ……」
にもかかわらず、志貴の声色は暗く、その表情にも明らかな陰りが差していた。
まぁ、その心配性なところが、志貴の志貴たる由縁なのだが。
「私の心配はいりませんよ。それより、志貴さんたちは私の分まで、しっかり初詣を楽しんできて下さいな♪」
琥珀が満面の笑みで返す。
それはとても朗らかで明るく、下手に怒ったり拗ねたりされるより、断然断りにくい強制力に近いものを有していた。
「……わかったわ。それじゃ、私たちは行くけど、大人しくしてるのよ、琥珀」
「何かあったら、直ぐに連絡して下さいよ」
「姉さん、ゆっくり休んでてね」
「はい。では、行ってらっしゃいませ〜♪」

――バタン。

秋葉を先頭に、志貴と翡翠がそれに続く形で、部屋を後にする。

――ふぅ、皆揃ってお節介なんだから。

内心密かに呟きながら、琥珀は起こしていた上体をベッドに沈めた。
何気なく、窓から覗ける外の景色へと目を向ける。
外はかなり寒いのか、結露した窓ガラスは幾つもの水滴で埋め尽くされており、外界を鮮明に見ることは叶わなかった。
時刻が示す通り、外はまだ日が昇っておらず、地平線の向こう側が仄かに明るんでいるだけ。
未だ夜明け前の薄暗さに、世界は抱かれていた。

――コンコン。

と、不意に扉をノックする音が、部屋中に漂っていた静寂を静かに切り裂いた。
だが、おかしい。
秋葉、翡翠、志貴の三人が家に居ない以上、この扉を叩くことのできる人物はいないはずである。
「はい、どうぞ〜」
だと言うのに、琥珀は何ら警戒する様子も見せずに、そう言って扉の向こうにいる何者かに対して、あっさりと入室を許可した。

――ガチャ。

ゆっくりと扉が開く。
その先にあったのは……、
「琥珀さん、体の調子はどう?」
ついさっき、秋葉たちと確かに初詣に出かけたはずの、志貴の姿だった。
見たところ、息を乱している様子もなく、何か忘れ物をして走って戻ってきていたという感じではなかった。
いや、それを言うなら、彼の服装の方により注目すべきだろう。
先ほど琥珀の部屋を訪れていた時、外出前の志貴はしっかりと厚手のコートやマフラーを着込んでいた。
しかし、今琥珀の目の前にいる彼は、せいぜい下着の上にセーターを着ているくらいで、とてもじゃないがこの時期、この時間帯の外出に適した服装とは言い難い。
まるで、最初から外になど出ていないかのようだ。
「ふふっ……」
そんな彼を前にして、琥珀は不思議そうな表情を浮かべるどころか、おかしそうに笑っていた。
「? 琥珀さん、どうしたの?」
「あ、いえいえ、大したことじゃないですよ。“こっち”の志貴さんも、やっぱり同じようなことを言うんだなぁって」
琥珀が意味ありげな単語を漏らす。
しかし、それに対する志貴の反応は、極めて冷静なものだった。
「まったく……あんなもの、一体いつの間に作ったのやら……」
「でも、あれが無かったら今頃、志貴さんと二人っきりになんて、絶対になれてませんでしたよ?」
「そりゃあ……まぁ、そうだろうけど……」
どことなく納得が行かないといった表情で、志貴が指先で自分の頬を引っ掻く。
そう。
さっき秋葉たちと共に屋敷を後にした志貴。
あれは、琥珀がメカヒスイに続き極秘裏に開発を進め、ようやく完成にこぎ着くことができた最先端の志貴型メカだったのだ。
名付けて、アイアンシキプロトタイプ第一号。
先に開発済みの愉快型町内制圧兵器メカヒスイに対し、こちらは優柔不断型恋愛兵器というジャンルらしいが、どういう対象を相手に効果を発揮する兵器なのかは不明だ。
「まぁまぁ、そんなことは置いといて。とりあえず、こっち来て下さいな」
「う、うん……」
どことなく煮え切らない態度のまま、仕方なしに琥珀の傍へと歩みを進める志貴。
「……むー」
だが、ベッドの隅に腰を下ろした彼に向かって、琥珀は唇の先を尖らせた。
「え? 何、どうしたの、琥珀さん」
そんな彼女の様子に、志貴が首を傾げる。
「せっかくなんですから、もっと近くに寄って下さいよ〜」
琥珀が拗ねた子どものように頬を膨らませながら、志貴に向かって自分の直ぐ横のシーツをポンポンと叩き、一緒にベッドに入ることを促す。
「えっ!? で、でも、それはさすがにちょっと恥ずかし過ぎ……」
「別に良いじゃないですか。誰が見てるという訳でもなし」
「そ、そうだけど……」
「女の子からのお誘いを断るだなんて、男が廃りますよ? ささ、入った入った♪」
「うぅ……」
琥珀の言う通り、誰が覗き見てる訳でもない。
にもかかわらず、志貴は辺りをキョロキョロと見回しながら、恐る恐るといった様子でベッドの中に体を滑り込ませる。
いつも布団に入る時、最初は決まって凍えるほど冷たいのだが、今この時ばかりは琥珀の体温で満たされており、入った瞬間から心地よい暖かみを感じた。

――これ、琥珀さんの暖かさなんだよな……。

何となくそんなことを考え、言い知れない気恥ずかしさから志貴が真っ赤に顔を染める。
「ん? 志貴さん、どうかしたんですか?」
「えっ? どうって、何が?」
「顔、真っ赤っかですよ。暑いんですか? それとも……」
「……そ、それとも?」
「……何か、良からぬことでも考えているんですか?」
「そ、そんな訳ないだろ!? あ、琥珀さん。そんなことより、ほら!」
妖しい笑みを浮かべる琥珀に、志貴は話を逸らす為、咄嗟に窓の外を指差した。
その指し示す先、夜露に歪む窓ガラス越しに、地平線の彼方で目を眩ませるほどの輝きが昇りつつあるのが見えた。
「あら、日の出ですね」
そう言って、琥珀が窓を開く。
冬の早朝の冷涼な風が、室内へと吹き込んだ。
「寒っ!」
反射的に身を縮込ませる志貴。
「……」

――バサッ。

そんな彼の仕草に、琥珀は両手で布団を引っ張り上げ、志貴の体ごと全身をくるんだ。
「……え?」
「これで寒くないでしょう?」
琥珀が控えめに微笑む。
「……」
その笑顔に、志貴は言葉を失い見惚れていた。
それは、今までに彼が見てきた笑顔の中で、一番きれいなものだった。
いや、神々しいとさえ言えるかもしれない。
ただ明るく楽しそうというだけの顔。
かつて、そんな笑顔という名の能面を張り付けていた時の、人形のようだった彼女の笑みとは決定的に違う、慈愛に満ちた心からの優しく暖かい微笑み。
「……? どうしました、志貴さん」
「……いや、琥珀さん、すごく可愛いなって……」
心ここに在らずといった様子で、思ったことをついそのまま口にしてしまう志貴。
「っ!?」
彼のそんな無防備な言葉に不意をつかれてか、いつもなら笑って軽く流してしまう琥珀が、見る間に顔を赤くする。
「……あっ」
と、そこでようやく、志貴は自分が何を言ったか理解した。
「え、えっと……い、今のは、なんかつい本音が……って、そうじゃなくて……あ、いや、そうじゃないってのもなんか違くて、本音と言えば本音で間違いないんだけど……」

月夜 2010年07月04日 (日) 03時25分(246)
題名:琥珀色の初日の出(第二章)

琥珀から視線を外し、誰の目にも明らかなくらい、おたおたと狼狽える志貴。
「……」

――トサッ。

そんな彼の肩に、琥珀は何も言わずそっともたれかかった。
「え、こ、琥珀さん?」
依然として動揺を隠せないでいる志貴に、彼女は穏やかな口調で口を開いた。
「……ねぇ、志貴さん」
「何?」
「見て下さい、初日の出ですよ」
「……あぁ、そうだね」
二人で肩を寄せ合い、遥か東方より昇りゆく太陽を見つめる。
「……ありがとうございます、志貴さん」
「えっ? ありがとうって、俺何かしたっけ?」
「今、こうして私の隣に居てくれてるじゃないですか。私にとっては、それが何より嬉しいんです」
「……それを言うなら、俺だって同じさ。琥珀さんと二人っきりで居られて、俺もすごく嬉しいよ」
「……」
「……」
互いに見つめ合う無言の時間。
まるで、ここだけ時間の流れから切り取ってしまったかのような錯覚を覚えそうになる。
どちらからともなく、二人の顔が近付いてゆく。
琥珀が志貴の肩に手を添える。
それに応えるように、彼が優しい手つきで、彼女の腰と背に腕を回す。
「志貴さん……」
「琥珀さん……」
「……今だけは、琥珀って呼んで……?」
「わかったよ……琥珀」
詰まる距離。
肌で感じる互いの吐息。
二つの個体が、一つに溶け合う……。

――……ドタドタドタ!

「……ん?」
……と、口付けを交わす寸前で、志貴はこちらへと急速に近付きつつある大きな足音が聞こえてきた。
それが何を意味するか、答えは一つ。
だが、時既に遅し。

――バァン!

轟音と共に、扉が破壊されんばかりの勢いで開かれた。
「ちょっと琥珀! これは一体どういう……」
勢い良く室内に突入したものの、目の前の光景に呆然とする秋葉。
その手には、見るも無惨に破壊された、アイアンシキの残骸が握られている。
「……」
そんな秋葉の背後で、口元に手を添え同じく唖然と固まる翡翠。
「……」
無論、志貴がただの一言も発せられず硬直していたことは、言うまでもない。
「あら、秋葉様、いかがなされましたか?」
そんな状況の中で、琥珀だけが何事もなかったかのように平然としていた。
「……へぇ〜、ふ〜ん、そういうこと……」
しばしの無言の時を経て、秋葉が重々しく口を開いた。
「え、えっと……あ、秋葉さん……?」
「例によって例の如く、あのアーパー吸血姫とカレーに絡まれて、また面倒なことになったと思ったけど……」

――バキャッ!

首根っこを捕まれていたアイアンシキが、鈍い破砕音を上げて顔と胴体に分断された。
「どうやら、先にこっちの話を聞くべきみたいね」
「ほら、志貴さん。ご指名みたいですよ」
「こ、琥珀さん!?」
「だって、ここは私の部屋で、ここは私のベッドですもの。風邪引きさんの私がここに居るのは、当然のことでしょう?」
「そ、そんな……」
琥珀の突き放すかのような言葉に、志貴の目にうっすらと涙が浮かぶ。
救いを求めて、志貴の視線が翡翠へと向けられる。
「……不潔です」
だが、その救助要請に彼女が応えることはなく、不機嫌さを露わにぷいっとそっぽを向いてしまった。
「さぁ、それじゃあ、じっくりと話を聞かせてもらいましょうか、兄さん……?」
笑顔で迫りくる秋葉。
だが、志貴には見えていた。
その裏側に潜む、鬼さえ裸足で逃げかねないほどの激怒を湛えた、修羅の顔が。
「い、嫌だ……」
「何を勘違いなさっているのかしら、兄さん? 初めに言っておきますけど……」
そこで言葉を一旦区切ると、秋葉は手に持っていたアイアンシキの頭部をそこら辺に放り捨て、空いた手で志貴の腕を掴んだ。
「……兄さんに拒否権はなくってよ……!」
「い、嫌だああああぁぁっ!」
叫び散らす志貴を引きずって、秋葉が出口へと向かっていく。
布団にくるまり横になったまま、琥珀は思った。


――今年も、楽しい一年になりそうです♪

月夜 2010年07月04日 (日) 03時26分(247)
題名:琥珀色の初日の出(あとがき)






ちょっと巫女さん拝んでくる





















所詮はアルバイター巫女さんだけどね(´・ω・`)















はい、今から初詣に行ってくる私、月夜です。
正確には、日付が変わると同時に突撃なのですよ。
あぁ、寒いったらありゃしまへん(´・ω・`)

ところで皆さん、初詣に行く理由ってなんです?
お祈り?
千歳飴狙い?
それとも、漫然と行うだけの恒例行事?

私にとっての初詣は、つい最近まで最後のやつでしたね。
ですが、何事も楽しまねば損。
例え鬱なイベントでも、全力で楽しもうとする私の特殊能力をいかんなく発揮し、遂に私は初詣における楽しみを見出だしましたよ。


……え?
何だって?
そんなの

巫女さん鑑賞

に決まってるじゃないですか。

たまにすごく巫女服が似合う大和撫子が、アルバイターとして破魔矢売ってたりするから、油断ならないですね。
一昨年は一人、神々しいまでの巫女さんが居て、無理やり並んでまでわざわざお守り買っちゃいましたよ。

二個も

正直、お守りに守ってもらった記憶の一切ない私ですが、あのお守りになら守ってもらえなくても構わない

多分、あの時に買ったお守りは、未だ机の引き出しに大切に保管されているはず。

皆さんは、こんなHE☆N☆TA☆Iになっちゃダメですよ?




(´・ω・`)





さてさて、今回もこの辺りで終幕としたいと思います。

この作品に関する感想等ございましたら「小説感想アンケート板」または「小説感想掲示板」、「月夜に吠えろ」の方まで、どうぞ書きこんじゃって下さいな♪

ここまでは、今年も一年頑張ろうと発奮しつつある月夜がお送りしました。
















遅ればせながら、皆さん明けましておめでとうございます。
今年一年も、どうぞこのアトリエをごひいきに、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

月夜 2010年07月04日 (日) 03時27分(248)


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